変化が激しい時代こそ技術の本質がより重要に–LPI-Japanの鈴木理事長
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IT技術者の技術認定を行うエルピーアイジャパン(LPI-Japan)は、Linux技術者認定「LinuC」の最上位となる「LinuCシステムアーキテクト認定」を新たに開発し、認定試験を11月に開始する。その背景や狙いをLPI-Japan 理事長の鈴木敦夫氏に尋ねた。
LinuCシステムアーキテクト認定は、システム開発プロジェクトの技術リーダーに求められるスキルを持つ技術者を認定する資格だ。「Linux」の基礎的な技術はもちろん、物理や仮想、オンプレミスやクラウド、オープンソースなどのさまざまな技術を理解し、実務や実作業に長け、ユーザーに求められるシステムの実現に最適なアーキテクチャーでもって設計、構築ができるスキルを認定する。
LPI-Japanは、2019年春からLinuCシステムアーキテクト認定を開発してきた。まず、約100社のシステム開発現場でヒアリングを行い、問題やトラブルを予見したり対応したりできるスキルのある技術者や、さまざまな技術を全体で取りまとめることができる人材がいないとの課題が挙げられたという。
その主たる要因として鈴木氏は、技術を基礎から理解し、主体的に考えることができ、技術を束ねたり応用したりできるスキルを持つ技術者が国内に育っていないと指摘する。
「昔のシステムはゼロから作り上げるため、技術者は中身を理解していた。それが、オープン化とともに商用製品の利用が増え、技術者が中身に触れることが難しくなった。『UNIX』などソースコードの中身に触れられるものもあるが、技術者がソフトウェアの中身の重要性を学ぶ機会が減り、現在では利用する技術の利用範囲でしか触れることができず、ベンダーも利用技術に特化した資格取得を推奨するようになっている」(鈴木氏)
さらには、技術が技術者だけでのものでなくなりつつある現実もあるという。現代の企業や組織にとってITは不可欠になり、海外では経営層がITの基礎を理解していることが当然とされるようになった。鈴木氏は、「海外の大学では、IT技術の根幹となるコンピューターサイエンスが経済や法律などの学部でも履修科目され、I技術を理解した人材を輩出している。しかし、日本ではこうした動きが見られず、技術を理解する人材がどんどん減っていることに長年危機感を募らせていた」と話す。
社会が求めるシステムを正しく具現化できるシステムアーキテクトは貴重な人材だ。昔のように、長い時間をかけてシステムを開発、構築する時代であれば、技術者が実務を通じてじっくりとスキルを高めていくことができた。だが、DXが叫ばれる現在ではスピードが重視され、利用する技術の変化も激しく、技術者がシステムアーキテクトのレベルへと着実に成長していくことが難しくなっている。
鈴木氏によれば、LPI-Japanでは、こうした課題や実態を踏まえて、現在のシステムアーキテクトに求められる技術的な経験やスキル、能力などを議論し、技術者がそれらを習得していくため学習を体系化して、システムの現場が求める高度技術者を効率的に育成できるようLinuCシステムアーキテクト認定を開発したという。