生成AIで縮小する開発者の役割–より求められるビジネスへの注力

今回は「生成AIで縮小する開発者の役割–より求められるビジネスへの注力」についてご紹介します。

関連ワード (AI、仕事、自動化の未来、CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ソフトウェア開発者の役割が変わりつつある。それはすべて、人工知能(AI)の影響によるものだ。今や明らかなことだが、OpenAIの「GPT-4」やMicrosoftの「Copilot」などの生成AIモデルとアシスタントは、大量のコードをほぼ瞬時に、あらゆる言語とあらゆる目的で生成する能力に長けている。

 このテクノロジーが可能にする能力により、ソフトウェア開発者の役割は縮小されることになるだろう。現時点での論点は、それが「どれくらいの規模か」だ。

 業界観測筋の評価では、今のところは問題ない、とされている。

 しかし、生成AIが開発者の成功に寄与するのか、開発者の役割の多くを奪うのかについては、さまざまな反応がある。

 また、生成AIがアプリケーションモダナイゼーションに向けた地ならしに役立つ可能性もある。

 「生成AIは、開発者が自らの役割に向き合う姿勢を劇的に変え、まさに生産性の革命を引き起こそうとしている」。こう語るのは、The Planet GroupのLaunch Consulting部門でプリンシパル兼テクノロジーリーダーを務めるJoe Welch氏だ。「先頃のプロジェクトで『GitHub Copilot』を『VS Code』に組み込んだところ、プログラマーが10分かけていた小さな関数の作成などの作業が、30秒に短縮され、関数を説明するコメントを書くだけですむようになった。関数の実際のコードはCopilotによって作成される。多くの場合、これらの関数はそのままで正常に動作し、変更を加える必要はない。これは控え目に言ってもゲームチェンジャーだ」

 生成AIツールは開発者の退屈な重労働の多くを引き取る可能性があるが、こうした技術の登場によって、組織内での開発者の役割をより高い次元に引き上げる機会が生まれる。要するに、AIと自動化の時代における縮小とは、決して悪いことではなく、より興味深い新たな役割へとつながる可能性があるということだ。

 現在の業界は、生成AIプラットフォームがソフトウェア開発にもたらす力と生産性に沸いている。「多くの開発者にとって、生成AIはこれまでで最も価値のあるコーディングパートナーになるだろう」。コンサルティング会社KPMGのレポートにはこう書かれている。最終的には、過労でストレスを抱えていたIT担当者が、仕事から退屈な側面を切り離し、もっとビジネスに関係する重要な問題に専念できるようになるかもしれない。

 これは、基本的なレベルでは、プロジェクトでこなせる作業量が増えることを意味する。AIの利用が広がれば、「開発者がもっと多くのフレームワークやプラットフォーム、製品、記録システムに対応できるようになる」とKPMGのレポートの著者らは指摘する。「生成AIは、通常扱えるよりも幅広いプロジェクトに取り組むために必要な足場とガイダンスを提供するだろう」

 しかし、将来的にAIと自動化が仕事に与える影響という点では、生産性の向上は出発点でしかない。生成AIの採用拡大により、開発者はさらに高度な役割に対応し、AI提供リソースをまとめてビジネスの要件にマッピングすることも求められるだろう。「コードをどのように実行させたいのかを明確に説明する能力が、開発者にとって一段と重要になる」。Motorola Solutionsの最高技術責任者(CTO)を務めるMahesh Saptharishi氏はこのように述べた。

 「優れたユーザーストーリーによってAIに適切な情報を与えて、望ましい答えを得るとともに、質問のし方や結果をテストする方法を理解しなければならない」とSaptharishi氏。「ユーザーストーリーを機能や製品に変換するスピードが上がるにつれて、アジャイル方法論の調整が必要になるだろう。多くの点で、ソフトウェアが実行すべき内容をユーザーストーリーの形式で記述したものが、新しいコードになるかもしれない」

 このような重点の変化が「縮小」へとつながるが、それが意味するのは、実際のプログラミングの仕事が減少し、開発者がもっとビジネスに注力して、特定のアプリケーションに必要な機能の組み立てに力を入れるようになるということだ。

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