NTTコムウェアとNTT Com、AIで小規模水路の水位を予測–内水氾濫対策へ
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NTTコムウェアとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、茨城県取手市双葉地区において、農業用水路などの小規模水路を対象とした水位予測の実証実験を実施した。この実証実験は、集中豪雨などによる内水氾濫対策として、AIを活用した水位予測モデルの実用性を検証する目的で行われたもので、両社が4月9日に発表した。
NTTコムウェアは水位予測システムの開発とAIモデルの開発・検証を、NTT Comは実証実験の運営、水位観測およびデータ提供をそれぞれ担当した。
内水氾濫とは、降った雨水を下水道や水路といった排水システムが処理しきれず、行き場を失った水が地表にあふれ出し、道路や住宅などに浸水被害を引き起こす現象をいう。
近年、局地的な大雨による内水氾濫が多発しており、過去10年間の浸水被害の約7割が内水氾濫によるものとされている。2023年6月には、取手市双葉地域でも集中豪雨により大規模な内水氾濫が発生し、甚大な被害を受けた。小規模水路は、その特性から集中豪雨時に急激な水位上昇が起こりやすく、より迅速な対応が求められている。
この実証では、過去の水位データに基づき、AIを活用して排水機の稼働状況や水田の湛水状況といった要因を考慮した水位予測モデルを構築し、その実用性を検証した。特に、自治体の防災担当者のニーズに基づき、気象庁の予報降雨情報などのデータを用いて、対象水路において5分間隔で3時間先までの水位を予測することに成功した。さらに、避難指示発令のリードタイム確保のため、6時間先までの予測も可能なAIモデルとした。予測結果は、浸水対策、住民避難、交通規制といった事前行動の判断材料となり、被害軽減に貢献することが期待される。
また実証実験では、排水機が稼働していない時と稼働している時の両方のケースにおいて、予測水位が実際の水位の変動傾向をおおむね捉え、モデルの有効性が確認された。排水機稼働時の予測では、その人為的な要因も考慮した予測が可能であることが示されたという。
両社は今回の実証結果を踏まえ、水位予測ソリューションの提供を検討していく。今後も水害対策の現場に寄り添い、信頼性の高いソリューションを全国展開することで、地域防災力の強化に貢献していく方針だ。