「シェアサイクルと同じサービスに」──実証実験が進む電動キックボードの公道走行、商用化のめどは? 事業者に聞く
今回は「「シェアサイクルと同じサービスに」──実証実験が進む電動キックボードの公道走行、商用化のめどは? 事業者に聞く」についてご紹介します。
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「シェアサイクルと同様のサービスを目指す。既存の自転車用ポートに、電動キックボードも並ぶ状態にしたい」──電動キックボードのシェアリングサービスを開発するLuup(東京都渋谷区)の松本美沙音さん(社長室長)は3月2日、経済産業省がITベンチャーを集めて開催した展示会「NEW NORMAL LAB」で、同社が想定するサービスの提供形態についてこう話した。ただ「商用化の時期については定めていない」ともしている。
電動キックボードはペダルなどを漕がずに移動できるため、短い距離であれば自転車や徒歩より楽な移動手段として注目が集まっている。ただし日本の法律では原動機付自転車として扱われ、運転には免許やヘルメットの着用が必要になる。基本的には車道しか走行できず、シェアサイクルのように気軽に使える交通手段としては課題もある。
そこでLuupや、同じく電動キックボードのシェアリングサービスを開発しているEXx(エックス、東京都渋谷区)、mobby ride(福岡市)は、新しい技術の事業化に当たって法規制の特例措置を受けられる「新事業特例制度」を活用。20年10月から21年3月までの間、電動キックボードで自転車用の通行帯を走る実証実験を、東京都や福岡県で行っている。
4月から10月までは別の取り組みとして、都内などの一部エリアで電動キックボードを小型特殊車両として運用する実証実験も行う予定だ。こちらの実験では、ヘルメットの着用を任意化。走行できる速度もこれまでの時速20kmから15kmに変更し、安全性などを検証する。
松本さんによればこれらの実証実験は、電動キックボードの安全性や走行性能を検証するだけでなく、政府が規制緩和の時期などを検討する事例としての意味合いもあるという。
そのためLuupでは、電動キックボードを使ったシェアリングサービスを商用化する時期の目標などは定めていない。利用に免許が必要になるのか、ヘルメットが必要になるのかといったサービスの内容も含め、実験の結果から探っていく方針だ。
「例えば電動キックボードの利用にヘルメットが必要になるかどうかについては、まだヘルメットなしで日本の公道を走ったことがある人が誰もおらず判断ができない。人の命を扱う事業でもあるので、そういった懸念は実証実験で一つ一つ確かめていく」(松本さん)
ただしLuupは規制緩和後、電動キックボードの展開を渋谷区を中心に進める方針を固めている。これは同社がすでに200個以上展開しているシェアサイクル用のポートを活用するためという。九州を拠点とするmobby rideとの競合を避ける狙いもある。
利用時の料金は未定だが、松本さんは「海外では機体のレンタルに1ドル、以降は1分の利用につき15セントで提供しているケースがあり、これを参考にしたい」としている。
とはいえ、商用化までの道のりは遠い。「そもそも電動キックボードの認知度が低い」と松本さん。Luupでは今後、実証実験と並行して認知度の向上も目指す方針だ。
「電動キックボードが自転車のように一般的になる世界観が理想。現状では電動キックボードを知らない人の方が多いので、まずは人々に認識してもらいたい」(松本さん)
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