水素関連株との付き合い方–参考銘柄と投資戦略
今回は「水素関連株との付き合い方–参考銘柄と投資戦略」についてご紹介します。
関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
これら5点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
人類はいよいよ真剣に脱炭素(脱「化石燃料」)の構造改革を進める覚悟を決めたようだ。欧州に次いで、米国・日本でも脱炭素の構造改革が進む見通しとなった。深刻な大気汚染に苦しむ中国やインドなど新興国も脱炭素の目標を示すようになった。これには2つの理由がある。
近年の技術革新で注目すべきは、自然エネルギーによる発電コストの低下だ。かつて自然エネルギーによる発電で、発電コストが低いのは「水力発電」と「地熱発電」だけだった。それ以外はコストが高く、政府などによる補助金がないと育成できないと考えられていた。だが今では昔話だ。
近年は、発電コストの低下で商業ベースで流通させられる自然エネルギーが増えてきた。例えば、太陽光発電は政府による補助金がなくても、商業ベースで流通させられる「グリッドパリティー」を達成しつつある。洋上風力などもコスト競争力が高まっている。
ただし、自然エネルギーには1つ重大な問題がある。自然まかせなので、発電量の調整がしにくいことだ。また、需要地から遠く離れた場所で発電するものが多く、需要地(都市部)まで運ぶ送電線を確保するのが困難という問題もある。
電気エネルギーの最大の弱点は「保存」「運搬」が簡単にできないことだ。特に「保存」ができないことが重大問題だ。そのため、自然エネルギーによって大量の電気を得ても、それを有効に使う術がない。
アフリカの砂漠に太陽光パネルを敷き詰めて一斉に発電すれば、大量の電気を得ることができる。ところが、それを都市まで持ってきて使う術がない。仮に送電線を張り巡らせて砂漠の電気を都市まで運んできても、発電のタイミングと電力消費のタイミングがずれるため有効に消費できない。
この問題を解決する切り札の1つと考えられているのが水素だ。自然エネルギーによって発電した電気を水素に変え、水素を保存・流通させることで、エネルギー循環社会を作ろうとする試みだ。
以下の図をご覧いただきたい。
自然エネルギーから得た電気で水を電気分解すると、水素が得られる。その水素をエネルギー源とする、エネルギー循環社会を作ろうという考えだ。水素の運搬・保存も簡単ではないが、電気を運んだり貯蔵したりするのに比べれば容易だ。
今、水素流通インフラの整備のためにさまざまな企業が先行投資している。将来は低コストの水素流通インフラが実現すると予想している。
水素エネルギーを使う際、酸素と化学反応させる。そこで得られる電気を使う。それが燃料電池といわれる発電システムだ。そこで排気ガスは一切出ず、水だけが排出される。
技術的に越えなければならないハードルはまだたくさんあり、実現まで紆余曲折があると思うが、2040~2050年をめどにその技術革新・構造改革をやっていく方針を決める国が急速に増えており、今後、急速に技術革新が進むと考えられる。株式市場でも、水素関連株が折に触れて注目されるようになると思う。