インボイス制度開始後、全社的な業務負担増–Sansan調査
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2023年10月から開始されたインボイス制度下では受け取った請求書が「適格請求書」の要件を満たしていない場合、原則仕入税額控除の適用を受けられないため、企業は制度を正しく理解して対応する必要がある。インボイス制度開始後初めてとなる2023年10月分の月次決算業務が終了したことを受け、企業が直面している課題を明らかにするため調査を実施したと同社は説明する。
インボイス制度への対応に何らかの業務課題を感じているかという質問に対し、経理担当者500人のうち70.2%が「課題を感じた」と回答し、多くの担当者がインボイス制度対応への課題を抱えていることが分かった。
請求書受領について特に課題を感じたことの第1位は「請求書業務の負荷が増えた」(39.2%)、第2位は「社内理解が不十分で混乱が生じた」(28.6%)だった。また、業務時間の増加により他業務への影響が生じていることも分かった。「受領した請求書が適格請求書ではなかった」「適格請求書かどうかの判定が困難」といった項目も上位に入っている。
取引先から受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているかの確認方法は、「経理担当者による目視確認」が約7割に達した。その一方で受け取った請求書が適格請求書かどうかを確認していない人も15.0%いることが判明した。
インボイス制度開始に伴い、経理担当者が月次決算業務にかける時間が、1人当たり月平均11.9時間ほど増加。1営業日当たりの業務時間を7時間40分と換算した場合、約1.6営業日という結果だった。あくまでも1人当たりの増加時間のため、経理部門全体ではより多くの時間を要していることになるとSansanは指摘する。
非経理部門に所属する500人を対象にインボイス制度開始後の業務について聞いたところ、「業務が増えた」が69.8%という結果だった。
インボイス制度開始後に増えた業務として最も多かったのは「受け取った請求書が適格請求書かどうかの確認」で、「受け取った請求書に不備があった場合の修正対応」がそれに続いた。経理部門だけでなく、取引先と請求書のやりとりを行う他部門においても、インボイス制度を正しく理解し、請求書の内容確認や修正に関するやりとりを行うことが求められており、業務負荷が増大していることが明らかになったと同社は説明する。