野菜・果物など生ゴミ活用のオーガニックポリマー開発で水問題解決を目指すOIST発EF Polymerが4000万円調達

今回は「野菜・果物など生ゴミ活用のオーガニックポリマー開発で水問題解決を目指すOIST発EF Polymerが4000万円調達」についてご紹介します。

関連ワード (EF Polymer(企業)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(企業)、日本(国・地域)、気候変動(用語)、水(用語)、沖縄科学技術大学院大学 / OIST(組織)、資金調達(用語)、農業 / アグリテック(用語)等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


野菜・果物の不可食部分の残渣など有機性廃棄物から開発したオーガニックポリマーを手がける「EF Polymer」(EFポリマー)は4月14日、シードラウンドにおいて、総額4000万円の資金調達を発表した。引受先は、MTG Ventures、Yosemite、Beyond Next Ventures、エンジェル投資家の鈴木達哉氏(Giftee代表取締役)。2018年から始まった沖縄科学技術大学院大学(OIST)のスタートアップアクセラレータープログラムから生まれたスタートアップとしては、初めての大型資金調達事例となる。

EF Polymerは、OISTの2019年度スタートアップ・アクセラレーター・プログラムを通じ、当時22歳のインド人起業家兼CEOのNarayan Lal Gurjar(ナラヤン・ラル・グルジャール)氏らが設立。

生分解性廃棄物(生ゴミ)を新興国でも利用しやすい低コスト・持続可能な農業資材に変換することで、水不足など農業に関わるグローバルな環境問題を解決することをミッションとして掲示しており、野菜・果物の不可食部分の残渣をアップサイクルした環境に優しいオーガニックポリマーの開発を行っている。

現在オムツなどに使われ一般的に流通しているポリマーは、アクリル系ポリマーなど化学合成されたものが大多数であり、生分解せず土壌を汚染することや、土壌成分と化学反応し吸水力を失うことから農業利用に適していないという。

これに対してEF Polymerのポリマーは、柑橘系の果物やバナナの皮、サトウキビのバガスなど有機性廃棄物を基に開発を行っているそうだ。このポリマーは、自重の80~100倍の水を保持でき、土壌投入すると保水力と肥料保持力が高まり、40%の節水と20%の肥料削減が期待できるという。また100%オーガニックのため6カ月で完全生分解される。

インドではすでに累計1700kgを販売しており、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの支援を受けながら、500人以上の農家の協力の下パイロットテストを実施しているそうだ。

今日の地球上に存在する水のうち人類が利用可能な淡水は約0.01%しかなく、そのうち約7割が農業セクターにおいて消費されているという。これに加え、気候変動や環境汚染などに起因する農業用水の不足など、農家が直面している「水問題」は乾燥地域では特に深刻な課題となっているそうだ。

また、膨大に生み出される生ゴミも社会問題化しており、世界では毎年約2~3億トンの生ゴミを排出しているという。この生ゴミは、全体の30~40%しか利活用が進んでおらず、焼却インフラの少ない新興国では土壌埋設処分による汚染問題を引き起こしている。

そこでEF Polymerは、世界が抱える「水」と「生ゴミ」における社会課題を同時に解決するべく、生ゴミを「資源」として活用することでオーガニックポリマーを開発した。

またナラヤン・ラル・グルジャールCEOは、現在日本の有機農園は0.5%ヘクタールの土地しかなく、農林水産省は今後30年間で25%にまで有機農園を増やそうとしている点を指摘。バイオ廃棄物をリサイクルし、有機農産物を変換する同社のアプローチは、これらオーガニック農業の促進に役立つという。同社のEF Polymerは、有機農園を増やすというプロジェクトに貢献し得る大きな可能性を秘めているとした。

関連記事
・「ニューヨークのイチゴはまずい」植物工場で作った日本品質のイチゴを世界に届けるOishii Farmが総額55億円を調達
・台湾の水不足でわかるテックへの気候変動の脅威
・有機廃棄物をバイオプラスチックに変えるVEnvirotechが大規模なパイロットへ

COMMENTS


18302:
2021-04-16 18:56

CO2?それとも温室効果ガス? 気候変動問題に取り組む際、正確な用語の使用はとても重要。用語の混用によって生じる解釈のずれについて、Bloomberg記者が説明します。

18300:
2021-04-16 15:34

「ネットゼロ」:気候変動問題で重要な用語の正確性 bloomberg

18299:
2021-04-16 14:55

”…気候変動の報道に「気候緊急事態」という用語を使い始めることに同意しました。”

18298:
2021-04-16 09:05

一般向けの科学誌サイエンティフィック・アメリカンなどは、気候変動関係の報道で「気候非常事態」という用語を採用すると。2年前にガーディアンが「気候危機」を使うようになって報道用語にも変化の流れが。

18301:
2021-04-16 03:03

一般向けの科学誌サイエンティフィック・アメリカンなどは、気候変動関係の報道で「気候非常事態」という用語を採用すると。2年前にガーディアンが「気候危機」を使うようになって報道用語にも変化の流れが。

18303:
2021-04-16 02:01

BloombergJapanさんからRT: CO2?それとも温室効果ガス? 気候変動問題に取り組む際、正確な用語の使用はとても重要。用語の混用によって生じる解釈のずれについて、Bloomberg記者が説明します。…

Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
金融サービス企業のクラウド導入が拡大–慎重なリスク対策も重要に
IT関連
2021-08-20 17:29
「CP+2021 ONLINE」の来場者は5万150人 3月末までアーカイブを公開
くらテク
2021-03-03 11:00
LINE上でGoogle Play ギフトコードの購入が可能に LINEポイントで支払い可
ネットトピック
2021-06-26 15:18
豊田中央研究所が36cm角実用サイズ人工光合成セルで世界最高の太陽光変換効率7.2%を実現
EnviroTech
2021-04-23 00:18
「Exchange Server」攻撃が世界中で拡大、対応支援の要請殺到 中国の集団が関与か :この頃、セキュリティ界隈で(1/2 ページ)
セキュリティ
2021-03-10 10:16
ドコモ、「dミュージック月額コース」終了へ タワレコの新サービスに引き継ぎ
くらテク
2021-07-02 02:43
AWS、「Amazon ECS Anywhere」の一般提供開始
IT関連
2021-05-28 16:12
企業のアプリやサイトにチャット機能を簡単に搭載できるHyroが11.4億円調達、Twilioも投資
ネットサービス
2021-05-27 14:53
グーグルの「DVDスクリーンセーバー」イースターエッグでロゴが画面上で跳ね回る
ネットサービス
2021-05-16 13:55
和歌山県白浜町、企業誘致やワーケーションに向けてRPAの利用を開始
IT関連
2024-01-10 21:07
2021年もコロナ関連で給付金や経済刺激策を標的としたサイバー犯罪が増加と予測–クラウドストライク
IT関連
2021-04-20 08:22
「Copilot Pro」を「Outlook」で利用–電子メールの下書きや返信、要約を作成するには
IT関連
2024-04-14 14:13
BtoCからBtoBへと市場拡大図る–インフキュリオンのキャッシュレス決済サービス
IT関連
2023-12-27 22:25
「Linux」から「iCloud」のメモを管理するには
IT関連
2024-02-16 06:25