ミレニアル世代やZ世代を惹きつけたいインスタ風アプリSupernovaはSNS大手の「倫理的オルタナティブ」になれるか

今回は「ミレニアル世代やZ世代を惹きつけたいインスタ風アプリSupernovaはSNS大手の「倫理的オルタナティブ」になれるか」についてご紹介します。

関連ワード (優先、受賞歴、年間等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


Supernova(スーパーノヴァ)は新しいアプリで、Apple(アップル)とAndroid(アンドロイド)のアプリストアで公開されており、広告収入の大部分を慈善事業に寄付している。Instagram(インスタグラム)とFacebook(フェイスブック)の新しい「倫理的オルタナティブ」と謳う同アプリに、チャンスはあるだろうか?

Facebookがパノプティコン(一望監視施設)のような刑務所になり、米国政府の権力を覆そうとするプライベートグループに参加することを軽々しく提案するのを何年も見てきたか、あるいはInstagramをドゥームスクローリング(ネット上で悲観的なニュースや情報を読み続けること)して、自身や10代の子どもたちのメンタルヘルスが徐々に損なわれていくのを経験した後であれば、多くの人々は、より高潔な原則を持つ代替のソーシャルメディアプラットフォームに大きな満足を覚えるだろう。こうした代替のいくつかは何年にもわたって現れたり消えたり(RIP Path)しているが、Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏の悪徳のような支配から大衆を遠ざけることに成功した者はいない。

おそらく人々は忘れてしまっているかもしれない。Facebook(その延長線上でInstagram)がこれほど大きい唯一の理由は、広告収入がこうした無料サービスを支えているからだということを。もし広告主が、十分に魅力的なアプリでソーシャルメディアの群衆を取り込むことができる他の場所を持っていれば、FacebookとInstagramはある程度プレッシャーを感じ始めるだろう。少なくとも、理論上はそうなっている。

広告業界を知り尽くしている英国の起業家が、ミレニアル世代やZ世代にアピールするために設計された独自のソリューションを使って、これらの大手企業に対抗しようと計画している。これらの世代は一般的に、前世代よりもはるかに大義を支援したいという欲求に導かれている。

Supernovaの創業者でCEOのDominic O’Meara(ドミニク・オメーラ)氏(画像クレジット:Supernova)

Supernovaの創業者でCEOのDominic O’Meara(ドミニク・オメーラ)氏は、かつてSaatchi(サーチ)に在籍した広告の第1人者で、英国アカデミー賞の受賞歴もあり、同スタートアップを主に自己資金で運営している。同氏は次のように語っている。「ASICS(アシックス)のようなスポンサーやMQのような慈善団体は、このアプリに備わる、ユーザーの安全を中心に据えた包括的なソーシャルネットワークという要素を評価して、今回のローンチに参加することを選んでいます。Supernovaが補完するのはまさにそこに存在するギャップであり、私たちは今後数カ月から数年のうちにこのギャップを縮小し、社会に成果を還元するソーシャルネットワークとなることを目指しています」。

「私たちの技術とアクセシビリティは、ソーシャルメディアと広告の力を使って世界がお互いに心から助け合うこと、そしてそれらの行動がどこでどのように役に立っているのかを常に透過的かつ正確に見ることを可能にします」と同氏は付け加えた。

Supernovaはこれを、同社のプラットフォーム上で有害性を防止することにより実現しようとしており(その方法については後述)、ユーザーが「安全かつセキュアであり、友人たちとの前向きで、刺激的で、人生を肯定するようなインタラクションを持つことを推奨されていると感じることができ【略】ヘイト、人種差別、ホモフォビア(同性愛嫌悪)、極端な政治思想などを目の当たりにすることのない場所を作ろうとしている」。

ビジネスモデルはシンプルである。同社は広告収入の60%を世界の慈善事業に寄付し、寄付金は気候変動、動物福祉、緊急事態の対応、健康と福祉、ホームレス支援、人権、メンタルヘルス、海洋清掃の各項目について、会員の希望に応じて配分される。どの要因が最も多くの資金を得るかは、ユーザーによって決定される。

Supernovaによると、世界のソーシャルメディア広告市場の1%以上を獲得できれば、年間6億ポンド(約925億円)を慈善団体に寄付することになるという。対照的に、FacebookとInstagramからの相当額は510億ポンド(約7兆9000億円)となる。しかし当然ながら、その現金は現在すべてザック氏の金庫に入っている。

FacebookやInstagramがヘイトスピーチを禁止していることはよく知られているが、もちろん、実際に行われることはほとんどないことも私たちはわかっている。Supernovaはまず最初に、自社のコミュニティ基準に基づいて「100%人間によるモデレーション」を行うとしており、さらにはユーザー向けに完全な憲章を約束している。

Supernovaアプリ(画像クレジット:Supernova)

Instagramとの類似点はすぐにわかるだろう。ユーザーはコメントやメッセージングとともに写真やビデオを共有できる。ユーザーはフォローすることもフォローされることも可能である(1つか2つのバグが残っており、筆者のプロフィールは選択していないユーザーを自動的にフォローしているようだ)。

ユーザーはアカウントに対して、非公開、検索、フォロー、不要なユーザーのブロックなど、私たちが慣れ親しんできたソーシャルメディアツールのほとんどを設定することもできる。

ここで異なるのは、基礎となる仕組みである。

まず、ユーザーは自身のプロフィールで、Supernovaが広告パートナーから調達した資金を使って支援したい慈善分野を指定できる。

次に、ユーザーにナルシシズムを誘発することなく「Like」が慈善事業の広告収入の一部を得るための票のような働きをする。ユーザーの投稿に「Like」がついた場合、彼らが選んだ慈善団体は寄付として「Supernova Action Fund(Supernova活動基金)」のより大きな部分を得ることになる。

Superlikeや「Supernova」を獲得した投稿は、通常の「Like」の10倍の票を獲得する。ただし1つ難点がある。Supernovaを提供するには、まずユーザーが十分な「Karma Point」を獲得しなければならない。おそらくこれは、エンゲージメントを促進するためであろう。

今のところ、世界的なスポーツブランドであるASICSがSupernovaのスポンサーとなり、メンタルヘルスの慈善団体MQ Mental Health(MQメンタルヘルス)が最初に選ばれた慈善事業となっている。

また、Instagram(というよりFacebookのようなもの)とは異なり、Supernovaにはユーザーがグループに集まることのできる「グループ」機能がある。

オメーラ氏によると、Supernovaへの投資は「友人、家族」による資金調達ラウンドで100万ポンド(約1億5000万円)を超えており、2022年前半には機関投資家からのさらなる資金調達を予定しているという。

人間によるモデレーションについてオメーラ氏に尋ねたところ、次のように回答してくれた。「英国に拠点を置く訓練を受けたチームで、24時間体制で私たちが管理するシフト制を採用しています。彼らは若くて聡明な人材であり、主にコンピュータサイエンスの大学院や学部出身者です。会社の成長に合わせて社内で育成することで、チームが最初からコミュニティに親近感と共感を持てるようにしています」。ただし、同社の規模拡大に伴い、機械学習の支援を受けることになるだろうと同氏は言い添えた。

「Supernovaは、AIによって他のプラットフォーム上で活発に宣伝されている、有害で急進的なコンテンツから解放されます。その結果、Supernovaが万人向けではなく、熟慮される存在になることは間違いありません」とオメーラ氏は語っている。

Instagramでは禁止されていることで知られる乳首は同プラットフォーム上で許可されるのだろうか。

「すべては、投稿の内容や性質、投稿内のテーマによって異なりますが、コミュニティ基準に準拠しているかどうかは確実にチェックされます。違反した場合は削除されます」と同氏。

もし女性が母乳育児について説明しているのなら、それは許されるだろうかと筆者は尋ねた。

「その意図が明らかに有益であり、主題の真の側面を扱っている限りは、おそらくそうなるでしょう。もしその意図や内容が、その主題や私たちのコミュニティに対して、私たちの考えでは失礼であるか、有害であるか、あるいは否定的であるならば、コミュニティ基準や憲章を侵害することになり、削除されるでしょう」と同氏は回答した。

広告主にとってのメリットは何であろうか?

オメーラ氏は次のように語っている。「正しいことをしている『新時代』のソーシャルメディアの一部であることは、ブランドに害を与える可能性のある古い有害な秩序の一部であることとは対照的に、彼らのブランド(PR)にとってすばらしい価値があります。Deloitte(デロイト)によると、ミレニアル世代の80%は、他人の利益を自分の利益よりも優先するブランドからのみ購入したいと考えています。大手広告主は、ソーシャルメディアの現状に辟易しているようです。私は昨日、100億ドル(約1兆円)を超えるグローバル予算を投じている広告主に会い、そのことを明確に伝えられました」。

「当社のプロダクトは完全にスケーラブルで、ミレニアル世代のわずか1%にリーチすれば、毎日4000万人にスポンサー広告を届けられるでしょう。広告主たちが『量より質』を求めている今、これで十分です。1000社以上の広告主による42億ドル(約4822億円)規模のFacebookのボイコットは、その初期の兆候であり、今も消え去ってはいません。代替のオファーは今のところ提供されていません。そこにSupernovaが登場したのです」と同氏は付け加えた。

Supernovaが生き残れるのか、それともDavid Beckham(デイビッド・ベッカム)氏がローンチし、痕跡を残さず沈んだストリーミングソーシャルメディアアプリ、MyEyeになるのかはまだわからない。

タフで物議を醸す話題がこれまでほとんど登場してこなかった、一種の「バニラ(ありきたりな)」ソーシャルネットワークであるだけで、ユーザーを惹きつけるのに十分かどうかという疑問が残る。そして、潜在的に偏った人間によってコンテンツがモデレートされた場合、Supernovaはその決定を好まない人々から訴えられることになるのだろうか?

しかし、少なくとも今回の初公開からは、Supernovaは好調なスタートを切ったようだ。

画像クレジット:


【原文】

Supernova is a new app that has now gone live on the Apple and Android app stores, billing itself as a new “ethical alternative” to Instagram and Facebook, where most of the ad revenues go to charities. Does it have a chance?

It would be fair to say that after many years of either watching Facebook become a panopticon-like prison which jauntily suggests you join private groups to topple the U.S. government or doomscrolling through Instagram, where you and your teens’ mental health is slowly eroded, many people would be quite happy with an alternative social media platform with — please God — higher-minded principles. A few of these have come and gone over the years (RIP Path) but none have managed to wrestle the masses away from Zuckerberg’s vice-like grip.

Perhaps what people have forgotten is that the only reason Facebook (and by extension, Instagram) are as big as they are is that their advertising revenues prop up these free services. If advertisers had somewhere else to go that could capture the social media crowd with a compelling enough app, Facebook and Insta would start to feel some heat. At least, that’s how the theory goes.

Now, a British entrepreneur, who knows the ad industry inside-out, plans to take on these giants with a solution of his own, designed to appeal to millennials and Gen Z-ers who are generally led by a desire to support good causes far more than previous generations.

Dominic O’Meara, founder and CEO of Supernova. Image Credits: Supernova

Founder and CEO of Supernova, Dominic O’Meara, a former Saatchi advertising guru and Bafta Award winner who is largely bootstrapping the startup, said sponsors like ASICS and charities like MQ have chosen to join at the launch because of the app’s “inclusive social network with user safety at it’s heart. It’s exactly this gap that Supernova fills and we’ll be scaling into that gap as the social network that gives back in the months and years ahead.”

He added said: “Our technology and accessibility make it possible for the world to genuinely help each other using social media and the power of advertising. And to see transparently exactly how and where their actions are helping at all times.”

Supernova plans to do this by preventing toxicity on its platform (more on how in a moment) and aims to create a place where users feel “safe, secure and encouraged to have positive, inspiring, life-affirming interaction with their friends… without having to witness and endure hate, racism, homophobia and extreme politics.”

The business model is simple. It will give 60% of its advertising revenue to global charities, with the money distributed according to members’ preferences across the following subjects: Climate Change, Animal Welfare, Emergency Causes, Health & Wellbeing, Help the Homeless, Human Rights, Mental Health and Ocean Cleanup. Which causes get the most money is determined by users.

If it can capture 1% or more of the global social media advertising market, says Supernova, it would be passing £600 million a year to charities. By contrast, the equivalent amount coming from Facebook and Instagram would pump out £51 billion. But of course, all that cash currently goes into Zuck’s coffers.

Facebook and Instagram famously say they ban hate-speech, but of course, we know this rarely happens in practice. Supernova claims it will have “100% human moderation” to begin with, based on its Community Standards, and even pledges a whole Charter for users.

Supernova app. Image Credits: Supernova

So what is the app like?

Well, immediately you can see the similarities with Instagram. Users can share photographs and videos along with comments and messaging. Users can follow or be followed (although one or two bugs remain — my profile appeared to auto-follow users I hadn’t selected).

Users can also set an account to private, explore, follow and block unwanted users — basically most of the usual social media tools we’ve become used to.

What is different here is in the underlying mechanics.

Firstly, users can nominate in their profile which charitable field they want to support with the cash that Supernova gleans from its ad partners.

Next, instead of inducing narcissism in users, “Likes” work like votes for a share of the ad revenue for charities. When a user’s post is Liked, their choice of charity will earn a bigger slice of the “Supernova Action Fund” as a donation.

When a post gets a Superlike, or a “Supernova”, it gets 10x the regular “Like” in votes for the poster’s cause. But there’s a catch; to give a Supernova the user must first earn sufficient “Karma Points”, which are somehow determined via the user charter. Presumably this is to incentivize engagement.

So far, global sports brand ASICS is the first to sponsor Supernova and mental health charity MQ Mental Health is the first charity selected to benefit.

Next up, unlike Instagram (but more like Facebook) Supernova has a “Groups” facility where users can congregate in, well, groups.

O’Meara claims over £1 million has been invested in Supernova from a “friends, family” funding round, with a larger raise planned for the first half of next year with institutions.

I asked about human moderation. I was told by O’Meara that it would be done by “a trained team based in the U.K. and they cover in shifts managed by us 24/7. They are young, smart people mostly computer science grads/ undergrads and our intention is to develop them within the company as we grow, so that our team has an affinity and empathy for the community right from the start.” However, they will be assisted by machine learning as the company scales, he said.

“Supernova will free from the toxic, radicalizing content that is actively promoted through AI on other platforms. As a result, Supernova will certainly not be for everyone, and that is deliberate,” he said.

Will it allow nipples on the platform, which are famously banned from Instagram?

“It all depends on the context and nature of the post and subjects within it, but it would certainly be checked for accordance with our Community Standards. If in breach, it would be removed,” he said.

If the context was a woman explaining breastfeeding, would it be allowed, I asked?

“Yes, probably, so long as the intent was clearly informative and addressing a genuine aspect of the subject. If the intent or content was in our view disrespectful/harmful/otherwise negative towards the subject and our community, then it would infringe our Community Standards and our Charter and would be removed,” he said.

So, what’s in it for advertisers?

O’Meara said: “Being part of a ‘new era’ social media that is doing the right thing is great for their brands (PR) as opposed to being part of an old toxic order that potentially harms their brands. Deloitte tells us that 80% of millennials only want to buy from brands that put others’ interests above their own. Large advertisers are fed up with the social media status quo: I met one yesterday with a global budget in excess of $10 billion who told me exactly that.”

“Our product is entirely scaleable and if we reach only 1% of millennials we’ll serve 40 million people with our sponsor’s ads every day. That’s quite enough as advertisers are now looking for ‘Quality over Quantity’. The Facebook boycott of 1K+ advertisers spending $4.2 billion was an early sign of this and it hasn’t gone away, there just hasn’t been an alternative offer available to them and now there is: Supernova,” he added.

Whether Supernova will survive, or perhaps become another “MyEye” — the streaming social media app launched by David Beckham which sank without a trace — remains to be seen.

Questions remain over whether being a sort of “vanilla” social network where few tough or controversial subjects ever appear will be enough to attract users. And with content moderated by potentially biased humans, will Supernova end up being sued by those who dislike its decisions?

But at least from this first showing, Supernova appears to be off to a good start.

(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

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