計画と実績を読み解きが変化への対応力になる–Anaplanの中田社長
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Anaplanジャパンは、ビジネスの計画立案と実績管理、計画と実績の相関性などを分析する機能をクラウドサービスで提供する。長引くコロナ禍や高まるサイバーセキュリティのリスク、突如として発生した紛争など、ここ数年の企業のビジネスを取り巻く環境の変化はあまりに激しい。同社の社長執行役員を務める中田淳氏は、計画と実績のギャップを読み解き、行動するサイクルを早く回すことが、変化への対応において重要だと述べる。
Anaplanの直近の業績となる2022年1月期(通期)は、売上高が32.3%増の5億9220万ドルで、顧客数は57カ国約1900社に上った。日本法人のAnaplanジャパンも約50%成長してアジア太平洋地区で首位になり、顧客は約200社に達したとのことだ。
中田氏よれば、日本法人では大企業顧客が増加している。ユーザーが同社の機能を利用している領域は、サプライチェーンと会計で50%、残りは営業や人事などで、昨今は「デジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクトの予算と実績の管理に使う事例も出てきており、CIO(最高情報責任者)やCDO(最高データ責任者)から引き合いが増えている」(同氏)という。
どんな組織でも事業予算などの計画と実績管理は、ほぼ必須の業務だ。担当者の経験や勘に基づいて、Excelなどのファイルを使って属人的に行われていることが多い。Anaplanはそのための機能をクラウドサービスで提供するが、中田氏は、同社のサービスがExcelファイルの置き換えなどではなく、計画と実績のギャップを明らかにする分析ができる点が大きな特徴だと説明する。
2021年11月に「The autonomous enterprise」(自律型エンタープライズ)というビジョンを表明。人工知能(AI)技術を活用して、計画と実績の分析から相関性などの洞察を提示し、洞察を生かして最適化な結果を得ていくための行動につなげる――顧客企業がこのプロセスを自律的に回せるようにするようなイメージになるとのこと。また、各種業務システムからビッグデータを取り込み、分析処理できる能力の拡張に向けて「Anaplan Polaris」という計算エンジンも開発中で、2022年中にリリースする予定だという。
ビジネスを取り巻く環境変化のスピードが速まる昨今、実績が年度当初などに立案した計画通りにならないことが当り前のようになってきた。計画の精度を高めても予想し得ないほどの変化が現実に起きるので、その影響に対応できない。中田氏は、半年前から次年度の計画を属人的な作業で立案するような伝統的なやり方では変化に対応できないと指摘する。
「ある化学品メーカーは、さまざまな制約によって製品の半期ごとに限界利益しか把握できないという課題を抱えていた。そのためAnaplanを導入していただき、月次で把握できるようになった。このような取り組みは、結果的に損益につながる。予算と実績に差が生じたなら、コストを下げ利益を確保するか、それとも売り上げを伸ばし利益を維持するかなど、対処方針をすぐに意思決定できるよう支援する」
近年の導入目的で多いというサプライチェーンは、コロナ禍による半導体不足などの課題を抱えているが、そこに大規模災害や事件、事故、サイバー攻撃、紛争などの突発的な事象が発生するリスクが高まり、例えば、製造業では工場の生産ラインの停止頻度が増えてきている状況だ。中田氏は、「サプライチェーンレジリエンス(回復力、しなやかさ)とも呼ばれるが、起きている変化を知り、いかに早く対応するかが重要になる。最近ではサプライチェーンの上流からAnaplanを導入される事例も目立つ」という。
このような市場環境から2023年1月期の日本の事業戦略では、社員数を4割増の100人規模とし、業界別の営業体制も現行の組み立て製造、プロセス製造、サービスの3部門体制から自動車製造と金融を加えた5部門体制に拡大させ、60%のビジネス成長を目指す。