グローバルなデータセンターの電力消費量が4年で2倍以上に急増、国際エネルギー機関が予測。今後のAI分野の競争は電力調達が勝敗を握るようになるか?
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国際的なエネルギー安全保障や経済成長、環境保護などを掲げるIEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)は、2024年から2年後の2026年のエネルギー関連予測を記した「Electricity 2024」において、グローバルなデータセンターの電力消費量は2026年には2022年の2倍以上に急増するとの予測を明らかにしました。
この電力消費量は日本全体の電力消費量に匹敵するとのこと。
同機関はこの予測の中で、データセンターにおける電力消費の急増を抑えるには、効率化を含む規制の更新と技術的改善が不可欠であるともしています。
該当箇所のエグゼクティブサマリーを引用します。
Electricity consumption from data centres, artificial intelligence (AI) and the cryptocurrency sector could double by 2026.
Data centres are significant drivers of growth in electricity demand in many regions. After globally consuming an estimated 460 terawatt-hours (TWh) in 2022, data centres’ total electricity consumption could reach more than 1 000 TWh in 2026. This demand is roughly equivalent to the electricity consumption of Japan. Updated regulations and technological improvements, including on efficiency, will be crucial to moderate the surge in energy consumption from data centres.データセンター、人工知能(AI)、暗号通貨による電力消費は、2026年までに倍増する可能性
データセンターは多くの地域で電力需要増加の大きな原動力となっている。2022年に世界全体で推定460テラワット時(TWh)を消費したデータセンターの総電力消費量は、2026年には1000TWh以上に達する可能性がある。この需要は日本の電力消費量にほぼ匹敵する。データセンターによるエネルギー消費の急増を抑えるには、効率化を含む規制の更新と技術的改善が不可欠である。
長引くロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ地区への攻撃による中東地域のル安定化は、天然ガスや石油を中心とするグローバルなエネルギーの調達網にとって大きな不安定要因です。
こうした状況で、今後3年間で2倍に急増すると予測される電力の調達は楽観視できるものではないでしょう。大手クラウド事業者やデータセンター事業者にとって、安定的な電力の調達は、今後の成長にとって優先的な課題となりそうです。
今後はAIを動かす大量の電力調達が競争力となってくるか
特にAIの分野における電力消費量の急増は非常に大きなものになることが確実視されています。
OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、1月に行われたダボス会議において、今後のAIの進化は「There’s no way to get there without a breakthrough」(エネルギー面でのブレイクスルーが欠かせない)と発言しており、核融合発電に注目していることを明らかにしました。
これはマイクロソフトが世界で初めて、2028年から核融合電力を購入する契約を米ヘリオン・エナジー社と結んだことを念頭においた発言と見られています。
日本国内においても、データセンターにおけるAI分野の電力消費は2027年には現在の1.5倍になるとIDC Japanが予測しています。
現在、AIの活用や進化には大量のGPUもしくは専用のAIチップの調達が競争力の面で重要とされ、大手クラウドベンダやデータセンター事業者は独自のAIチップの開発やNVIDIAからの調達を積極的に行っています。
しかし十分なチップが供給されるようになると、次の段階はその膨大なチップを動かすための大量の電力の調達こそが重要になってくる。サム・アルトマン氏の発言とマイクロソフトの動きは、すでにそうした先を見据えて動き始めていることの裏付けでしょう。