NEC、NEXCO中日本へ交通状況の監視システム納入–光ファイバーセンシング技術を活用
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NECは中日本高速道路(NEXCO中日本)に対し、光ファイバーセンシング技術や人工知能(AI)を活用し、車両の走行時における振動から位置、速度、進行方向などの交通流を可視化する高精度監視システムを3月に納入した。NECが5月24日に発表した。
同システムは、光ファイバーの片端に取り付けるセンシング装置や独自開発した分析AIエンジンなどで構成され、高速道路沿いに敷設されている通信用途の光ファイバーインフラを活用して、高速道路上の交通流を連続的に推定する。
高速道路事業者は、道路管制のため高速道路上で発生する異常事象の発見や交通流の時系列的な傾向を捉える必要があり、ループコイルなどの交通量計で部分検知(狭域検知)による計測を行っている。従来の計測方法で広域にわたり連続的な交通流を高い精度で検知するには、交通量計の複数かつ高密度での設置が必要となり、導入・維持の両方でコストなどの課題があった。
NECはこれまで、光ファイバーセンシング技術を活用して電柱のひび割れの検知や道路の交通モニタリングの共同実証を実施しており、その知見を生かして光ファイバーケーブル自体をセンサー化する光ファイバーセンシング装置を提供している。今回、新たに車両の走行振動から交通流を連続的に把握する分析AIエンジンを開発し、同装置に組み合わせることで高密度かつ高精度に交通流を可視化するシステムを構築した。
同システムは、光ファイバーセンシング装置で走行車両に起因する振動情報からデータを生成する。このデータを分析AIエンジンにより、時間方向かつ距離方向に連続的な走行の軌跡に変換し、1km/1分ごとの平均速度と所要時間を推定する。これにより、広域にわたり過去から現在に至る交通状況の変化をデジタル上に再現することが可能となり、監視漏れのない連続的な監視や事故・渋滞の早期検知といった道路管制の高度化を手助けする。
なお、新たに開発された分析AIエンジンは、環境ノイズが多いデータでも走行車両の振動の軌跡を抽出することが可能だという。走行軌跡や環境ノイズを模擬した合成データのみで構築した学習モデルを使用し、明瞭な振動情報から順に入力して出力をマスキング処理する反復プロセスを採用することで、環境ノイズにより不明瞭な走行車両の振動情報でも走行の軌跡を抽出できる。これにより監視漏れを防止して、広域で高密度かつ高精度の交通流把握が可能になるとしている。