第44回:列伝4人目「伝説のひとり情シス」
今回は「第44回:列伝4人目「伝説のひとり情シス」」についてご紹介します。
関連ワード (「ひとり情シス」の本当のところ、運用管理等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ひとり情シス協会が編集した「ひとり情シス列伝」の第四章は、当時300人規模の中堅企業で情報システム部門が突然消滅してしまい、200台のサーバー環境を一人で立て直した、書籍「ひとり情シス虎の巻」(日経BP社)、連載「ひとり情シス顛末記」(日経クロステック)著者の黒田光洋さんです。ご存じの方も多いと思いますが、日本でひとり情シスの実態をレポートした第一人者です。
そんな黒田さんにも絶望や落胆した過去があります。しかし、新たな困難や技術に挑戦する中で、知らないことを調べながら立ち向かっていく姿勢が形成されたそうです。黒田さんは列伝の中で、ひとり情シスとしてうまくやるための8つの提言をしています。ここではその内の2つを紹介します。
私がひとり情シスの連載を始めたときには、「一人はリスクがある」「一人でやることなどできない」などの大きな反響がありました。これは正しい面もありますが、私が経験したようにどうしても一人でやらなきゃいけない事情やタイミングも企業によってはあるでしょうし、コロナ禍を受けて初めてデジタル化に対応するためにひとり情シスを任命するような会社もあります。
ひとり情シス体制をどうしても避けられないときは、やはり経営層や周囲の人たちが最大限の支援をしてあげてほしいです。私も大変な時期はありましたが、後に振り返ってみると、周囲はこちらを見てくれていて、サポートしてくれることばかりだったことが分かりました。
その後、情シスの人数は2人、3人と増えていきましたが、それはそれで簡単ではありませんでした。チームとしての仕事の配分やプロジェクトの進行管理などもとても苦労しました。ひとり情シスは、一人で全て決められるためやりやすい面もあるのは事実です。最近は、ひとり情シスから増員されることも多いと思いますが、採用やチームワークの難しさを克服にするには、用意周到な面接や受け入れ態勢など綿密な計画と実施が必須です。
やはり、データベース構築やプログラミングができると有利です。自分自身で内製できる可能性が出てくるので、既存システムの修正や追加などが自由になり、運用性はとても上がると思います。今後、IT人材はますます不足してきますので、スキルが高まるとさらに活躍の場は広がるでしょう。
一方で、これからの時代には、これが絶対的なロールモデルであると提示するのが難しいです。会社の働き方改革や、個人のワークライフバランスなどが進みつつある時代で、プライベートな時間を犠牲にし、苦労して勉強し続けることも少し疑問があります。私も一時期は忙殺されましたが、常に考えていたのは家族との時間や余暇の活用でした。そのために、自動化レベルを上げたり管理性を高めたりして、少しでもゆとりの時間を長く確保しようという気持ちが原動力になっていました。
以前と比べてIT環境はトラブルが少なくなり多くがクラウド化され、初期導入も簡単で便利なツールも増えてきました。IT経験が浅くても、ITベンダーに恵まれさえすれば、より低コストで運用できる環境になってきました。しかし、あたかも近未来に必要になるようなソリューションの抱き合わせ販売を提案するITベンダーには閉口します。私も未熟な時代には、ITベンダーの提案の中身を理解しきれず、余計なものを買ってしまったこともありました。ITベンダーが提案する内容の妥当性を第三者的に確認できる知り合いがいるといいでしょう。