グーグル・クラウドが伴走者–顧客主体の内製開発プログラム「TAP」を提供

今回は「グーグル・クラウドが伴走者–顧客主体の内製開発プログラム「TAP」を提供」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 グーグル・クラウド・ジャパンは9月27日、企業や組織の内製化を支援するプログラム「Tech Acceleration Program」(TAP)の提供に関する記者会見を開催した。会見ではTAPの詳細と、同プログラムを導入したカインズの事例も併せて公開された。

 TAPは、システム開発の内製化を目指す企業のために、より迅速で効率的なアプリケーション開発を体験するワークショップ。同プログラムではGoogle Cloudのサーバーレスコンピューティングサービス「Cloud Functions」やローコード開発基盤「App Engine」、コンテナーオーケストレーションサービス「Kubernetes Engine」などを利用し、組み合わせることで、クラウドネイティブなアプリケーションの開発、実行、運用に必要な機能をエンドツーエンドで提供する。また、顧客の目的に応じて、データベースや機械学習などの製品を組み込むことも想定しているという。

 TAPには、「ソフトウェア プロトタイピング サポート」と「アーキテクチャ設計サポート」の2つのメニューを用意。ソフトウェア プロトタイピング サポートは、3~5日間で開発予定のアプリケーションに関するプロトタイプをグーグル・クラウドのカスタマーエンジニアが支援する。カスタマーエンジニアはあくまでも伴走者として開発をサポートするため、顧客自身がシステムやデータを利用し、プロトタイプ開発を行う。そのため、サポート終了後も顧客自身で開発を進めることができる。

 具体的なスケジュールを示すと、ワークショップの前段階である「Day0:Planning」では、カスタマーエンジニアが顧客の実現したいビジネス目標や課題をヒアリングし、プロトタイピングするアプリケーションの内容や利用する技術などを決める。グーグル・クラウド・ジャパン 技術部長(インフラ、アプリケーション開発)安原稔貴氏は、プログラム実行に当たりDay0が最も重要になると話した。

 「Day1:Training」は、プロトタイプの開発に向けて必要になるスキルのトレーニングを行う。利用する製品の説明や継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)、SRE(Site Reliability Engineer)に関する知識も必要に応じて補足する。「Day2:Service Design&Architect」では、プロトタイプ開発のためのサービスデザインやアーキテクチャーを顧客とのディスカッションを通して設計し、「Day3-4:Develop Prototype」でカスタマーエンジニアが構築を支援しながらプロトタイプを開発、デプロイを実施する流れだ。実施後はプログラムの振り返りを行い、必要に応じて継続支援のためのトレーニングや内製化支援のパートナーを紹介する。

 他方、アーキテクチャー設計サポートは、新規システムのアーキテクチャー設計や既存システムの再設計を支援する。顧客の課題や目標をヒアリングし、最適なアーキテクチャーをアウトプットするためのサポートをする。また、課題解決だけでなく、継続的な支援について提案を行うプログラムになっている。

 グーグル・クラウド・ジャパン 執行役員 ソリューションズ & テクノロジー担当 菅野信氏は同プログラムの提供について、「内製化に注目が集まる一方で、企業は成功体験や人的リソースの不足、目的や組織の習熟度に合ったサービスが分からないなどの課題を抱えている」と説明。同社が掲げる「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速する」というミッションから、TAPを通して企業の課題改善に取り組みたいとコメントした。

 また、TAP提供を機に、グーグル・クラウド六本木オフィスに顧客とプログラムを実施するための専用ルームを開設した。ホワイトボードやスクリーンなどの設備を整えた多種多様な部屋を用意し、ディスカッションやアプリケーション開発を行う。内装は今後も変化させていく予定だという。

 実際にTAPを導入したカインズは、EC(電子商取引)システムの課題解消と需要予測サービスの稼働を目的にワークショップを実施した。同社は、2019年にデジタル戦略本部を設立し、デジタル人材の採用強化やグループ会社IT部門との統合を行った。また、顧客体験(CX)の向上に向けた新サービスの開発やローコードアプリの開発による業務のデジタル化、ECやアプリのマイグレーションなどを推進している。

 カインズ デジタル戦略本部 システム統括 プロダクト開発部 部長 菅武彦氏は、組織の拡大やプロダクトの増加、システムの拡充により課題が見えてきたという。現場のエンジニアからは「どこに作れば良いか分からない」「どこにデータがあるか分からない」などの声が挙げられた。また、機能やデータの重複や横断したプロジェクトの遅延、システムのコストが膨れ上がるという課題も上がった。

 そこで、TAPを通して実際にワークショップを実施。2022年4月に開始したECシステムのワークショップでは、ワークフローを描き業務プロセスやシステム間連携の可視化を行った。その結果、カインズのECシステム担当者による「システム設計のクセ」が見つかり、全体最適の視点で見る必要があると指摘を受けたという。また、全体を見た上でのマイクロサービスの設計や、それに伴うチームの体制・役割なども含めてプログラム内で学んだ。

 2021年12月に開始した需要予測サービスのプロジェクトでは、当時データサイエンティストやエンジニアが社内に不足していたことから、TAPを通してグーグル・クラウドのカスタマーエンジニアと協力し、アーキテクチャー設計からプロトタイピングまでを実現。実際にプログラミングを行い、現在では需要予測サービスを本稼働させている。

 TAP受講後はエンジニアだけでなく、マネジメントを担う従業員も含めてさまざまな気づきを得たと、菅氏は話す。全体アーキテクチャーの視点が欠けていたため、現場のエンジニアとグランドデザインを作成。また、ドメイン分割、データモデリングの課題を洗い出し、分割の単位について議論を重ねてマネジメント層への提起を実現した。その結果、組織の再構成につながったという。

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