NTTデータの2022年度業績は増収増益–世界市場を狙う一端が鮮明に

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 NTTデータは5月11日、2022年度(2023年3月期)決算を発表した。旺盛なIT需要に支えられた好調な業績となる一方で、同社が真のグローバル企業に向けて本格的な一歩を踏み出す節目ともいえる内容となった。

 同社が発表した2022年度の連結業績は、売上高が前年比36.8%増の3兆4901億円、受注高(NTT Ltd.除く)が同13.5%増の2兆7256億円、営業利益が同21.9%増の2591億円、税引前利益が同12.5%増の2428億円、当期利益が同4.9%増の1499億円と、好調ぶりを示す結果となった。

 1つ目の旺盛なIT需要の影響について代表取締役社長の本間洋氏は、「公共・社会基盤セグメントでは、前期に獲得した国内大型案件の反動減や、不採算案件による損失の計上があったが、通期では全てのセグメントで規模が拡大し、増収増益になった。NTT Ltd.の連結を除いても増収となっている」とコメントし、「IT投資の目的が既存業務のIT化から、デジタルを活用したサービスやビジネスモデルの創出に変化している。今後も国内外でのデジタル関連領域において良好な受注環境が見込まれる」と成長戦略に自信を見せた。

 2025年度を最終年度とする中期経営計画では、「ITとConnectivityの融合による新たなサービスの創出」「Foresight起点のコンサルティング力の強化」「アセットベースのビジネスモデルへの進化」「先進技術活用力とシステム開発技術力の強化」「人財・組織力の最大化」の5つの戦略に掲げ、戦略の実行によって。高い成長力を維持することになる。

 ここでは、業際連携やNTT Ltd.との連携により、事業分野単体の枠を超えたサービスの創出、Foresight起点の方法論やメソッドの開発および活用に加えて、経営からITまでを一体化したコンサルティングブランドサービスを新たに確立していく。さらに、事業を通じて生み出した暗黙知をアセット(形式知)に昇華させ、知識集約型のビジネスモデルへと進化させる。アセットを含めたベストプラクティスをサービスとして提供することにも取り組んでいる。

 2022年8月には、世界6カ所に「イノベーションセンタ」を設立し、中長期的な技術戦略の策定支援や、顧客との共創を通じてビジネス適用での検証などをグローバルレベルで進めているという。こうした取り組みが旺盛なIT需要の刈り取りにつながっている。

 さらに、デジタルを中心とした新たなIT需要へ柔軟に対応できる体制作りにも積極的だ。同社が「Strategic Investments」と位置付ける注力技術や、インダストリーの強化を目的にした投資では、2023年度も前年度同様に320億円規模を計画。テクノロジーをベースとしたデジタルデリバリー力の強化に約190億円、インダストリーのデジタルオファリングの強化に約70億円、先進技術の活用力強化に約30億円、業界連携やサステナビリティー(持続可能性)ビジネスの推進に約30億円を投資する予定だ。ここでは、中長期的な成長に向けた次世代ビジネスの拡大や発掘も同時に進めるという。

 もう1つのグローバル企業に向けた進化としては、2022年10月から連結対象となったNTT Ltd.とのシナジー効果が挙げられる。実際6カ月間だけでも、売上高の押上げは5828億円の規模に達している。本間氏は、「2022年度決算においてNTT Ltd.の連結による拡大影響が大きい」としながら、「NTT Ltd.との海外事業の統合により、当社のグローバル事業を一層加速させていく」と意気込む。

 NTTデータは、2022年10月のNTT Ltd.の統合により海外事業会社のNTT DATA, Inc.を設立。2023年7月から持株会社のNTTデータグループ、国内事業を担当するNTTデータ、海外事業を担当するNTT DATA, Inc.の3社体制に移行する予定だ。さらに、2024年度からは、「Regional Units」と「Global Units」で構成する新たなオペレーティングモデルを推進することも発表した。

 Regional Unitsでは、欧州・中東・アフリカ。南米、アジア太平洋、北米の3地域に分けてNTTデータの海外グループ会社とNTT Ltd.のビジネスを統合し、地域単位で一元的にオファリングを提供できる統合体制に移行する。各地域での顧客エンゲージメントを強化するという。

 またGlobal Unitsでは、NTT Ltd.によるデータセンターやネットワークといったグローバル共通のサービスを提供する「Global Technology Services」と、SAPのビジネスを展開しているNTT DATA Business Solutionsおよび各リージョン組織との連携によって、サービス提供を強化する「Business Solutions」で構成する。さらに、コーポレート機能の全体最適化を実現するとともに、グローバルレベルでのサービスやデリバリーによる成長戦略、パートナー戦略を推進していくことになる。

 本間氏は、「海外事業の統合前からそれぞれに実行してきた事業構造の改革により、質を伴った成長が順調に進展している。海外事業は、2022年度の調整後EBITA率が8%。営業連携の強化や海外事業の再編を本格的に推進することで、2025年度にEBITA率10%の達成を目指す」と述べた。

 EBITA率は、北米では既に7.1%の水準に達しており、欧州・中東・中南米でも4.3%まで上昇。NTT Ltd.も6.8%に達している。

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