挑むのは“DX課題の最先端”–電通デジタル、トランスフォーメーション事業を解説

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 電通デジタルは7月26日、DXを通して企業の変革を支援する事業領域「トランスフォーメーション領域」について説明会を開催した。

 同社は2016年に設立され、顧客企業数は1000社以上。2022年度の売上総利益は401億円、売上総利益の年平均成長率(CAGR)は22.4%、従業員数は設立当初の約4倍となる2550人で、2030年には5000人を目指している。

 電通デジタルは、パーパスとして「人の心を動かし、価値を創造し、世界のあり方を変える。」を掲げており、説明会に登壇した代表取締役社長執行役員の瀧本恒氏は「最初にある『人の心を動かし』という文言には、クリエーティビティーを大事にしているわれわれの思いがこもっている」と述べた。

 同社は4月、電通グループのAI専門会社データアーティストを吸収合併し、AI領域を強化。2022年12月には電通デジタルを含む電通グループの横断組織が広告クリエーティブ制作を支援するAI「∞AI(ムゲンエーアイ)」を開発し、2023年5月には「ChatGPT」をはじめとしたAIツールを利用できるAPIを全従業員に付与した。AI領域の強化について、瀧本氏は「誰よりもAIを活用した会社になる。これにより、AIの良い所も、もしかしたら悪い所も誰よりも知っている会社になりたい」と語った。

 電通デジタルはDXを(1)IT導入/業務効率化期、(2)事業変革/新価値創造期、(3)世の中ゴト化――に分類しており、日本では(1)を経て(2)の段階に入っていると見ている(図1)。(3)について瀧本氏は「われわれには、新しく作った事業や価値を世の中に広めていく力がある」とアピールした。

 電通デジタルはデジタル広告/マーケティングを手がける「メディア&コミュニケーション領域」、ウェブサイトやECにおけるユーザーインターフェース/ユーザー体験(UI/UX)の向上支援などを行う「クリエイティブ領域」、企業のテクノロジー活用を手助けする「テクノロジートランスフォーメーション領域」、DXコンサルティングを行う「トランスフォーメーション領域」の4つで構成されている。

 同社は自社を「デジタルマーケティング会社」と呼んでいたが、4月から「クライアント企業と社会・経済の『変革と成長』にコミットする総合デジタルファーム」とうたっている。「デジタル広告領域におけるわれわれの認知度は、かなり高まっていると感じている。以前から取り組んでいるマーケティングITやDXコンサルの認知度についても高めていきたい」と瀧本氏は自社の方向性と説明会開催の意図を説明した。

 執行役員の安田裕美子氏は、これまでのDXではIT基盤の導入や他社事例の参照など「企業基点の変革」を行っていたが、変革の実践に取り組む「社会/顧客基点の変革」へ移行する段階に入っていると説明し、「日本のDXのステージが変わってきている」と述べた。

 こうした中、企業には「既存事業の深化・高度化」と「自社らしい新規事業の創造・開発」を両立させる“両利きの経営”が求められるといい、電通デジタルは顧客企業との二人三脚・クリエーティビティー基点・新たな価値の具現化を特徴とする「創造的伴走」で支援するとしている(図2)。

 「両利きの経営は『言うは易く行うは難し』だが、われわれのお客さまは日本の伝統的な大企業が多い。日本の大企業の資本や“顧客”という最大の資産を活用し、既存事業を深化させて顧客基盤を盤石にするとともに、顧客に使ってもらえるサービスをお客さまのビジョンに沿って展開させられるか否かが競争力を分ける」と力を込めた。

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