筑波大の授業DBがメンテ、困った新入生が代替ツールを“爆速開発” その背景を本人に聞いた (1/2 ページ)
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新学期、履修の登録期間真っ只中のタイミングで筑波大学の授業データベース(DB)がまさかのメンテナンス入り。その代替ツールを入学直後の1年生が開発してしまった──そんなエピソードがネット上で話題になっている。
その渦中にいるのは、同大の情報学群に入学したばかりの、いなにわうどん(」を1人で開発した。授業名のキーワードや開講する曜日、学期などを指定すると授業シラバスが表示される。
筑波大の学生は全授業の内容がまとめられているKdBを参考に履修科目を決めるが、 4月5日、KdBがメンテナンスに入ることに。当初は7日に復旧予定だったが、その後期間が延長され、13日午後6時時点でも復旧していない。そこで、いなにわうどんさんはKdB(もどき)を開発。“もどき”のほうが大学公式のKdBよりも優れているとの声もある。
実際、代替ツールの公開を告知するツイートには「有能すぎる」「感謝しきれてもしきれない。同門生として誇りに思う」「むちゃくちゃ助かります!」など筑波大の在学生から称賛の声が多数上がっている他、政府CIO補佐官の楠正憲さんも「どんどん優秀な子たちが出てきていて、彼らが活躍できる世の中を作れるかは僕ら大人の責任」とツイートするなど学外でも反響を呼んでいる。
そんな注目を集める、いなにわうどんさんはどんな人物なのか。本人に話を聞いてみた。
3時間半で作成した「KdB(もどき)」
いなにわうどんさんがKdB(もどき)を開発したきっかけは、「(KdBのメンテナンスで)履修科目を紙媒体で探さなければいけなくなったため」という。筑波大で開講中の授業数は7000以上。Twitterでも他の学生から不満の声が噴出していた。KdBの構造を分析し「この程度であれば実装できそうだと判断し、制作に至った」といなにわうどんさん。第一版の制作から公開までに要した時間は「大体3時間半程度だった」という。
急ピッチで開発したKdB(もどき)。その仕組みはこうだ。
Excelの科目データをスクリプトを用いてJSON(JavaScript Object Notation)というデータ形式に変換。KdB(もどき)内の検索窓に入力されたキーワードやラジオボタンと連動してフィルタリングしたものを表示している。
KdBには科目データをExcel形式で出力できる機能が実装されており、メンテナンス直前に保存した科目データを活用した。脆弱性を指摘する意見も一部あったが、「大学のサーバとの通信は一切ないので、セキュリティ面やサーバへの負担といった懸念はない」という。
「公式のKdBよりも動作が軽量になった」との声も オープンソース化で機能強化中
いなにわうどんさんによると、KdB(もどき)は公式のKdBよりも動作が軽量になり、検索時間の大幅短縮につながった。ユーザーからも「今までよりも軽くなっていて使いやすい」との声が上がっているという。開発中の苦労については「特に苦労した点はなく、勉強を進めていけばどなたでも制作できると思う」とのこと。
KdB(もどき)はその後、ソースコードをGitHubで公開し、オープンソース化。現在は有志の同級生や上級生も開発に参加し、検索結果をCSVデータとしてダウンロードする機能など追加機能の実装やバグ修正を行っている。
こうした動きにいなにわうどんさんは「Twitterを始め多くの反響があったこともさることながら、何よりも、筑波大の生徒有志が続々と追加機能を実装し、サイトの改善に努めて下さったという点に、驚きを隠せません」と話す。
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