「Wi-Fi 6E」が実現する新しい無線通信–数々の利点といくつかの注意点

今回は「「Wi-Fi 6E」が実現する新しい無線通信–数々の利点といくつかの注意点」についてご紹介します。

関連ワード (ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Deloitteの接続性に関する調査によると、新型コロナウイルス感染症によって次のような変化が起きたという。「ほぼ一夜にして、消費者の物理世界とデジタル世界の境界線が曖昧になり、自宅がバーチャルな仕事、学習、フィットネス、ヘルスケア、ショッピング、社交、娯楽の拠点になった」。それらすべてを実現するには、これまで以上に多くのWi-Fi機器と高速帯域幅が必要になる。そこで「Wi-Fi 6E」の出番だ。

 2022年に平均的な家庭で使われていたネットワーク接続デバイスの数は22台だった。筆者のようにギガビットイーサネット(GbE)と10GbEを使用している人もいるが、ほとんどの人は自宅やオフィスでWi-Fiを使用している。仕事をするにも、テレビドラマ「スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド」のストリーミングにも、「Minecraft」での採掘にも、Wi-Fi 6Eの通信速度が必要だ。

 エンジニアリング分野では802.11axとして知られるWi-Fi 6Eは、無線通信の最新規格であり、Wi-Fi 6の機能を6GHz帯に拡張する。この5.925GHz~7.125GHzの新しい周波数帯は、最大1200MHzのスペクトルを追加し、帯域幅の拡大、高速化、遅延の低減を実現する。

 Wi-Fi 6Eのもう1つの利点は、チャネルが既存のWi-Fiの帯域幅と重複しないことだ。現在は限られた帯域幅に複数のチャネルが詰め込まれており、特に2.4GHz帯(1999年に802.11bが標準化されてからずっと使用されている限定的な周波数帯)は、Wi-Fiの渋滞の原因となっている。これは現実世界の交通渋滞と同様に、スループットの低下と遅延を引き起こす。

 Wi-Fi 6Eの160MHzチャネルのトラフィックレーンでは、扱えるデータ量も大幅に増加する。どれくらい増えるのだろうか。Wi-Fi 6デバイスの理論上の最大速度は9.6ギガビット/秒(Gbps)だが、実環境では1Gbpsをわずかに超えるくらいが精一杯だ。Wi-Fi 6Eの場合、筆者はNETGEARの「Orbi 960 Series Quad-Band WiFi 6E Mesh System」を使用して、1.5Gbpsを超える速度を出すことができた。それほど速くなるということだ。

 どのようにしてこの速度が実現したのか。これには複数の要因が関係している。

 まず、Wi-Fi 6Eは2.4GHzと5GHzもサポートしているが、新たに追加された6GHz帯によって、さらに14の80MHzチャネル、または7つの160MHzチャネルを扱うことができる。周波数帯が高くなればなるほど、詰め込むことのできるデータの量が多くなる。

 Wi-Fi 6Eは、マルチユーザー多入力多出力(MU-MIMO)もサポートする。この規格により、アクセスポイント(AP)は同時に複数の受信機にデータを送信しつつ、同時に複数の送信機からデータを受信することもできる。後者はメッシュネットワークのパフォーマンスの最大化に有用だ。

 Wi-Fi 6Eは、1024値直交振幅変調方式(1024-QAM)を使用して、同じ周波数帯でより多くのデータをエンコードする。また、ビームフォーミングによって特定の範囲でのデータレートを高めることで、特定のデバイスのネットワークキャパシティーの向上も可能だ。最後に、直交周波数分割多元接続(OFDMA)を活用して、チャネルを共有することにより、混雑したWi-Fi環境においてアップリンクとダウンリンクの両方のトラフィックのネットワーク効率向上と遅延低減を実現する。

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