「Fujitsu Uvance」への懸念を富士通の事業責任者にぶつけてみた
今回は「「Fujitsu Uvance」への懸念を富士通の事業責任者にぶつけてみた」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
富士通が今後の事業の中核にすべく注力している新たなソリューション群「Fujitsu Uvance」。同社にとっては抜本的なビジネスモデルの転換を意味する。果たして、思惑通り世の中に普及させていくことができるか。筆者はソリューションの内容より、ビジネスのやり方を変えるマネジメントに懸念を感じる。その懸念を、この事業を担うトップに記者説明会の質疑応答でぶつけてみた。
「Fujitsu Uvanceは新たな事業ブランドとして、今後の当社の事業の中核になっていく」
この事業を担うトップである富士通 SEVP グローバルビジネスソリューションビジネスグループの高橋美波氏は、同社が9月25日に開いたFujitsu Uvanceの事業内容に関する記者説明会で、こう強調した(写真1)。
Fujitsu Uvanceは、富士通が2021年に立ち上げたグローバルソリューションの事業ブランドで、2030年の社会の在るべき姿を起点に、その実現に向けて起こり得る社会課題をクロスインダストリーで解決するための取り組みを指す。具体的には、サステナブルな社会へ移行する「サステナビリティトランスフォーメーション(SX)」をミッションに掲げ、社会課題を解決する4分野のインダストリー、それを支える3分野のテクノロジー基盤、合わせて7つの分野を重点領域として注力していくといった内容だ。
記者説明会の内容は関連記事をご覧いただくとして、ここでは高橋氏が事業戦略の説明の中で提示した図1だけを取り上げておきたい。この図で目立つのは、売り上げ目標の数字だ。富士通の売上高は2022年度(2023年3月期)で約3兆7000億円。そのうち、Uvance事業は約2000億円だったが、これを2025年度(2026年3月期)には約7000億円まで引き上げるというものだ。
つい、この目標の数字に目が行ってしまうところだが、筆者が着目したのは、ビジネスモデルとして「業種業務軸の商品から社会課題軸のオファリングへ」「顧客IT部門の要件主導からイシュードリブン、コンサルティングリードへ」「個社対応のシステムインテグレーション(SI)からグローバル共通サービスへ」といった転換が必要になるのを明示していることだ。
富士通にとって、Fujitsu Uvanceはビジネスモデルの転換である。Fujitsu Uvanceを語る時は、まずこのことを念頭に置かないといけない。この点について、筆者は本サイトでのもう一つの連載である「今週の明言」の9月22日掲載記事「富士通が注力する『Uvance』はSAPとの協業拡大で勢いづくか」で、「富士通にとって従来のSIを中心としたビジネスからUvanceに移行していくというのは、『組立加工産業から装置産業へのビジネスモデルの転換』を意味するのではないか」と記した。
そして、「ビジネスモデルの転換は、企業としてこれまでやってきたことを根本から変えなければ、うまく行かない」とした上で、「富士通はUvanceの目的として『社会課題の解決』『サステナブルな社会の実現』を挙げている。それは正しい方向だろう。だが、果たして同社が今やろうとしていることが全国の富士通ユーザーに理解されているだろうか」との懸念を示した。
この懸念を、次のような質問の形にして、記者説明会の質疑応答でぶつけてみた。