「中堅中小企業が日本経済の創造的な破壊を生み出す源泉に」–AWSジャパンとアクセンチュアが予見

今回は「「中堅中小企業が日本経済の創造的な破壊を生み出す源泉に」–AWSジャパンとアクセンチュアが予見」についてご紹介します。

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 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)とAccenture(アクセンチュア)は10月19日、両社が共同で実施した調査レポート「日本においてクラウド主導経済が現実のものに:中堅中小企業(MSME)を通じてクラウドが経済と社会に与えるインパクトとは」を発表した。

 現時点で従業員250人未満の国内の中堅中小企業の基本的なクラウド導入割合は68%程度だが、同レポートでは2030年までに90%の企業がクラウド技術を導入し、1兆9000億円相当の生産性向上効果と520万人の雇用を支えると予測している。AWSジャパン 執行役員 パブリックセクター技術統括本部 統括本部長の瀧澤与一氏は同レポートについて「中堅中小企業においては一つの示唆を示す重要なレポート」と述べつつ各種支援プログラムの活用を促した。
AWSジャパン 執行役員 パブリックセクター技術統括本部 統括本部長 瀧澤与一氏

 同レポートはAmazon Web Services(AWS)の委託を受けたアクセンチュアが医療業界、教育業界、農業業界の中堅中小企業562社を対象に、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、インドネシア、インド、日本、韓国、ニュージーランド、シンガポール、英国、米国の12カ国でクラウド技術の導入状況を調査した。

 特に日本は従業員250名以下の中堅中小企業が99%以上を占めるものの、AWSジャパンは経済協力開発機構(OECD)の調査データを用いて「民間労働力の69%、国内総生産(GDP)の約50%を中堅中小企業が担っている」(瀧澤氏)と述べながら、日本経済において創造的な破壊を生み出す源泉になると予見している。

 また、同レポートではOECDや国際連合(UN)の呼称に合わせて中堅中小企業を「MSME(Micro SmaII and Medium Enterprise)」と呼称。零細企業やスタートアップ企業を含むことを明示するためだとAWSジャパンは説明した。Accenture Managing Director and Economic Insights LeadのAaron Hill氏は同レポートの作成において、「より大きな資本収益と労働収益を生み出しつつ経済活動に貢献し、地域社会で社会的成果を上げるかに着目した」という。

 アクセンチュアはクラウド導入や成熟度に合わせて「基礎レベル」「中レベル」「アドバンスレベル」の三段階に分類し、「国内企業の90%が基礎レベルのクラウド技術を導入している状況を、『クラウド主導経済』と定義した」(Hill氏)とOECDの調査結果を引用した。

 しかし日本では、SaaS型メールサービスやクラウドストレージなど専門的な知識を持たずに利用する基礎レベルに振り分けられる企業の割合は68%。CRM(顧客関係管理)やERP(基幹系情報システム)などのクラウドサービスやクラウド型データベースを活用する中レベルと、AIや機械学習(ML)をビジネスに活用するアドバンスレベルを合計しても、2019年時点では4%未満にとどまるという。Hill氏は「OECD全体の平均は44%。中レベルは19%、アドバンスレベルは13%。クラウド技術の可能性を実現するには道半ば」であると説明した。

 同レポートは医療、教育、農業業界の中堅中小企業562社を対象に「経済的/社会的インパクト」を念頭に調査を実施しているが、アクセンチュアによれば医療業界においては2030年までに総雇用者数7%に相当する520万人の雇用と、年間1兆9000億円相当の生産性向上が見込めるという。

 医療業界においては多様な理由から施設に出向けない患者がクラウド経由で受診すると、6000万件のオンライン医療相談と年間1兆2000億円相当の生産性向上を創出。教育業界もeラーニングに代表されるオンライン教育も約2000万人の成人と400万人の学生が受講すると、185%増の年間5000億円相当に達する。

 農業業界も年間1000億円相当の増額を見込んでおり、三軒に一軒の農業従事者は精密農業ソリューションの使用率が130%増加すると調査結果を説明した。一方、アクセンチュアは「クラウドソリューション導入時の課題を克服する必要がある。われわれの調査では4つの障壁があり、サイバーセキュリティとインフラ組織文化、スキル(不足)が顕著だ」と述べている。
クラウドの導入段階と4つの課題

 AWSジャパンは、2013年から60億ドルのAWSクレジットで中堅中小企業/スタートアップの成長を促す「AWS Activate」や、企業変革を実現する日本独自の「ITX Lite」、2023年7月から提供を開始し、60社中17社を採択して独自の大規模言語モデル(LLM)を開発する「AWS LLM開発支援プログラム」と多数のプログラムを用意してきた。

 また、10万を超えるという「AWSパートナーネットワーク」やAWSで動作するソフトウェアやサービスを導入できる「AWS Marketplace」、600以上の無料トレーニングコースを用意した「AWS Skill Builder」、クラウド能力を遊びながら鍛えられる「AWS Cloud Quest」は2023年10月から日本語版も提供している。

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