秘匿化データによるマテリアルズインフォマティクスを実証–SBTと日本ゼオン

今回は「秘匿化データによるマテリアルズインフォマティクスを実証–SBTと日本ゼオン」についてご紹介します。

関連ワード (製造 x IT等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 SBテクノロジー(SBT)と日本ゼオンは12月3日、秘密計算技術を用いて秘匿化データによるマテリアルズインフォマティクスの実証実験を行うと発表した。異なる企業がそれぞれのデータを秘匿化したまま共有して高い予測精度を保ったAIの実現を目指す。12月末まで実施する。

 実証実験では、日本ゼオンと同社グループのZeon Chemicalsのデータで学習したAIモデルへの秘密計算技術の適用を検証する。日本ゼオンは、2021年から企業間を安全に接続した上でデータ連携により強化されたAIモデルの活用を可能にするデータプラットフォームの構築を目指し、自社実験データへのマテリアルズインフォマティクスの導入を進めてきた。2023年からはマテリアルズインフォマティクスへの秘密計算技術実装の検証にも取り組んできたという。

 しかし、自社のデータだけでは学習データ量が足りず予測精度の向上に課題があったという。また、企業顧客が利用できる物性予測が可能なAIシステムを開発したが、推論時のクエリーとなる配合条件と物性予測結果が企業顧客にとって秘匿の情報に当たるため、企業顧客が日本ゼオンのAI予測システムを利用することが難しかったとのことだ。

 他方で、SBTは2022年からサプライチェーンや同一業界内など異なる企業間でデータ連携を可能にする秘密計算技術の有用性に着目して基礎研究を進め、ソフトウェア方式の秘密計算技術の検証、評価や顧客とのビジネスの検討に取り組んできたという。今回は、SBTの実績で日本ゼオン側の課題を解決できる可能性が見いだされたことにより、実施に至ったという。

 実証を行う物性予測AIシステムは、ゴムの物性予測AIの処理を秘匿化するTEE(信頼できる実行環境)とウェブシステムを利用顧客別に分離する環境の2つで構成され、物性予測AIを秘匿化して学習データを提供者以外にアクセスさせず、AIの学習にのみ用いる。推論のクエリーと結果を推論の利用者がウェブを介してのみ確認できる環境の実現を検証する。

 SBTがシステム全体のアーキテクチャー設計とTEEを含むインフラ構築を担当し、日本ゼオンはゴム業界の専門知識を必要とするアプリケーションを開発する。

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