RPAで終わるべからず–業務プロセスの高度化を訴求するBlue Prism

今回は「RPAで終わるべからず–業務プロセスの高度化を訴求するBlue Prism」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 コロナ禍の前の2010年代後半に、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)がブームに沸いた。手作業で繰り返す定型業務をソフトウェアロボットで自動化することにより、年間に多くの業務時間を節約できる。その効果を認めて日本中の組織がRPAを導入した。その現状と将来はどうなるのか――老舗RPAベンダーで、現在は新体制となったBlue Prismに話を聞いた。

 Blue Prismは英国に本拠を置き、2000年代前半からRPAを手掛けてきた。金融機関のバックオフィス業務を効率化するためのソフトウェアを出自としており、同社は業務の効率化に加え、金融レベルのガバナンスとセキュリティも兼ね備えたソリューションに強みがあると説明する。2022年3月に、ビジネスプロセスマネージメント(BPM)サービス大手のSS&C Technologiesの買収により、現在は「SS&C Blue Prism」のブランドで事業展開している。

 RPAは、例えば、定型の帳票に記入された内容を読み取り、コンピューターへ自動的に入力するといった役割を担う。多くの企業や組織でこうした業務が手作業で行われていたが、RPAを導入すれば、自動化により年間に数百、数千時間に相当する業務を効率化できるとあって日本ではRPAブームが沸き起こった。ただし2023年現在では、RPAブームは下火となっている。

 Blue Prism 製品戦略本部長の柏原伸次郎氏は、「RPAは、個々の従業員が担っていたタスク(作業)を自動化する効果が認められて多くの組織に導入され、それが一段落している状況にある。他方で、現在は多くの組織が業務システムやアプリケーションのモダナイズ(最新化)に取り組んでいる。今後は、新しい業務システムとプロセスによる『インテリジェントオートメーション』を実現していけるかが焦点になる」と説明する。

 近年は、多くの日本企業がDXを経営課題に位置付ける。DXの本質は、既存のビジネスモデルの変革や新しいビジネスモデルの構築により収益性などの向上を目指すものとされる。DXには、前者に当たる本来のDXと、バックオフィス業務などを最適化する「社内DX」や「コーポレートDX」などと呼ばれるものに大別される。後者は、ついコスト削減や無駄、非効率性の排除などが目的とされがちだが、本質としては、やはり前者の収益性向上などにつなげるためのテーマになる。

 柏原氏によれば、Blue Prismが着目しているのは後者のDXになり、ここでインテリジェントオートメーションをキーワードに設定している。SS&C Blue Prismとなったのは、顧客組織のインテリジェントオートメーションを実現するビジネスを展開していくためだという。

 SS&C Technologiesは、世界40カ国の106都市でBPM事業を展開し、金融やヘルスケアを中心に約2万社の顧客を抱える。同社のマネージングディレクター SS&C Blue Prism グローバルヘッドを務めるMike Megaw氏は、Blue Prism買収の目的について、「われわれとBlue Prismが得意とする市場の特性が似ていながらも、われわれの『Chorus』(SS&CのBPM製品)とBlue PrismのRPAを組み合わせることにより、インテリジェントオートメーションを顧客へ提供できるようになるからだ」と述べる。

 BPM製品は、ビジネスプロセスの設計や実行、管理の機能を備える。Chorusには、これらに加えてローコード/ノーコード開発環境もあり、Blue PrismのRPAを加えたことで、高次のビジネスプロセスの設計や開発、実行、管理とセキュリティ、ガバナンスを兼ね備えるインテリジェントオートメーションのプラットフォームに進化したという。

 そもそも同社が掲げるインテリジェントオートメーションとは何か。柏原氏によれば、BPMを中心としたビジネスプロセスを基盤として、業務プロセスにまつわるさまざまなデータを活用しながら、RPAが「デジタルワーカー」(人に代わって業務処理を実行するプログラムやシステムなどの概念的な呼称)として定型業務あるいはメールやチャットなど顧客とのデジタルな接点におけるやりとりなどを担い、効率性や生産性に優れ収益性に貢献する高度化された業務プロセスになる。

 Megaw氏によれば、SS&Cの顧客における実際のインテリジェントオートメーションの進展状況はそれぞれに異なるものの、「分かりやすいところでは、業務時間やコストの削減をKPI(重要業績指標)に設定して優れた結果を出しており、多様なKPIによってROI(投資対効果)を測定しながら継続的な業務プロセスの高度化を進めている」と説明する。SS&Cは、主要顧客の金融やヘルスケアの領域で実績を高めつつ、パートナーと連携した業種別ソリューションも拡大させているという。

 日本市場に対しては、「今後10年間でインテリジェントオートメーションの普及が見込まれるとても有望な市場だ」(Megaw氏)とし、現在はChorusを含む製品サービスの日本対応を進めているとのこと。2024年第2四半期を目標に、日本向けのソリューション製品を投入する計画だ。ここでは生成AI技術を活用したデジタル業務アシスタントや、ローコード/ノーコード開発によるカスタムアプリケーションを生かして、顧客の業務プロセスのさらなる自動化を促進できるようにしていくとする。

 柏原氏も、少子高齢化に伴う労働人口の減少が今後の日本企業の成長をより困難にするため、インテリジェントオートメーションへの取り組みが必要だと述べる。しかし、インテリジェントオートメーションの実現には、具体策の検討などの手がかりとなるデータが不可欠で、同氏は「多くの企業において、まず分析のためデータが足りていない」と課題を指摘する。

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