ニュータニックスは日本市場でどのようにビジネスを拡大していくのか
今回は「ニュータニックスは日本市場でどのようにビジネスを拡大していくのか」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ニュータニックス・ジャパン 代表執行役員社長の金古毅氏と、日本ビジネスシステムズ 代表取締役社長の牧田幸弘氏の「明言」を紹介する。
米Nutanixの日本法人ニュータニックス・ジャパンは先頃、今後の事業方針について記者説明会を開いた。日本法人社長で米国本社コーポレートバイスプレジデントも兼務する金古氏の冒頭の発言はその会見で、Nutanixが提供するソリューションの最大の特長について述べたものである。
2009年創業のNutanixは、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)分野の草分けとしてハードウェアも手掛けてきた経緯があるが、元来ソフトウェアメーカーを指向していた。今ではHCIの管理ソフトウェアを進化させたハイブリッド/マルチクラウド構築・運用プラットフォーム「Nutanix Cloud Platform」を中心にビジネスを展開している。
同社が先頃発表した2023年度(2023年7月期)の売上高は18億6000万ドルで、前年度比18%増と伸長した。2024年度(2024年7月期)は20億8500万~21億1500万ドルの見通しだ。同社 最高経営責任者(CEO)のRajiv Ramaswami(ラジブ・ラマスワミ)氏は2023年度の業績について、「成長と収益性のバランスのとれたものであり、当社のバランスシートはより強固になった。今回の業績発表に関連し、当社取締役会により、最大3億5000万ドルの自社株買い戻しが承認されたことも発表する。これは、当社の長期的な市場機会と業績見通しへの自信の裏付けである」とのコメントを寄せた。一時期、売却話もうわさされただけに、この経営トップのコメントによって同社の今後の成長を期待する気運が高まりそうだ。
2022年6月に日本法人の経営トップに就任した金古氏は会見で、日本においての2024年度の事業戦略として図1に示すように4つの重点領域を挙げ、次のように説明した。
「この4つの重点領域は2023年度から継続した内容だが、ここにきてソリューションが一段と強化され、Nutanix Cloud Platformがお客さまのお役に立てる領域が大きく広がってきている。サイロ化した複数のクラウドを無理やり束ねるのではなく、クラウド全体をオンプレミスやエッジも含めてシンプルかつ効率的に1つのプラットフォームとして運用する。そして、その上で動いているアプリケーションはもちろん、アプリケーションが利用しているデータも自在にあらゆる場所から提供できる。そうした真のハイブリッドクラウド/マルチクラウドを実現するためのデータ中心のプラットフォームとして、Nutanixはお客さまのビジネスを支えてきたい」
同社がここ数カ月の間に発表したソリューションとして目を引くのは、今話題の生成AIを活用できるようにした「Nutanix GPT-in-a-Box」、Ciscoとの提携によるハイパーコンバージドソリューション「Cisco Compute Hyperconverged with Nutanix」、そして今回の会見で日本での動きとして明らかにした、Microsoftとの提携による「Nutanix Cloud Clusters on Microsoft Azure」(NC2 on Azure)の日本リージョンでの提供開始だ。NC2 on AzureはNutanix Cloud PlatformをMicrosoft Azure上で利用できるようにしたソリューションである。
金古氏は説明の最後に図2を示しながら、「Nutanixだけがハイブリッド/マルチクラウドをシンプルかつ効率的にできる」と改めて強調した。最大のキーワードは「シンプル」だ。ただ、この分野はまさしく激戦市場だ。どういう形で顧客拡大を図っていくか。同氏の手腕に注目していきたい。