NEC、パートナー企業と共に「社内DX」を加速–地域人材の活用に着目

今回は「NEC、パートナー企業と共に「社内DX」を加速–地域人材の活用に着目」についてご紹介します。

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 NECは、2025中期経営計画の中で「コーポレート・トランスフォーメーション(社内のDX)」「コアDX(NECの顧客のDX)」「フラッグシッププロジェクト(社会のDX)」を経営の中核に設定している。2022年10月には「社内DX」の一環として、「社内DX開発センター」を設立。2023年7月には、札幌、仙台、鹿児島、宮崎の4拠点に「リモートDXセンター」を設立した。

 ここでは、リモートDXセンター設立の背景や取り組みについて、宮崎拠点からリモートDXセンターに参加するイー・アンド・エム 第1開発本部 本部長代理の矢野剛士氏と同社 第1開発本部 第6開発部 部長の平木利光氏、NEC コーポレートIT・デジタル部門 基幹DX開発センター 上席プロフェッショナルの楠見晃氏に話を聞いた。

 NECは、自らをゼロ番目のクライアント「クライアントゼロ」として実験台となり、蓄積した生きたノウハウを顧客に提供することを目指している。現在、社内DXのプロジェクトは大小合わせて230あり、営業や人事などの領域での業務改革やサイバーセキュリティの高度化、コラボレーションツールの導入などを行っている。

 社内DX開発センターでは、社内DXを”超高速”で進めるために、開発ルールや基盤環境の整備、採用技術とハンズオントレーニングの提供を行っている。一方で同社は、社内DXで、さらにクイックに、アジャイルに、常に変化に対応する仕組みを実現するため、社内だけでなく、異業種やパートナー企業、アカデミアなどとの協業が不可欠だとした。

 そこで、パートナー企業4社と共に、NECの社内DXを高速化するための体制づくりとしてリモートDXセンターを発足。楠見氏は「われわれが社内システムを開発、実証し、ノウハウを蓄積し、デリバリーして結果を出すというスピード感、そのようなことがリモートDXセンター立ち上げの背景にある」と説明。またNECは、同センターの立ち上げにおいて社内DXの強化だけでなく、地域のDX人材育成や地域人材の活用にも着目しているという。

 札幌、仙台、鹿児島、宮崎を最初の4拠点として選定した理由について同氏は、「長期的な活動を想定しているため、立ち上げは、当社と長い付き合いのあるパートナー企業を選ばせていただいた。今後は間口を広げていかなければいけないので、この経験を踏まえてどのように進めて行くかを考えていく」とコメントした。

 宮崎の拠点からリモートDXセンターに参加するイー・アンド・エムは、1986年からNECのプロジェクトに参加しており、リモートDXセンターでは約20人がプロジェクトに従事している。現在は、以前からNECとのプロジェクトに参加していたメンバーと、ウェブ関係の案件に携わってきたメンバーで構成されているという。

 20年以上、NECのさまざまなプロジェクトに携わってきた矢野氏は、リモートDXセンター立ち上げの事前準備に関わり、現在はイー・アンド・エムにいながらNECが進めるプロジェクトに就いている。

 プロジェクトは、各拠点のパートナー企業が得意とする分野や方向性によってバランスを見て振り分けていると楠見氏。一方、大規模なプロジェクトは宮崎拠点だけでなく仙台などほかの拠点のメンバーと共に進めることもあるといい、イー・アンド・エムは業務改革と調達に関わるプロジェクトに参加しているという。

 イー・アンド・エムがリモートDXセンターの拠点になったことについて矢野氏は、「宮崎にリモートDXセンターが設立されたことで、地域に根付いた環境で、DXのスキルを磨く機会ができた。当社でも非常に注目されている」と話す。同社では「DX戦略タスクフォース」を展開し、DX人材の育成に注力している。従業員がタスクフォースを立ち上げ、業務とは別にDXに必要なプログラム言語や生体認証技術といったスキル、資格の取得を行う。

 しかし、DX戦略タスクフォースはあくまで個人が勉強や研究をしているため、業務の中でアウトプットできないことがあるという。「リモートDXセンターは、地域の中でスキルや勉強する機会、また実際のプロジェクトの中で経験を積むことができる」と矢野氏は言い、非常に感謝していると述べた。

 また、これまでNECとの取り組みでは、案件ごとにプロジェクトを発足し、案件が終了すると解散という流れだったという。「多少、経験者が残るにしても、人員を継続して確保することが難しく、再び依頼が来ても即座に十分な人数を集めることができなかった」(矢野氏)

 リモートDXセンターではプロジェクトに携わる人材が常駐する体制をとっているため、人員の確保や育成といった点からも計画が立てやすく、プロジェクトに対しても迅速な対応ができるようになったという。楠見氏は、「パートナー企業と互いに長期的な視点で計画を立てることができるため、若手人材やリーダーの育成なども共に考えることができるようになった」としている。

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