「OAからDXへ」と転換を図るリコーに求められることは何か
今回は「「OAからDXへ」と転換を図るリコーに求められることは何か」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴って、ITベンダーも従来の物販からサービス提供へとビジネスモデルの転換に迫られている。それは、複写機をはじめとした事務機器のベンダーも同じだ。その代表格であるリコーも今、かつての「オフィスオートメーション(OA)」からDXへとビジネスのシフトを図っている。そうした動きにおいて、これから求められることは何か。同社の会見から探ってみた。
「OAメーカーからデジタルサービスを提供する会社への変革を進めている」
リコーでデジタルサービスビジネスユニットのプレジデントを務める入佐孝宏氏は、同社が12月7日に開いた事業戦略説明会でこう語った。会見全体の内容については関連記事をご覧いただくとして、本稿では同氏が語ったビジネスモデルの転換についての話が非常に興味深かったので取り上げたい(写真1)。
入佐氏によると、リコーにおけるデジタルサービスの売上比率は2022年度(2023年3月期)で44%。これを2023年度(2024年3月期)には49%、2025年度(2026年3月期)には60%超に引き上げていく計画だ。
そのための主な取り組みとして、「オフィスサービス事業の収益成長」と「オフィスプリンティング事業の持続的な体質強化」を挙げた。前者については「グローバルの顧客基盤へのオフィスサービスの導入およびストック収益の積み上げを進めるとともに、買収による自社製品の強化など、収益性改善のための投資を実施する」、後者については「成熟フェーズに移行している中、販売モデルの見直しや価格の適性化、他社との協業および生産効率のさらなる向上などの取り組みを通じて、コスト競争力を高めながら投資の原資となるキャッシュを持続的に創出する」と説明した。
その上で、目指す姿として「ワークプレイスサービスプロバイダー」を掲げ、「ITサービス」「ビジネスプロセスオートメーション(BPA)」「コミュニケーションサービス(CS)」を注力する領域と定めている。そして、それらのビジネスを推進するリコーの強みとして、グローバルで140万社を数える「顧客基盤」、地域密着の販売・サポート網からなる「顧客接点」、付加価値の高い製品・サービスによる「知的財産(IP)」を挙げた(図1)。
では、デジタルサービス事業をどのように加速していくのか。入佐氏は図2を示しながら、次のように説明した。
「当社がお客さまに提供する価値としては『“はたらく”に歓びを』とのスローガンのもと、具体的に(図のように)3つを掲げている。その価値を提供するため、多くのお客さまにご利用いただいている『リコースマートインテグレーション(RSI)』と呼ぶプラットフォームなどをベースに、とりわけBPAとCSの領域に経営資源を集中して事業の成長を加速させていきたい」
この図2の内容が、リコーのデジタルサービス事業の今後の戦略として、今回初めて明らかにした内容である。図の中央に色も変えて記されているのでBPAとCSに目が行ってしまうが、注目すべきは左に記されている「提供価値」だ。言い換えると、図に示されている3つが同社のデジタルサービスの目的であり、ユーザーが同社のソリューションを受け入れるかどうか判断するポイントである。