神戸発のAI新製品が生まれる可能性を感じて–マイクロソフトAI施設の取材記
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来訪者58社・224人、利用申し込み19社・24件――これは、2023年10月11日に日本マイクロソフトが神戸市で開設した「Microsoft AI Co-Innovation Lab Kobe」のオープンから2カ月の利用状況だ。いま話題のAIの専門施設として世界で6番目となるだけにもっと多くの来場者があるのかと考えていたが、所長の平井健裕氏は「決して少ない数ではない。順調な滑り出しと考えている」と話す。平井氏の言葉と現地取材から同施設の特性と目指す方向が見えてきた。レポートする。
Microsoft AI Co-Innovation Labは、神戸商工貿易センターの上層階、とても景色の良い場所にある。開設に協力した川崎重工業をはじめ、製造業の多い場所に設置された。所長の平井氏は、「最大の特徴はAIを使った新サービスを創出する際、1対1でお客さまとキャッチボールをしながらサポートしていくことができること」と話す。
「Microsoft AI Co-Innovation Labは世界に6カ所あり、うち3カ所が2023年に開設された。製品を生み出すためのプロジェクトにはさまざまなステップがあるが、専任技術者がサポートする体制によって、プロジェクトを加速していくことがこの施設の狙いになる」(平井氏)
AIの進化のスピードは予測以上に速い。AIを事業の核にする方向へ大きくかじを切ったMicrosoftが顧客と伴走することで、個社では獲得することが難しい技術支援や知見を得られる。
「『AIが何か分からない』、漠然と『AIについて勉強したい』と考えているお客さまをターゲットにした施設ではない。もっと具体的に、開発に悩む企業をサポートすることが目的になる」(平井氏)
同氏の言葉を聞くと、参加企業の数を増やすより、参加企業と共にAIプロジェクトを成功へ導くことがこのラボの目的であることが分かる。Microsoftの資料によると、「探検する=マイクロソフトの技術を紹介し、利用例を探検する」「実証する(PoC)=お客さまのユースケースに合わせたPoCのアーキテクチャーと共同開発を支援」「製作する=お客さまのユニークなソリューションの製品化をサポート」――という3ステップで短期間に開発完了するための伴走を行うという。利用者をやみくもに増やせば、本来の狙いとは違う方向に進んでしまうだろう。
なお、この施設の利用は、ウェブサイトから申し込んで承認を受け、契約を締結した後になる。利用料は無償という。それで懇切丁寧にユーザーをサポートするMicrosoftにどんなメリットがあるのだろうか。
「AIを使ったプロダクトを開発する企業の皆さんと緊密な距離にいることで、マーケティング調査よりも率直な声を聞ける。ユーザーに変化が起こった際も、この施設を通してきちんとキャッチアップできるだろう」(平井氏)
ユーザーにとっては、最新のAIテクノロジーを知ることができ、そのテクノロジーや技術を提供するMicrosoftにとっては、ユーザーのニーズや既存技術の足りない部分などを知る機会になる。ユーザーとメーカーの双方にメリットがある施設ということだ。