デジタルスキル標準を活用したスキル評価

今回は「デジタルスキル標準を活用したスキル評価」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、デジタルジャーニーの歩き方等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 DXを推進するためには、専門性を持った人材の確保・育成が必要となります。しかし、全ての人材を自前でそろえることは容易ではありません。自社が求める人材像を明確に定義し、それに沿った人材育成および採用を行っていくことが求められます。また、スキルの可視化とモニタリングも重要となります。

 多くの企業が、DXの推進に向けた人材のリスキリングや、従業員のデジタルリテラシー向上のための教育・研修などに取り組んでいます。人材の確保・育成に当たっては、中長期的な視点でDXに求められる人材像やスキル要件を明確に定義した上で、それに合致した計画とプログラムを策定し、実行していくことが求められます。

 各企業が独自に、人材像、各人材像が果たすべき役割、必要とするスキル要件や習得すべき学習項目を定義することには大きな労力を要するため、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が公表したデジタルスキル標準(DSS)をひな型として活用することが有効です。本連載の前回では、DSSの概要とその有効性について述べました。今回は、DX推進スキル標準(DSS-P)を活用してDXを推進する人材像の定義とスキル評価の枠組みを構築した事例を基に、その適用方法を考えてみます。

 DSS-Pは、DXを推進する専門性を持った人材を対象としたスキル標準であり、主な人材をビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの5つに類型化し、それらを細分化した計15のロールを定義しています。15のロールは網羅的ですが、一般的なユーザー企業がここで示された全てのロールの人材を内部で確保することは容易ではありません。現実的には、必要に応じて外部のコンサルタントやITベンダーの力を借りることになるでしょう。そのため、DSS-Pの15のロールのうち、どれを内製化し、どれを外部に依存するかを明確にし、内部で確保・育成すべき人材像を絞り込むことが有効です。

 図1では、DSS-Pの15のロールと併せて、ITRが支援したある企業が選別したロールを示しています。この企業では、A)各ロールを自社で確保・育成する、B)必要に応じて外部を活用する、C)基本的に外部を活用する――の3つに分類し自社のDX推進人材像を選別しています。従って、Cに分類されたロールの人材は、自社で確保・育成する必要はなく、そのための教育プログラムも不要となるわけです。

 この企業では、DX推進活動を実施するに当たり、その開始時点と終結時点において推進メンバーのスキル評価を行い、プロジェクトの成果としてのスキルの獲得度合いを確認したいと考えました。そこで、DSS-Pを活用したスキル評価シートを作成しました。

 DSS-Pでは、DXの推進に必要なスキルを共通スキルリストとして定義し、「ビジネス変革」「データ活用」「テクノロジー」「セキュリティ」「パーソナルスキル」の5つのカテゴリーから構成される49のスキル項目に細分化しています。また、各ロールを遂行する上で必要なスキルの重要性を、スキル項目ごとに、a)高い実践力と専門性が必要、b)一定の実践力と専門性が必要、c)説明可能なレベルで理解が必要、d)位置付けや関連性の理解が必要――の4つにランク分けしたスキルマッピングを提示しています。

 DSS-Pに記載された各スキル項目の内容の文章を質問文に置き換えて、スキル項目ごとに設定された4段階の重要度に倣って到達度を評価することで、評価表を作成できるでしょう。同社では、このランク分けを活用し、スキル項目ごとの到達度を4段階で評価するようにしています(図2)。

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