「エクスペリエンスマネジメント」は日本で伸び悩んでいるのか?–クアルトリクス代表に聞いてみた

今回は「「エクスペリエンスマネジメント」は日本で伸び悩んでいるのか?–クアルトリクス代表に聞いてみた」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、クアルトリクス カントリーマネージャーの熊代悟氏と、日本IBM 執行役員 IBMフェロー IBMコンサルティング事業本部 最高技術責任者(CTO)の二上哲也氏の「明言」を紹介する。

 米Qualtricsの日本法人クアルトリクスは先頃、2024年の事業戦略とともに、同社が2023年に実施した「従業員エクスペリエンス(EX)」および「消費者エクスペリエンス(CX)」に関する調査の結果について記者説明会を開いた。熊代氏の冒頭の発言はその会見で、「エクスペリエンスマネジメント(XM)」事業の日本での普及状況について聞いた筆者の質問に答えたものである。

 会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは熊代氏の冒頭の発言に注目したい。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)時代のキーワードの1つである「エクスペリエンス(X)」と「マネジメント(M)」を組み合わせて略した「XM」は、Qualtricsが提唱した新しいソリューション分野だ。

 同社によると、XMの目的は「顧客、従業員、ユーザー、パートナー、サプライヤー、投資家など、あらゆる関係者に対して、企業や組織が提供するエクスペリエンスを向上させること」にある。

 そのソリューションとしては、企業においてビジネス上で重要な「顧客」「製品」「従業員」「ブランド」といった4つのエクスペリエンスを管理し、改善するソフトウェアをSaaS型サービスで提供。2023年8月には、そのプラットフォームである「XMOS」に生成AIなどの最新技術を組み込んだ「XMOS2」の提供も開始した(図1)。

 熊代氏は現在の顧客数について、「グローバルで2万社を超え、日本でもおよそ500社のお客さまにご活用いただいている」と述べ、「われわれが訴求してきたXMの重要性が日本でも認知されつつあるとの手ごたえを感じている」と強調した。日本での顧客数を公表したのは、筆者の記憶ではこれが初めてだ(図2)。

 Qualtricsは2002年に米国ユタ州プロボで創業。大学向けに開発・販売した市場調査を行うためのアンケート収集・分析ソフトウェアが、現在のソリューションに発展した格好だ。2018年に始めた日本での活動も、XMの認知度向上をはじめ、サポート体制やパートナーエコシステムの強化を図ってきた。

 市場調査やアンケート収集・分析を担うツールはほかにも数多くあるが、DX時代を踏まえてエクスペリエンスに着目し、XMというコンセプトを打ち出して改善アクションまで含めたソリューションを体系化して磨き続けているのが、同社の魅力だろう。

 ただ、現在の顧客数において、グローバルの2万社に対して日本の500社は少々数が小さいのではないか。日本での事業活動がまだ6年というのもあろうが、日本企業がXMについてまだ慎重な理由があるのではないか。そんな疑問を抱いたので、会見の質疑応答で聞いてみた。すると、熊代氏は次のように答えた。

 「グローバルでの事業活動は22年になるので、年数の違いがまずあることは確かだ。XMは新たな分野なので、その必要性をお客さまに認識していただくのには相応の時間がかかることも事実だ。ただし、日本で伸び悩んでいることはなく、お客さまは着実に広がっている。XMOS2の提供によって、これからさらに加速させていきたい」

 日本法人の代表を設立以来6年務めてきた熊代氏にとっても、これからがさらなる腕の見せ所といえそうだ。

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