NTTデータとテラスカイの資本業務提携–CX事業の着実な成長が目的
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NTTデータとテラスカイは4月12日、「Salesforce」のビジネスを目的とする資本業務提携を発表した。NTTデータ 取締役常務執行役員 コンサルティング&アセットビジネス変革本部長の冨安寛氏とテラスカイ 代表取締役CEO(最高経営責任者) 社長執行役員の佐藤秀哉氏が同日夕刻に記者会見を開き、提携の内容や背景、目標などについて詳細を説明した。
今回の提携では、(1)NTTデータが将来にテラスカイの株式の20.12%を取得、(2)両社合計のSalesforce認定資格者数で国内トップとなること、(3)NTTデータは顧客体験領域で3年後に500億円の売り上げを目標――の3つを主な内容としている。
(1)では、まずNTTデータが同社グループ企業のNTTテクノクロスの保有するテラスカイ株式の10.76%を譲り受け、市場買い付けでも5.21%を取得する。さらにNTTデータは、テラスカイの新株取得権により、テラスカイの連結営業利益が2025年2月期~2027年2月期のいずれかの事業年度において25億円を達成した場合を条件にこれを行使して、合計でテラスカイ株式20.12%を取得する。
(2)では、現在のSalesforce認定資格数がNTTデータでは6位、テラスカイでは2位にあり、提携によって合計4670件の国内トップに躍り出ることになるという。(3)では、NTTデータが強みとする金融、ユーティリティー、交通などの企業顧客に対して、Salesforceの各種クラウドサービスを展開するほか、NTTが開発する生成AI「tsuzumi」などを活用した国内向け生成AIサービスの企画、東南アジア市場を中心とする両社でのSalesforceビジネスの展開などを推進していく。
協業の背景についてNTTデータの冨安氏は、同社では中期的な方針として5つの変革領域を設定しその1つに顧客体験(CX)を位置付けており、「CX領域のビジネスでは世界的にSalesforceのソリューションが“標準”となっていることから、国内のビジネスでもSalesforceを強化していく」と話した。
NTTデータは、以前にはSalesforceビジネスをあまり手掛けていなかったものの、上記のことから近年にはSalesforceビジネスを強化しているとし、直近4年では米Salesforceからイノベーションアワードを獲得するなどしているという。さらにこのビジネスを拡大させること、また、そのための技術者人材のさらなる獲得・育成が必要であることなどが理由だという。
冨安氏は、「セールスフォース・ジャパンよりパートナーアワードも受賞しており、このビジネスをさらに拡大する上で、テラスカイの技術力や人材、実績に期待と魅力を持っている。金融を中心とする顧客基盤においてSalesforceのビジネスをさらに伸ばしたいと考えている。これまでもSalesforceのビジネスで評価をいただいてきたが、われわれが取り組んでいることをもっとアピールしていきたい」などと述べた。
テラスカイは、Salesforceのビジネスにおいて有数のインテグレーターとして知られる。佐藤氏は、「認定資格数は国内2位だが、この提携で1位になる。創業19年目だが、まだまだベンチャー企業であり認知度が高いわけではない。NTTデータの顧客に当社の技術力を生かすことができると期待しており、システムの運用やセンターオブエクセレンス(CoE)の支援実績も顧客のDXの一助になれると期待している」と語った。
両社では、例えば、NTTデータが特に強みとする金融業界の顧客に対して、Salesforceの「Financial Services Cloud」や「Experience Cloud」に顧客関係管理(CRM)データ分析などを組み合わせたソリューションを展開していくとし、同様にユーティリティーや通信、官公庁などの各顧客業界向けの展開を目指すという。
人材や技術面について冨安氏は、テラスカイには全世界で30人ほどという「Salesforce MVP」認定者が3人いることや「認定テクニカルアーキテクト」が国内最多となる5人が在籍している人材層の厚さ、また、Salesforce技術者の育成ノウハウを確立しており、多数の育成実績があることなどに期待しているとした。
東南アジア地域についてテラスカイは、タイに現地法人「TerraSky Thailand」を設立し、2022年から事業を本格展開する。佐藤氏によれば、TerraSky Thailandの業績は赤字だが、まだ投資フェースにあるとし、今回の提携を通じてNTTデータの同地域でのリソースも生かし、収益性の向上とSalesforceのビジネスや現地企業顧客向けのクラウド支援ビジネスの強化を目指す。
生成AI関連では、NTTのtsuzumiを据えつつも、Salesforceの「Einstein」や「data cloud」なども組み合わせた日本企業向けの広範なAIソリューションの共同開発と展開を目標にしているとした。
なお、資本提携について両社は、NTTデータが譲渡と買い付けでテラスカイの発行済み株式の15.97%を取得するものの、それ以上の取得は、テラスカイの今後のグループ連結営業利益25億円を達成した場合に、NTTデータが新株予約権を行使するという条件が設定された。万一未達の場合は、現時点の提携下では行使されないとする。
これについて冨安氏は、「未達では白紙になり、その場合は関係の継続を前提に計画を再検討することになるが、この条件は決して両社の関係が悪いからではないということは明確であるとご理解いただきたい。ベンチャーのテラスカイと巨大なNTTデータでは規模の差はとても大きく、その状況で(20%以上のテラスカイ株式を20%以上保有することによる)持分法の適用となってしまうのは(さまざまな影響が懸念されるため)どうかとなる。いきなりではなく段階的に進めていくことになった」と説明した。
佐藤氏は、「お互いに緊張感を持って、成果をきちんと出した上でこの提携を深めていくべきだと考え、この方法となった。目標をしっかりと達成していきたい」と述べた。