「NetSuite」で残業時間を大幅削減–決済代行企業のDEGICAが進める経理部門のDX

今回は「「NetSuite」で残業時間を大幅削減–決済代行企業のDEGICAが進める経理部門のDX」についてご紹介します。

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 ECサイト向けの決済代行システム「KOMOJU」を展開するDEGICAは2023年1月から、クラウド統合基幹業務(ERP)システム「Oracle NetSuite」を経理業務に活用している。NetSuiteにより同社は、残業時間の大幅な削減や付加価値業務への着手を実現している。

 DEGICAは2005年、ソフトウェアやPCゲームなどのネット販売を行う企業として創業。2014年には米Valveと提携し、KOMOJUを開発してゲーム配信基盤「Steam」における日本円での代金回収を支援した。これを機に、同社は決済代行事業へとかじを切った。

 KOMOJUの顧客企業は、Francfrancやオリオンビールなど1万社以上に上る。DEGICAは全従業員の約半数がエンジニア、うち7割以上が海外人材という製品中心・国際色豊かな特徴を持ち、日本への進出を図る海外企業からの引き合いも強い。同社は事業の拡大に伴い人材への投資を積極的に行い、従業員数は2022年初頭から2倍以上となった。

 DEGICAはNetSuiteの導入前、簡素かつ安価な別の会計システムを利用していたが、同システムは外貨や柔軟な会計処理に対応しておらず、経理部門では手動での作業を多く必要とした。複雑な処理も求められ、結果としてミスも散見されたという。同部門ではミスの防止に向けて、ほかのメンバーが作成したファイルを精査したり、同じ作業を反復して再現性を確認したりするなど、ダブル/トリプルチェックを行っており、長時間の残業が常態化してしまっていた。

 月次決算では、締め処理が1カ月で完全に終わらないほか、2月末に行う税務申告は中心メンバーが徹夜で実施することもあった。当時の月平均残業時間は通常の経理処理だけで約30時間、決算月は50時間に達していたという。取締役 Vice President of Financeの大澤慧氏は「システムが簡素すぎて実際の会計処理をうまく反映できず、その埋め合わせを経理チームが行っていた」と振り返る。

 こうした課題を受けてDEGICAは、システムの刷新を検討。2022年4月に入社した大澤氏を中心に社内検討を進め、同7月にNetSuiteを採用し、2023年1月に稼働を開始した。

 NetSuiteの採用理由には、(1)多通貨への対応、(2)高いカスタマイズ性、(3)厳格なアクセス制御――がある。DEGICAは2023年の資金調達を機に、監査法人による外部監査を受けるようになったといい、(3)について大澤氏は「NetSuiteは財務諸表へのアクセス/変更履歴を秒単位で表示し、禁止されている処理にはエラーを出すため、監査上の信頼性が高い」と説明した。

 NetSuiteの導入後は、ミスの防止に多大な時間や労力をかける必要がなくなり、経理部門の月平均残業時間は10時間ほどに減少した。付加価値業務も行えるようになり、例えば人事総務部門が新入社員の採用やトレーニング、人事制度改革などで余裕がない場合、経理部門が総務部門のシステム導入を手助けできるようになった。

 財務経理の役員を務める大澤氏の業務にも良い影響をもたらしており、最近では国内外の顧客・パートナー企業の開拓や企業買収の検討など、成長戦略に時間を割けているという。「自分の担当領域は、NetSuiteで安心。私自身従業員のロールモデルになれるよう日々活動しており、経理部門も経理処理はシステムに任せて自社の成長につながる業務に注力できている」と同氏は述べる。

 以前の会計システムと比較してコスト面では数倍になったが、費用対効果には満足しているという。「年間コストの差額は従業員1人ほどの雇用に相当するが、長時間の残業で疲労しているメンバーを増やすよりはずっと効果的である」と大澤氏は語る。

 DEGICAは現在導入を進めている経費精算システムとNetSuiteを連携し、バックオフィス業務全般の集約を見据えている。加えて、欧州地域への進出を目指す同社は、海外展開時も現地システムではなくNetSuiteの利用を予定しているという。

 NetSuiteに期待する機能やサポートについて、大澤氏は「新入社員はシステムの操作方法に悩むことが多く、生じた疑問は全て経理部門に寄せられる。FAQ(よくある質問)の確認だけでは疑問が解消しにくいので、その部分が改善されるといい」と述べ、「生成AIを搭載した機能の国内提供が発表されたので、今後は操作方法のサポートが強化されると助かる」と期待を寄せる。

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