銀行のリスク対応はデジタル化競争が最優先課題–SAS調査
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
米SAS Institute(SAS)は、Global Association of Risk Professionals(世界リスク管理専門家協会:GARP)とリスク関連技術に関する調査を実施し、結果を発表した。
GARPは、リスク管理の実践徹底を推進する1996年に設立された非党派・非営利の会員制組織。リスクマネージャーの主要なグローバル認定資格の認定を行っており、リスク管理に関する調査に出資し、実務者、研究者、規制当局間の相互協力を推進している。
今回の査報告書によると、クレジットリスク担当者の79%が、銀行内における組織変革のほかの課題に対して、クレジットリスク改革(CRT)の優先度を中~高程度としていることが分かった。
また、回答者の半数以上(55%)が、「自行では2年以内に改革が完了する」と予測している。この進行ペースについて、調査報告書では、「ビジネスの中核に関わる時、従来、現実重視で慎重であった銀行業界としては驚くべきこと」と記している。
さらに、回答者の約4分の3(72%)が、CRTビジネスの主な目的として「与信判断の最適化」を挙げている。
この調査は、世界の銀行業界のリスク担当者約300人を対象として実施された。SASは、これらの結果について、従来投資利益率(ROI)を重視する銀行が、クレジットリスク改革を重要な事業目標として掲げ、その達成に向けて猛スピードで取り組んでいることは、信用リスクの測定や積極的な信用ポートフォリオ管理が金融機関の生き残りのためにいかに重要であるかを示しているとした。
その他の結果として、消費者に対してフィジカルとデジタルの両面でタッチポイントを持つ「フィジタル」な構図を目指すと回答したリスク担当者が52%もいたという。
「フィジタル」世界を運営する基盤として、具体的な行動に結びつくインサイトやデータを提供する高度なアナリティクス、機械学習、自動化は最も重要な要素になるが、今回の調査対象者達は自分が所属する組織では、いまだにこうしたテクノロジーをCRTに向けた取り組みに適用できる準備が整っていないと考えている。
改革における最大の課題は何かという質問に対して、リスク担当者の回答の上位3項目は、「人工知能(AI)や機械学習(ML)を含む高度なアナリティクス」(48%)、「プロセスの自動化と効率化(47%)、「顧客データ管理の強化」(45%)だった。
この結果についてGARPは、銀行業界でCRTの取り組みが大きく進んでいることは明らかだが、AIやMLの統合、顧客データ管理の改善、与信判断の最適化に関しては、まだ多くの課題が残されていると結論づけている。
なお今回の調査から、回答者の所属する組織の半数以上が、既にAIやMLを採用している、もしくは今後12カ月以内に利用を開始する予定があることが明らかになった。調査結果によると、現時点でこうしたテクノロジーの利用頻度が最も高いのは、「プロセスの自動化」(62%)、「リファインメント」(58%)、「クレジットスコアリング」(58%)の順になっている。