東武と日立、生体認証活用のID基盤を全国展開–東武ストアでの決済で手応え

今回は「東武と日立、生体認証活用のID基盤を全国展開–東武ストアでの決済で手応え」についてご紹介します。

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 東武鉄道(東武)と日立製作所(日立)は9月3日、4月から提供している生体認証を活用したデジタルアイデンティティーの共通プラットフォームをコンビニエンスストア、家電量販店、ショッピングモール、鉄道など東武グループ内外のさまざまな業種で展開し、全国の100カ所以上に順次提供すると発表した。同日開催の発表会では、タレントの辻希美さんが登壇し、同サービスを活用した決済を体験した。

 デジタルアイデンティティーとは、個人の証明書や属性などのアイデンティティー情報を電子化したもの。両社の取り組みでは、各種ポイントIDやクレジットカード情報など、プラットフォーム上に登録されている個人に関する情報を総称してデジタルアイデンティティーとする。

 東武と日立は4月、埼玉県の「東武ストア」3店舗において、指静脈認証による決済機能をセルフレジに順次搭載。来店客は、人さし指・中指・薬指を認証装置にかざすだけで決済、東武グループ共通ポイント「TOBU POINT」の付与、年齢確認を行える。

 指静脈の登録者数は8月時点で約3700人で、指静脈認証の継続利用率は76.3%。両社は若年層中心の利用を想定していたが、実際には50代以上が半数を占めているという。決済時間は、ポイントアプリを提示してクレジットカードを取り出した場合の決済と比較して約半分の25秒ほどで完了する。

 東武と日立は2023年8月、生体認証を活用したデジタルアイデンティティーの共通プラットフォームを同年度中に立ち上げることに同意したと発表。両社は小売だけでなく、飲食、会員制施設、医療/金融機関、鉄道、自治体、アミューズメント施設などのさまざまな業種において、生体認証を活用したデジタルアイデンティティーの共通プラットフォームで決済やポイントの付与、本人確認などを行うことを目指している。

 これにより両社は、労働力不足やデジタル技術利用における世代間格差、不正・なりすまし、非常時の本人確認といった社会課題の解決を図る。災害などの非常時の本人確認では、被災証明の発行に時間がかかると生活への影響が長期化してしまうが、生体認証を活用する体制が整っていれば、身分証明書を失っても本人であることを証明できると期待される。

 東武と日立は2024~2026年度、東武グループ内外の事業者に同サービスを提供する。東武グループ内では、2024年度中に新たに東武ストア3店舗で提供するほか、「東京スカイツリー」のオフィシャルショップと「東武ホテル」で利用可能とする。2025年度には、東武東上線の座席指定制列車「TJライナー」、スポーツジム「東武スポーツ」での利用を予定している。

 東武グループ外では、2025年度に上新電機が展開する大阪府の2店舗、2026年度には「ファミリーマート」への提供を予定している。「面での展開」も進め、2024年11月から埼玉県越谷/川越エリアの飲食店など約20店舗に提供し、同エリアでの普及を図る。

 同サービスの拡大に当たり、東武と日立は機能の拡充を進める。タブレット式のレジと認証装置のみで決済を可能にすることで加盟店の拡大に取り組むほか、2025年度には顔認証の利用や国内主要ポイントとの連携を目指している。

 TJライナーでの改札入出場では顔認証の活用を予定しており、東武 執行役員 経営企画本部長の前田隆平氏は「スピードの観点では顔認証、正確性の観点では指静脈認証が有効。スピードが重視される改札の入出場では顔認証の方が適している」と説明した。

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