NEC、2024年度上期決算は実質的な増収増益–グループ再編の大きな動き
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NECは10月29日、2024年度上期(2024年4~9月)の連結業績を発表した。売上収益は前年同期比4.0%減の1兆4866億円、調整後営業利益は152億円増の610億円、Non-GAAP営業利益は187億円増の648億円、Non-GAAP当期利益は119億円増の374億円の減収増益だが、日本航空電子工業(JAE)の非連結化の影響を除くと、売上収益で前年同期比3.5%増、Non-GAAP営業利益で252億円増の実質的な増収増益となった。
決算を発表した取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏は、「上期実績は想定線であり、年間予算達成に向けて順調に進ちょくしている」と、結果に自信をみせた。好調なのが国内ITサービスだ。売上収益が前年同期比4.3%増の7355億円、調整後営業利益が59億円増の484億円のまさにけん引役で、受注状況も旺盛な国内IT需要に支えられており、今後の成長にも力強さが感じられる。
第2四半期の国内ITサービスの受注状況は、全体では前年同期比17%増になり、ボラティリティが高いNECファシリティーズを除くと、18%増という高い水準だ。業種別でも高水準にある。特にパブリックが38%増となり、中央官庁の大型案件の獲得と並んで、地方自治体における標準化プロジェクトの増加などが追い風になっている。
森田氏は、「パブリックの受注が大型案件を除いても10%の増加。先々の案件に対応するためのリソースが心配だといえる」と、うれしい悲鳴を上げる。
また、エンタープライズは2%増だった。内訳は、金融が11%減、製造が11%増、流通・サービスが14%増と、金融で大きな落ち込みが見られるが前年同期の大型案件の反動になり、これを除くと増加になる。「金融分野でのIT需要は旺盛」(Corporate EVP兼CFOの藤川修氏)との見方を示す。
製造では、DX関連案件が増加し、収益性重視の選別受注を続ける中でも2桁増を達成した。流通・サービスでは大型案件を獲得し、それが2桁増につながったという。藤川氏は、「2024年度の売上収益に計上できる有効受注残が前年度より4~5%高く推移している」とコメント。森田氏も「複数年度にまたがる大型案件があり、全体的に見ても、旺盛な需要が継続している。年間目標の達成に向けて着実に案件を積み重ねることができている」と、好調な受注状況に手応えを示す。
加えて、海外ITサービスも好調だ。売上収益が前年同期比12.7%増の1551億円、調整後営業利益が34億円増の80億円だった。海外でAvaloqを中心とした利益改善が貢献しているという。受注状況も国内ITサービスと同様に力強い。NECソフトウェアソリューションズUK(英国)、KMD(デンマーク)、Avaloq(スイス)の欧州3社は、2024年度の売上収益計画で2244億円を掲げているが、第2四半期末時点の有効受注残が89%まで積み上がっており、「年間の売上計画は十分達成可能な進ちょく。引き続き案件を積み重ね、年間計画の達成をより確実なものにしたい」(森田氏)と強気の姿勢だ。
社会インフラも増収増益だったが、ここでは、航空、宇宙、防衛分野の「ANS(Aerospace and National Security)」が注目される。ANSの売上収益は前年同期比15.6%増の1282億円、調整後営業利益は17億円増の83億円となった。また、上期までに獲得した案件によって2024年度の売上計画を達成できる見通し。「ANSは、獲得済みの案件を着実に遂行している」(森田氏)という状況だ。
国内の防衛予算が2027年度までに倍増する中、NECはICT領域のトップ企業として契約額が増大しているほか、政府の防衛生産、技術基盤を維持、強化するための施策により、防衛産業での利益率が改善している点も追い風となっている。ANSの2020~2022年度売上収益の年平均成長率は6.5%にとどまっていたが、2023~2025年度は22.4%の高成長を見込む。しかも、さらに上振れする見通しも示すほど強気だ。
NECはそれに合わせてリソースを強化。ANSの体制を2023年度に約750人増員したのに続き、2024年度は約250人を増員した。さらに、2025年度までの累計で約1200人の増員を計画しているという。東京の府中事業場内に新棟も建設。従来計画から1万平方メートル増やし、2025年度までに約5万平方メートル増床するという。さらなる増床も視野に入るなど、今後のANSの力強い成長ぶりがうかがえる。