クラウドネイティブアプリ構築を支援するマイクロソフトのオープンソースプロジェクト「Dapr」が1.0に

今回は「クラウドネイティブアプリ構築を支援するマイクロソフトのオープンソースプロジェクト「Dapr」が1.0に」についてご紹介します。

関連ワード (Dapr、Microsoft、オープンソース等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


Microsoft(マイクロソフト)が進めるオープンソースプロジェクトのDaprは、開発者がイベントドリブンのクラウドネイティブな分散アプリケーションを簡単に構築できるようにすることを目的としている。Daprは米国時間2月17日に、本番のユースケースに使用できることを意味する1.0のマイルストーンとなった。Microsoftは2019年10月にDistributed Application Runtimeをローンチした(Daprはこの頭文字を取ったものだ)。それ以降14のアップデートがあり、AzureのほかAWS、Alibaba、Google Cloudなどほぼすべての大手クラウドプロバイダとの統合がローンチされた。

Microsoft AzureのCTOであるMark Russinovich(マーク・ルシノビッチ)氏は筆者に対し、Daprの目標は企業の開発者に対してクラウドネイティブの開発を民主化することだと語った。

同氏はこう説明する。「企業の開発者に求められているのは、これまではクライアント、サーバー、ウェブ、そしてデータベースタイプのアプリケーションでした。しかし現在ではコンテナ化して、スケールアウトしダウンタイムなしでアップデートできるマイクロサービスを作ることが求められています。しかもクラウドサービスと統合する必要があります。その上、多くの企業はオンプレミス環境やクラウド環境で移植でき、さらにクラウド間でも移行できるアプリの作成を求めています。このように、解決に取り組んでいるビジネス上の問題に固有のものではない、あるいは関連していない複雑な問題が山ほど開発者に投げかけられています」。

開発の多くの部分が、アプリケーションが他のさまざまなサービスと信頼性の高い通信をするための仕組みの刷新に関わっている。Daprの背景となっている考え方は、イベントドリブンのマイクロサービスを構築するために必要なツールとなる、これまでになかった単一のランタイムを開発者に提供することだ。とりわけDaprはサービス間通信、状態管理、pub/sub、シークレット管理などに関する多様なビルディングブロックを提供している。

画像クレジット:Dapr

ルシノビッチ氏は「Daprが目指しているのは、クラウドネイティブの分散型で、可用性が高く、スケーラブルで、セキュアなクラウドサービスを日常的に書く作業はすべてDaprが面倒を見て、開発者が自分のコードに集中できるようにしようということです。我々はサーバーレスや、たとえばAzure FunctionsのようなイベントドリブンなFunctions-as-a-Serviceから学びました。開発者はビジネスロジックに集中し、その後はAzure Functionsのバインディングのようなものが他のサービスとの接続を処理します」と述べた。

同氏は、Daprのもう1つの目標は言語固有のモデルから離れてどの言語からでも利用できるプログラミングモデルをつくることだとも述べた。企業の既存のコードには複数の言語が使われている傾向があり、多くの企業が現在のコードを残して既存のアプリケーションをモダナイズする最適な方法を探っている。

ルシノビッチ氏によれば、現在このプロジェクトにはMicrosoft社外に700人以上のコントリビューターがいて(ただし中心メンバーの多くはMicrosoft社員)、1.0のリリースよりも前に本番環境で使い始めた企業も多いという。Daprをすでに利用している大手クラウドプロバイダの1つがAlibabaだ。ルシノビッチ氏は「Alibaba CloudはDaprを本当に気に入って、大いに活用しています」という。他にはHashiCorpや、初期ユーザーであるZEISS、Ignition Group、New RelicなどがDaprにコントリビュートしている。

クラウドプロバイダであるMicrosoftが自社のイノベーションを競合他社がすでに使っていることを喜んでいるとはちょっと奇妙に思えるが、ルシノビッチ氏はこれはまさに計画どおりでDaprを近々ファンデーションの一部にすることを望んでいると述べた。

「我々は数カ月前からオープンガバナンスに向けた取り組みをしており、Daprをファンデーションの一部にすることを目指しています。【略】ゴールはオープンにすることです。これはMicrosoftのものではありません。業界のものです」と同氏はいう。しかしどのファンデーションを指しているかはまだ公表できる段階ではないようだ。

画像クレジット:Lynne Gilbert / Getty Images


【原文】

Dapr, the Microsoft-incubated open-source project that aims to make it easier for developers to build event-driven, distributed cloud-native applications, hit its 1.0 milestone today, signifying the project’s readiness for production use cases. Microsoft launched the Distributed Application Runtime (that’s what “Dapr” stand for) back in October 2019. Since then, the project released 14 updates and the community launched integrations with virtually all major cloud providers, including Azure, AWS, Alibaba and Google Cloud.

The goal for Dapr, Microsoft Azure CTO Mark Russinovich told me, was to democratize cloud-native development for enterprise developers.

“When we go look at what enterprise developers are being asked to do — they’ve traditionally been doing client, server, web plus database-type applications,” he noted. “But now, we’re asking them to containerize and to create microservices that scale out and have no-downtime updates — and they’ve got to integrate with all these cloud services. And many enterprises are, on top of that, asking them to make apps that are portable across on-premises environments as well as cloud environments or even be able to move between clouds. So just tons of complexity has been thrown at them that’s not specific to or not relevant to the business problems they’re trying to solve.”

And a lot of the development involves re-inventing the wheel to make their applications reliably talk to various other services. The idea behind Dapr is to give developers a single runtime that, out of the box, provides the tools that developers need to build event-driven microservices. Among other things, Dapr provides various building blocks for things like service-to-service communications, state management, pub/sub and secrets management.

Image Credits: Dapr

“The goal with Dapr was: let’s take care of all of the mundane work of writing one of these cloud-native distributed, highly available, scalable, secure cloud services, away from the developers so they can focus on their code. And actually, we took lessons from serverless, from Functions-as-a-Service where with, for example Azure Functions, it’s event-driven, they focus on their business logic and then things like the bindings that come with Azure Functions take care of connecting with other services,” Russinovich said.

He also noted that another goal here was to do away with language-specific models and to create a programming model that can be leveraged from any language. Enterprises, after all, tend to use multiple languages in their existing code, and a lot of them are now looking at how to best modernize their existing applications — without throwing out all of their current code.

As Russinovich noted, the project now has more than 700 contributors outside of Microsoft (though the core commuters are largely from Microsoft) and a number of businesses started using it in production before the 1.0 release. One of the larger cloud providers that is already using it is Alibaba. “Alibaba Cloud has really fallen in love with Dapr and is leveraging it heavily,” he said. Other organizations that have contributed to Dapr include HashiCorp and early users like ZEISS, Ignition Group and New Relic.

And while it may seem a bit odd for a cloud provider to be happy that its competitors are using its innovations already, Russinovich noted that this was exactly the plan and that the team hopes to bring Dapr into a foundation soon.

“We’ve been on a path to open governance for several months and the goal is to get this into a foundation. […] The goal is opening this up. It’s not a Microsoft thing. It’s an industry thing,” he said — but he wasn’t quite ready to say to which foundation the team is talking.

 

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

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