ネットの法律相談に駆け込む「転売ヤー」のリアルな悩み
今回は「ネットの法律相談に駆け込む「転売ヤー」のリアルな悩み」についてご紹介します。
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本記事は、It Media News様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
新型コロナウイルスが猛威を振るったこの1年。3度にわたる緊急事態宣言の発出などで人々の生活は一変し、解決策を求めて法律の専門家に相談する人も増加した。対面や電話での法律相談は、雇用や債務といった暮らしに直結する内容が多くを占めたが、インターネット上に目を向けると、2020年春に大きな議論を呼んだ「転売」に関する相談がトップに。希少価値のある商品を買い占め、高値で売りさばく「転売ヤー」と呼ばれる人たちが、匿名性の高さや気軽さから書き込んでいるケースが多いとみられ、「リアルでは聞きにくい」真の悩みが浮き彫りとなった形だ。
対面・電話相談は「借り入れ」最多
国が設立した法的トラブル解決の総合窓口「日本司法支援センター」(法テラス)によると、20年4月〜21年3月に電話や対面で寄せられたコロナ関連の相談は1万2612件。
「バイト先の飲食店が休業し、収入が減って借金返済ができなくなった」といった金銭の借り入れが最多の27%を占め、「経営悪化で退職を迫られ、拒否したら解雇を通知された」といった職場トラブルや、夫婦・男女間の問題が続いた。
全国に先駆け、20年3月に常設の無料電話窓口を設けた大阪弁護士会には、21年3月までに2100件を超える相談があり、当初は融資や給付金、休業要請などが上位に。20年12月には一定の条件のもとで自己破産をしなくても債務を整理できる「コロナ版ローン減免制度」が始まり、年度末にかけて制度に関する相談が急増していた。
マスクと食品の交換は?
ネット上に寄せられる相談は、電話や対面のそれとはやや趣が異なる。
弁護士が直接、投稿に答える国内最大級の無料オンラインサービス「みんなの法律相談」を運営する弁護士ドットコムによると、20年2月〜21年1月の新型コロナ関連の相談で最も多かったのは「転売」。相談件数は休業要請と並んで450件に上り、マスク転売の違法性に関する内容が多くを占めた。
いわゆる「転売ヤー」による買い占めで品薄状態が続いたことを受け、国は国民生活安定緊急措置法に基づき、取得価格を超える値段でのマスク転売を禁じる政令を、20年3月から8月末まで施行した。
この間、高値転売が懲役刑や罰金刑の対象となったことで、「転売禁止前の販売は違法になるのか」「マスクを食品と物々交換するのは違法?」といった書き込みが目立つように。不安を覚えた転売ヤー側が相談を書き込んだとみられるという。
高い匿名性で気軽に
弁護士ドットコム取締役の田上嘉一弁護士は「弁護士など専門家に直に相談するというのは、ハードルが高いと感じる人は圧倒的に多い」と指摘。特に自分自身に非があったり、興味や関心に過ぎなかったりすることについては「こんなことを聞いてもいいものか」「怒られるのではないか」といった消極的な心理が働くが、匿名性が高いネット相談では、そうした壁を超えて気軽に使ってもらえやすい−という。
サイトに月1万件近く寄せられる利用者の投稿と弁護士との間のやりとりは原則、誰でも自由に読むことが可能で、「世相を映している」と田上氏。「専門家へのハードルを少しでも低くして、多くの人のトラブル解決の糧となれば」と話している。
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