AIで心を癒すあなただけのアロマを調合、コードミーが「香りのトータルコーディネート」など新展開

今回は「AIで心を癒すあなただけのアロマを調合、コードミーが「香りのトータルコーディネート」など新展開」についてご紹介します。

関連ワード (Watson、コードミー、パーソナライズ、人工知能、日本、香り等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


AI技術を駆使してパーソナライズされた香りを届ける「CODE Meee ONE」が人気だ。同サービスを提供するコードミーは2017年4月に創業。BtoC向けにフレグランス関連商品の企画・開発・販売を、BtoB向けに香りの空間デザインなどを展開している。2020年度はBtoC、BtoB合わせて、売上ベースで対前年比約400%増になったという。コードミーの太田賢司代表に、事業内容や新たな展開について話を聞いた。

誰でも、ある香りを嗅いだ瞬間、その香りにまつわる記憶が一瞬でよみがえるといった経験があるのではないだろうか。国内最大手の香料会社で10年間フレグランス開発などを行ってきた太田氏は「人間の五感で唯一、嗅覚は感情と記憶に直接結び付いています」と説明する。

脳には、喜怒哀楽などの感情や記憶をつかさどる器官を持つ大脳辺縁系がある。大脳辺縁系には、匂いだけがダイレクトに伝達される。このため、香りを嗅げば無意識のうちに、過去の情景が呼び起こされるといった現象が起きるのだという。

太田氏は「香りはパワフルなツールですが、まだ完全には解明されていない部分も多いものです。例えば、人が亡くなるとき、最後に残っている感覚は嗅覚だといわれています。原始的で神秘的な香りの可能性は、とても大きいと思っています」と話す。

CODE Meee ONEは、毎月アロマが届くサービスだ。サブスク型で1カ月税込1800円。年齢や性別の他、睡眠不足・疲労・二日酔いといった自身のストレス課題、香りの好みなどをウェブ診断で答えれば、3000パターン以上の中からパーソナライズされた3つのアロマが提案される。

サービス利用中は香りの再診断もできる。「季節や自身のライフステージに合わせ、抱えるストレス課題や、香りの好み、香りに期待する機能性などは変化するという前提です。その時々の診断結果に合わせて『今のあなたに最適な香りが作られる』ことになります」と太田氏はいう。なお、お試しとして単発でも購入可能で、その場合は税込2800円となる。

CODE Meee ONEでのウェブ診断後、パーソナライズされたアロマの代表的な素材3つがユーザーに表示されるようになっているが、それぞれの配合比なども個人によって変わる。

太田氏は「CODE Meee ONEで出来上がるアロマは、その人にしかない香りになります。素材の配合比や濃度など細かく分けていけば、実質的にそのパターンは無限に近くなります」と語った。

また、パーソナライズのためにサービスをTwitterと連携することもできる。直近の投稿データ200件分をAIが解析し、現在の精神状態をグラフでビジュアル化。この結果に基づいてさらにアロマをもう1つ提案している。

太田氏は「Twitterによる分析は、IBMの人工知能『Watson』と連携しています。直近の投稿データ200件分に出てくる単語ごとに分析しています。『Twitterは本心ではなく、建前も多い』とよく言われますが、人は使う単語にクセが出ます。本人も意識していない、しっかりとしたインサイトが単語から分析できるのです」と説明する。

CODE Meee ONEはサービスローンチから2年近く経つが、新型コロナが蔓延する中、顧客の幅が一気に広がったという。「コロナ禍で『自分の心身を労わろう』という考えが広がり、家の中でより豊かな時間を感じたいと、新たに香りに着目している人が増えました」と太田氏はみる。現在、数千人がサービス利用している。

CODE Meee ONEで蓄積したユーザーデータはパーソナライズの精度を上げることはもちろんだが、BtoB事業にも活かしている。

「BtoB向けの空間デザインでは、ターゲット層に対して、香りによって『集中力を上げる』『リラックスする』などの機能を期待したいといったとき、蓄積したデータを活用しながら、香りを開発しています」と太田氏。

BtoB向けの空間デザインも基本的にはサブスク型で提供し、価格は企業や案件によりその都度カスタマイズする。コードミーは東急不動産ホールディングスなど、すでに数十カ所以上で空間デザインを行っている。

コロナ禍において、コードミーはマスク専用のプレミアムアロマスプレーの販売も始めた。

太田氏は「マスクに吹きかけるアロマスプレー自体はすでに世の中にありました。ただ、それらは単にいい香りがするというものが多いです。我々は、脳波を測定し、感性科学的に『快適度の向上』『ストレス値の軽減』といった結果が出たオリジナルの調合香料を開発しました。科学に裏打ちされたアロマスプレーとして人気が集まり、売上向上にもつながりました」と説明する。

コードミーでは2017年の創業時から、バイタルデータと香りの相関性を重要視し、研究を進めてきた。バイタルデータの中でも特に着目しているのが脳波だ。2019年には電通サイエンスジャムとの連携により、脳波による感性把握技術に基づく香りで、快適な職場環境をデザインする実証実験も行った。

さらに2020年には、東京・江戸川病院と連携し、臨床研究も始めた。医療・介護施設には、疾患や薬剤などに関連する医療現場特有の匂いがある。特にがん医療の現場では、がん組織に由来する特有の腫瘍関連の匂いが日常生活に関わる問題となっていながらも、いまだに根本的な解決策は確立されていないという。

コードミーではコロナ渦の過酷な状況で働く医師、看護師、介護士らを対象に、マスク専用プレミアムアロマスプレーを提供して効果検証を行った。

太田氏は「結果として、総合的な快適度が上がり、医療施設特有の匂いに対するネガティブな感覚も改善傾向が見られたことが、定性と定量の両データで示されました。今後はデータに基づくソリューションフレグランスを、医療施設内の空間デザインへと展開し、患者様、ご家族などのQOL(生活の質)向上に対する取り組みを計画中です」と述べた。

コードミーは新たな展開として、生活のあらゆるシーンにパーソナライズした香りで寄り添う「香りのトータルコーディネート」を展開する。2021年内にはファーストプロダクトも出す予定だという。

シャンプーや石鹸、洗剤、柔軟剤、ルームフレグランス、ハンドクリームなど、日々の暮らしの中で香りを感じる場面は多くある。これらの商材をパーソナライズして提案し、好みの香りを1日を通して楽しめるようにするのだ。

現在はウェブ診断などの質問項目や販売方法なども検討段階だ。入浴剤などはサブスク型でも良いが、香水はそれほど利用率が高くないため、プロダクトにあったカタチで販売方法を検討する必要があるとする。

太田氏は「ウェブ診断でも、例えば香水なら『どんな自分を表現したいか』といったように、設問も大きく変えていく必要があります。このサービスは、完成形に至るまで時間がかかるかもしれません。ただ、年末にはまず新しいプロダクトを、また来年以降にもいくつか出せるよう動いていきます」と語った。

その上で「香料会社で培ったスキルと経験がある私だからこそできることがしたいと考えています。パーソナライズされた香りのトータルコーディネートが実現すれば、日本初のサービスになると思います」と太田氏は自信を見せる。

画像クレジット:コードミー

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