「これだ!」をまとめ上げる–アクティブインテリジェンスが組織に潜む「多数の力」を解き放つ

今回は「「これだ!」をまとめ上げる–アクティブインテリジェンスが組織に潜む「多数の力」を解き放つ」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ、新しい「水」としてのデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Wright兄弟やAda Lovelace氏、Elon Musk氏やSteve Jobs氏、最近でいえば、Virgin Recordsや Virgin Atlantic航空を立ち上げ、7月11日にはVirgin Galacticの宇宙船2号機「VSS Unity」の試験飛行に成功したRichard Branson氏。社会の革新は、彼らのような天才や英雄が超人的な力を発揮することでもたらされるとお考えの方は多いでしょう。

 しかし、Branson氏のこの発言が、私には印象的です。「成功に至る最大の秘けつは、自分より才能のある人たちを探し出し、適切な仕事を任せることです」。また、社会の変革は特定の個人の力ではなく、時代の移り変わりに伴う働き方の変化、その世代に属する人々の「多数の力」(power of many)がもたらすことを示す研究もあります(James Surowiecki著『「みんなの意見」は案外正しい(原題:The Wisdom of Crowds)』、角川文庫、2009年)。 情報に基づいた集合知によるアクションを推進する

 集合知(collective intelligence)という言葉があります。個人では手に負えない難しい問題を多数の力を利用して解決し、目標を達成することです。この概念そのものは新しいものではありません。とはいうものの、現在、つまり個人の知識や経験をデータから得られるインサイト(洞察)によって強化できるインテリジェンスの時代においては、人とITの一体化がイノベーションを推進し、進化を促します。

 ビジネスの課題を解決するためには、いろいろな取り組み方があります。データを参照する、同僚や専門家に相談する、一人でがんばる、など。問題の大小に関わらず、課題を理解し、リスクを計算し、解決策の選択肢を見いだし、皆で議論し、複数の関係者からの情報をまとめる、データとアナリティクスが必要だと私たちは考えます。こうしたグループでの意思決定、合意形成、さまざまな情報源からのアイデアにより、メンバー全員が自分事として問題解決に向けて行動するといった過程は全て、集合知として形成されます。アクティブインテリジェンスは、集合知のコラボレーションにとって不可欠なのです。

 一方で、アナリティクスソリューションとこれまでのビジネスインテリジェンス(BI)の間に溝があることに気づく人が増えています。この溝が、組織内の異なる部署が潜在的に保持するさまざまな集合知を断片的にしてしまいます。それぞれのメンバーに適するようにカスタマイズされた複数のダッシュボードを提供し、複数のデータセットを使用して「多数の力」が意思決定し、さらにメンバーに行動を促すようなITツールがあれば、溝を埋める有効な手段となることでしょう。

 事実、情報の利用者をサポートする機械学習やAI(人工知能)の支援によるインサイトの生成が増加しています。IDC Japanは、2020年の国内アナリティクス/ビジネスインテリジェンスソフトウェア市場の規模を前年比8.8%増の1313億円、国内AIプラットフォーム市場も同28.2%増の313億円と推定しています。また、その要因として、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)により不確実性がより一層高まったビジネス環境でユーザー企業の危機意識が高まり、AIが企業の従業員の意思決定の自動化を支援するインサイトを提供するツールとして、AIの成熟度に応じた利用方法が増加した」との見解を示しています。

 こうしたITの活用により、異常値の検知・分類や、傾向の把握、相関関係の理解といった能力が高まります。けれどもこの隠れたパターンは、ある時、あるメンバーが、「これだ!」と思うきっかけがあって、初めてインサイトに変わるのです。

 情報をインサイトに変換するには、人間的な要素が依然として不可欠です。組織はこの「これだ!」という瞬間を多数捉え、まとめあげるという課題にも直面しています。だからこそ集合知を生み出すコラボレーションが、アクティブインテリジェンスの推進に必須なのです。ナレッジワーカーは自らの意見を共有・説明し、知識とインサイトを集約した適切な行動に反映させなければなりません。

 集合知の力には限界がないと信じています。この写真を見てください。1927年10月に、当時の世界的な物理学者が一堂に会し新たに形成された量子論について議論を行ったソルベー会議の参加者たちです。この写真は「The Most Intelligent Photo Ever Taken(これまでに撮影された中で最もインテリジェントな写真)」と言われていますが、私はもう何人かの多様な考えを持つ人がいてもよかったのではないかと思います。

 私たちは、インテリジェンスを少数の逸材や革新者が持つ能力であると誤解しているのではないでしょうか。インテリジェンスを個人の能力を測るものさしとしてとらえる見方から離れるべきです。私たちは皆、インテリジェンスを持っています。集合知は、人々の持つさまざまな知識、経験、そしてインサイトを結集することで、その真の力を発揮します。

 組織の中にある潜在的な集合知を解き放つには、アナリティクスソリューションとBIの間にある大きな溝を埋めなければなりません。つまり、データに基づいて、集まって議論し、協力してビジネス上の問題を解決する体制を整えるのです。

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