NEC、行政デジタル化に対応した事業戦略で売上拡大を目標に
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NECは1月19日、行政IT市場における事業戦略説明会を開催した。事業を担当する執行役員常務の中俣力氏は、政府でのデジタル庁発足に伴う官公庁や地方自治体のデジタル化に対応することで売上高の維持、拡大を目指すとした。
同社の行政顧客向け事業は、政府・官公庁担当の社会基盤ビジネスユニットと地方自治体担当の社会公共ビジネスユニットが所管しているといい、2021年度は社会基盤ビジネスユニットに約50人規模の「ガバメント・クラウド推進本部」を設置した。中俣氏は、同社の注力領域として、「業務標準化」「デジタル基盤のクラウド化」「業務効率化」「国民の利便性向上」「マイナンバーカードの民間活用」「レガシーシステムの刷新」「スマートシティー」などを挙げ、この日はレガシーシステムの刷新とスマートシティーを除いた領域での施策を説明した。
まず「業務標準化」は、これまでバラバラだった自治体などの業務が標準化され、調達するIT環境の仕様なども統一化されていくとし、同社ではこれに対応したパッケージやクラウドサービスの提供を強化する。また、業務の標準化で変更される業務プロセスやフローなどの対応や定着化を支援するサービスを提供するほか、ここで培ったノウハウやデータなどを生かした自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進ビジネスにも取り組む。
「デジタル基盤のクラウド化」は、自治体DXを推進するプラットフォーム施策と位置づけた。中俣氏は、行政のクラウド環境は、オープンなパブリッククラウドと機微情報を扱うプライベートクラウドによるハイブリッド構成が求められると説明。ここでは、協業するAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftの「Azure」の環境と、プライベートクラウド環境を閉域網接続するサービスなどに注力するとし、ハイブリッド環境の低コスト化・高セキュリティ化・高安定運用化を実現するという「Digital Integration Hub」を2023年度から提供する。また4月以降には、SCSKとの協業による「NEC印西データセンター」も活用するとした。
「業務効率化」では、官公庁のシステム案件において今後アジャイル化が徐々に広がっていくとし、「デジタル基盤のクラウド化」での施策と合わせて、同社としての「官公庁向けオファリング」を2023年度まで段階的にリリースするという。同日にその第1段となるクラウド移行、クラウド専用線接続、セキュリティ運用の3つのサービスメニューを発表した。
「国民の利便性向上」では、マイナンバーのさらなる活用を支援するという「NECスマート行政窓口ソリューション」を展開。市民が事前にスマホアプリで行政手続きをして、窓口でマイナンバーカードを利用すれば、すぐに手続きが開始されて待ち時間を解消するなどの効果があるという。東京・港区が8月からこのソリューションを約40種類の業務に適用するという。
「マイナンバーカードの民間活用」では、民間企業がマイナンバーカードを利用したサービス提供の際に必要な本人確認などの仕組みをNECがクラウドサービスで提供するとした。既に福岡県北九州市とマイナンバーカードにより本人確認を行う図書館アプリケーション、岩手銀行と口座振替手続き時などのマイナンバーカードによる本人確認、福岡銀行とローン商品申し込み時におけるマイナンバーカードによる本人確認の実証実験をそれぞれに進めている。
中俣氏は、これらの取り組みでは2018年に買収したKMDが手がけるデンマークでのさまざまな行政DXのノウハウ、また、同社独自の秘密分散や量子暗号などのセキュリティ技術も組み合わせて活用していくとした。
同氏によれば現在の事業規模は約2000億円とする。行政のデジタル化により今後は、これまで多数を占めた個別システムの開発・構築・運用のビジネスやハードウェア販売などが減少する一方、今回説明したITサービスの販売が減少分を補って相殺するだろうという。「(現在の中期経営計画でターゲットとする)2025年度においても現状の売り上げ規模を維持し、DX案件によって上積みさせていきたい」(中俣氏)と述べた。