お金の未来を探る–ブロックチェーンと仮想通貨がもたらす変化

今回は「お金の未来を探る–ブロックチェーンと仮想通貨がもたらす変化」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 間もなく到来する新しい形の金融は、多様なテクノロジーを駆使して、私たちの最も基本的なツールの1つであるお金の使い方と管理の方法を変えることになるだろう。

 もはや、ATMから現金を引き出して、銀行の支店に行って住宅ローンを申し込み、デパートで買い物をする時代は終わった。今では多くの人にとって、どんな金融取引もオンラインで完結する体験であり、この流れは過去2年間のCOVID-19のパンデミックによって加速した。未来のお金は「天空」に存在し、スマートフォンやノートブックから利用する傾向が強まっている。

 だが、もっと大きなお金の未来があり、その初期段階が現実になりつつある。仮想通貨(暗号資産)と、高速かつ強力な金融テクノロジーが、お金の概念を変革し、現在お金を管理している金融機関に戦いを挑んでいる。2021年は金融の変革の年となった。2022年には、さらなる変化が起きそうだ。本記事では、お金の未来に向かって突き進む2つのカテゴリー、すなわちブロックチェーンとフィンテックのイノベーションについて解説する。

 仮想通貨は、ブロックチェーン技術を用いた暗号によって保護、転送されるデジタルトークンだ。「ビットコイン」は2009年に発行された世界初の分散型仮想通貨であり、最も大規模で、最も広く利用されている。時価総額は2022年1月初旬時点で7860億ドルにのぼる。ビットコインについて聞いたことがある人は多いが、実際の仕組みを理解している人は非常に少ない。

 まずこれを覚えておこう。ビットコインとブロックチェーンは同じものではない。ブロックチェーンは、ビットコインの取引を記録して保管する媒体だ。ネットワーク内の暗号化された取引データのブロックを安全につなぐ不変の共有型台帳と定義されることが多い。ビットコインは独自のブロックチェーンネットワーク上で運用される。

 現在存在する仮想通貨は1万6000種類を超える。その中で最大のものがビットコインだ。2位の「イーサ」は、ビットコイン以外のすべての仮想通貨と同じく、「イーサリアム」ブロックチェーン上で運用されている。仮想通貨の合計価値は約2兆ドルという試算もある。

 しかし、2022年、ビットコインと他の仮想通貨の価値はすでに下落した。背景には、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策でタカ派の姿勢を強め、債券保有額を縮小して、金利の引き上げを示唆したことがある。仮想通貨は、中央銀行や政府機関から独立して運用されているが、当然ながら、世界の銀行制度や市場の影響を受けないわけではない。

 仮想通貨には、市場リスクに加えて、今も大きな物議を醸している問題がある。それは、批評家たちが指摘するように、規制対象の中央銀行や主権機関に縛られないため、規制が非常に困難(あるいは不可能)という点だ。そのため、仮想通貨、特にビットコインはすでに、マネーロンダリング、違法な商品の購入、資本規制の回避に利用したい人々も入手するようになっている。

 こうした論争はあるものの、仮想通貨の人気と使用は最近急速に拡大しており、今後数年間で世界経済に大規模な破壊的変化をもたらしそうな勢いだ。

 そのため、多数の企業、金融機関、投資家が(取り残されることに強い不安を感じている組織が多い)、仮想通貨の利用によって得られる可能性がある経済的な利益を算出しようとしている。

 現在、何らかの形で仮想通貨を使用している人は約3億人(世界人口の4%)で、一部の業界関係者は、その割合が2020年代の終わりまでに大幅に拡大することを期待しており、また、そうなると信じている。

 たとえばGartnerによると、2024年までに大企業の少なくとも20%が、決済、価値貯蔵、担保にデジタル通貨を使用するようになり、現在の金融ネットワークとビジネスモデルに破壊的変化を引き起こすという。ステーブルコイン(米ドルなどの法定通貨と連動するため、分散型通貨よりも「安定」しているトークン)は、この1年間で価値が290億ドルから1630億ドルへと5倍以上に高まった。その人気の高さの理由は、価値が安定していることと、従来の決済ネットワークよりも効率的で透明性の高い価値移転をサポートできることだ。

 Gartnerのディスティングイッシュドアナリスト兼バイスプレジデントで、同社のレポート「Predicts 2022: Prepare for Blockchain-Based Digital Disruption」を共同執筆したAvivah Litan氏は、米ZDNetに対し、約3〜5年以内に仮想通貨が小売決済に使用されるようになる、と語った。投資家は今後数年にわたり、仮想通貨を投資ツールとして、すなわちインフレに対するヘッジと金(ゴールド)の代替として、大きな関心を寄せて利用することになるだろう。しかし、仮想通貨は依然として値動きが激しい。ビットコインの現在の価値(本稿執筆時点)は約3万1187ドルで、米国時間2021年11月10日に記録した最高値の6万8223ドルを大きく下回っている。

 にもかかわらず、投資家や企業が仮想通貨から得られる潜在的な利益を諦めようとしている兆しはほとんどみられない。

 これは仮想通貨の価格を見越した思惑買いにとどまらない。一部の投資家や企業が仮想通貨に興味を抱く理由は、分散型金融(DeFi)への参入だ。「企業はトレンドに加わりたいと考える。ヘッジファンドでさえ、仮想通貨につぎ込む額を増やしている」とLitan氏は述べた。

 銀行はこうした企業が求めるサービスを提供し、デジタル資産の管理者にならなければならない。これは米国内だけでなく、世界的な現象だ。「DeFiが機関投資家の資金を呼び込み始めている。仮想通貨は保有資産の約0.08%を占めるが、たとえば一部の調査では、ヘッジファンドが保有する資産の7%が5年後には仮想通貨になる見通しだ」とLitan氏。

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