増える仮想通貨への投資–慎重な姿勢の金融機関と規制当局

今回は「増える仮想通貨への投資–慎重な姿勢の金融機関と規制当局」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 仮想通貨(暗号資産)が初期に使われていた場所としてはダークウェブも挙げられるかもしれないが、今では正当な資産とみなされて取引されることが増えている。その正当性の根拠となる大きな要因は、この分野に積極的に参入する大企業の増加だ。

 オーストラリアでこの市場に参入する計画を最初に表明したのは、Commonwealth Bank of Australia(CBA)だった。同銀行は2021年11月、暗号資産の売買や保管ができる機能をモバイルアプリ「Commbank」で提供開始すると発表した。この機能のパイロットプログラムは現在進行中だ。

 CBAでブロックチェーンとデジタル資産の責任者を務めるSophie Gilder氏は米ZDNetに対し、同銀行が仮想通貨サービスを展開する戦略的な動きは、仮想通貨を求める顧客の増加が推進力だと述べた。

 「合計で約70万人の顧客がすでに仮想通貨取引所へ送金しているため、顧客がすでにこの分野で積極的に動いていることが分かる。当行が参入するかどうかに関係なく、顧客はもうそこにいる」とGilder氏は語る。

 同氏はまた、仮想通貨に関して以前は「非主流派の存在」という見方があったが、それはもはや正しくなく、「メインストリーム化が進んでいる」と考えている。

 「顧客の理解が深まったため、より広い範囲で採用されるようになった」とGilder氏。「確かにまだ若年層にとっての魅力が非常に大きいようだが、中年や少し上の世代の顧客も多い」

 CBAには、顧客が仮想通貨を扱う際に直面する一般的な問題の解決を手助けする機会がある、とGilder氏は述べた。

 「顧客が当行に助けを求めてやって来るケースとしては、たとえば送金先の取引所が詐欺であることが判明し、お金を失った場合や、だまされて何者かに仮想通貨を送金してしまった場合などがあるだろう」。同氏はこのように語る。

 「一部の顧客が抱える問題をよく見かけていた。そのとき考えたのが、より安全でシンプルなサービスを提供して、顧客が仮想通貨を決済メカニズムではなく代替的な投資先として利用できるようにするにはどうすればいいか、ということだ。そのため、当行の製品は、お金を動かす手段としてではなく、代替的な投資先として仮想通貨を取引する」

 このサービスを将来的に拡張して、仮想通貨を決済メカニズムとして使用できるようにする予定はあるかとGilder氏に聞いたところ、「現時点では」検討していないとの回答だった。

 「当初は、このサービスを通じて、顧客が仮想通貨の価値に触れることができる。CBAの銀行口座を必ず経由することになるため、クローズドループと言っていいだろう。それによって透明性が向上する」(Gilder氏)

 CBAは2022年に仮想通貨サービスの新機能を段階的に追加しており、「ビットコイン」「イーサリアム」「ビットコインキャッシュ」「ライトコイン」など、最大10種類の仮想通貨へのアクセスを提供する計画だ。

 同銀行は、仮想通貨取引所とカストディーサービスを運営するGemini、ブロックチェーン分析企業のChainalysisと提携して、そのプラットフォームを開発した。また、CBAの製品は、既存の金融規制の対象となるように構築されている。

 「仮想通貨取引所とカストディーサービスを運営するパートナー(Gemini)は、非常に慎重に選んだ。なぜなら、エンタープライズクラスのセキュリティを確保し、スケーラブルな取引所から、最良価格執行を提供できるようにしたかったからだ」とGilder氏は語る。

 「当行は、規制の対象となるパートナーを求めていた。Geminiはニューヨーク州の規制の対象になっているため、その枠組みのすべての要件に準拠する必要がある。マネーロンダリング防止や資本に関する条項を遵守しなければならない。それが同社の製品の強みになっていると思う。これを設計するにあたり、信頼できる企業と進められるように取り組み、この分野への第一歩を慎重に踏み出した」

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