クラウドフレア、日本でのビジネスを本格化–新社長・佐藤氏が事業戦略など明らかに

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 クラウドフレア・ジャパンは3月15日、日本法人の新代表就任に伴う記者会見を開催。2022年1月19日付で日本法人の執行役員社長に就任した佐藤知成氏が、日本での事業戦略などを明らかにした。

 米Cloudflareの共同創設者で社長兼最高執行責任者(COO)のMichelle Zatlyn氏は、同社が「インターネットをより安全かつ高速に、そして信頼できるものになるように支援」していると強調。その裏付けとなる数字として、グローバルで毎日860億回のサイバー攻撃を阻止していること、全世界のウェブサイトの20%が同社サービスを利用していることを明らかにした。また、「インターネットユーザーの95%が50ミリ秒以内に(目的のサイトに)アクセスできる環境」(同氏)を整備するために多額の投資を続けているとした。

 2010年に創業した同社は、事業開始から10カ月後には日本にネットワーク接続拠点(Point of Presence:PoP)を開設するなど、当初から日本市場を極めて重視していたという。なお日本のセキュリティ状況について、Zatlyn氏は「デジタル変革(DX)やクラウドシフトの進展によってサイバーセキュリティリスクが高まっている。2021年第4四半期には毎日平均190億回の日本発のサイバー攻撃を阻止している」と語った。

 続いて、国内の事業戦略を説明した佐藤氏はまず、会社方針として「Cloudflare is on a mission to help build a better Internet.」という言葉を紹介した上で、「あらゆる産業のデジタル変革をリードし、日本の社会全体を次のステージに引き上げていくための役割を担っていきたい」と決意を表明した。

 また、米国本社も世界市場の中で特に日本に注力し、多額の投資を行う方針であるとし、「3年以内に米国を除く世界トップの市場に成長させる」(佐藤氏)との目標を掲げた。

 2020年の設立から約2年が経過した日本法人について、同氏は「これまでの2年は準備段階。改めて本格的にビジネスを推進していく体制を急速に整えている」と語り、東京・丸の内に新オフィスを開設したほか、人材の確保/増員や知名度向上を狙ったブランディング活動といった施策を通じて、エンタープライズビジネスの強化に取り組むとした。

 「世界の最新技術を日本のお客さまに素早く提供する」と佐藤氏は語り、世界中にある最新の技術やノウハウ、事例を日本の社会に合わせた形にアレンジして浸透させていくことが、外資系企業における日本法人の役割であるとの認識を示した。

 具体的な事業戦略としては、現在東京と大阪に用意しているPoPを年内に拡充し、新たに福岡と那覇を加えて4拠点にする計画を明らかにした。また、世界展開している社会貢献プログラム「Project Galileo」を日本でも実施すると発表した。

 同プログラムは、芸術団体、人道団体、公民権活動家といった非政府組織/非営利組織(NGO/NPO)などをサイバー攻撃から保護するプロジェクトであり、世界111カ国以上にわたる1500超の組織に無償でサービスを提供しているという。日本では自然災害が多いことから、復旧支援団体なども対象になるという。

 佐藤氏はパートナーとの協業を深めていく方針を示し、その一環としてクラスメソッドとの協業強化を発表した。クラスメソッドは、Cloudflareの「Project Fair Shot」に賛同し、ワクチン接種を推進する国内の自治体・医療機関・協力企業にデジタル待合室「Cloudflare Waiting Room」を無償で提供してきた。

 クラスメソッド 代表取締役社長の横田聡氏は、自社について「世界中にある優れたサービスやプロダクトを発見し、日本の企業に紹介するビジネスを10年以上行っている」と説明。Cloudflareとの関係については、世界で活動する日系企業に安全なネットワーク接続を提供するため、2019年に欧州で協業したのが始まりだという。

 前述のWaiting Roomは、コロナ禍で世界各国のワクチン接種の予約サイトがトラフィック殺到によってダウンする例が相次いだことで提供が開始された。横田氏は「ドメインネームシステム(DNS)のフロントのところで急激なアクセスを軽減するようなソリューション」だといい、無償提供されることを知った同氏が日本での展開をCloudflareに提案し、クラスメソッドが国内の自治体や医療機関向けの導入支援を行ったという。

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