サステナビリティー経営でデータリテラシーが必須のスキルに
今回は「サステナビリティー経営でデータリテラシーが必須のスキルに」についてご紹介します。
関連ワード (ビッグデータ、企業のサステナビリティー戦略を支えるデータ活用等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
各国政府と民間企業が極めて高いサステナビリティー(持続可能性)を掲げ、その目標をどのように達成していくか、ということに昨今注目が集まっています。
多くの企業はかねてサステナビリティーの実績づくりに努めています。ですが、環境に配慮しているように見せかけた「グリーンウォッシュ」だと非難を浴びるケースもあれば、より効果的な取り組みを展開しているケースもあるなど、結果はさまざまです。そしてこれらの取り組みに呼応するように、企業を評価するあらゆるシーン(投資家への売り込み、調達の意思決定、消費者への選択肢の提示など)で、環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮がますます重視されるようになっています。
PwCの調査によれば、ESGへの取り組みは消費者と従業員のいずれでも意思決定を促す要因になっています。消費者の80%、従業員の94%は環境に配慮している企業から購入している、またそのような企業で働きたいと回答しています。
しかし、環境に配慮している実績は簡単に示せるものではありません。顧客と人材の両方を確保するために、企業はますますESGへの取り組みを証明せざるを得ない状況に置かれています。多くの企業にとってその解決策になるのが「データ」です。さまざまな指標となるデータを追跡することによって、環境や社会にもたらす効果を示すことができます。このような情報に関するレポートは近年増えており、最近のKPMGの調査によれば、世界最大手企業の80%が現在、何らかの形でサステナビリティーレポートを出しており、1993年の13%から上昇しています。
しかし、世界中の企業で作成されているどのレポートも、企業間で標準化された評価指標がないため、収集されたデータに十分な説得力があるとは言えません。各企業独自の知見で作成されたものとなると、顧客や従業員、投資家、規制当局にどの程度伝わるのか疑問です。評価基準がなく、掲載するデータも分かりにくいため、ESGの評価指標は単なる業界の流行りものと受け止められかねません。現にDeloitteの調査では、倫理的な姿勢や価値観に関する分かりやすい情報がない場合、消費者の34%がブランドとの関係を断っていることが明らかになりました。
問題は外部だけではありません。ESGレポートが増えているにもかかわらず、PwCによると、ビジネスリーダーの37%は「基準の欠如(と規制の複雑さ)がESGの進展を阻む大きな障壁になっている」と強調しています。主要なステークホルダーと共有するために生成されたあらゆるデータは、多くの場合、それを伝える企業側にとっても不明瞭であり、どのようにデータを公開するべきか理解されていません。
Qlikの最新の調査によれば、ビジネスのさまざまなシーンでデータを使用することが大幅に増えているにもかかわらず、「データリテラシーのスキルに十分自信がある」と回答した従業員はグローバルが11%に対し、日本はわずか5%でした。
しかし、環境や社会正義をめぐる議論が過熱する中、データに基づいてストーリーを伝えることには、集客やスタッフの雇用、投資家ターゲティングにとどまらず、あらゆる領域で効果を及ぼします。ESGデータを理解できるようになれば、人と地球環境にとって重大な問題の意思決定を促すことができます。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)などにおいても主要なゴールや目標を打ち出す意思決定に貢献しています。そこで必要になるのがグローバルなESGデータ報告基準です。基準を設けることで、企業と国際機関の足並みをそろえ、変化を促すことができます。全ては入手できる情報を十分に理解することから始まるのです。
例えば、主要なテーマの一つは世界全体で平均気温の上昇を1.5度以内に抑えていくことです。この目標設定には喫緊の科学的な理由がありますが、最大手の企業でも、自らの活動がこの目標にどう直接関係するのか理解するのは困難です。データをよく理解し、情報からストーリーを読み取れる企業は、より有利な立場でグローバルな目標に合致した活動を展開することができ、何より、目に見える効果を生む意思決定を下すことができます。