第1回:本格化するDXビジネスでIT部門は活躍しているのか?
今回は「第1回:本格化するDXビジネスでIT部門は活躍しているのか?」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
今や多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み、新しいビジネスを創造する動きも広まりつつある。本連載では、ビジネスにおけるテクノロジー活用の担い手として期待されるIT部門の現状と将来の展望について考察する。
最近は、「DX」に関するメールや記事、事例が多い。筆者は以前に、「2020年のDXは、企業(ビジネスサイド)にとって数年単位で訪れる予算が取りやすい時期」と提言している。このDXの定義(備考を参照)の議論はさまざまであるが、本記事では、定義の論争より、2022年5月現在における実際の企業がどのような状態かを分析する。
備考:DXの定義=「DX推進指標」における「DX」の定義。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」(出典:経済産業省「DX推進指標」とそのガイダンス、2019年7月、PDF)
筆者は、2019年に「2025年に向けてDXを推進するIT部門の役割とガバナンス」と題する全8回の連載記事を執筆した。この時は、「DXはビジネスの話、IT部門に必要な2025年に向けてのチェンジマネジメント」をテーマに解説し、それから3年が経過した。
2022年時点のDXに関して、ビジネスサイド、IT部門でもいろいろな挑戦や試行錯誤、他社の動向を調査したに違いない。例えば、このような試行錯誤として、「DXを最初に聞いた時に、実際にプロジェクトを始めてみる前に、社内の基準やツール、フローを作成する際に」、あるいは「会社を設立する前に、その会社で具体的な策を作る際に」など、検討したDX担当の方は多いであろう。また、この3年間におけるメディアの反応は、「DXの定義」を説明し、「どのように実装すべきか?」という解説が多くなされたと思う。
本連載では、全4回にわたり「DXビジネス推進におけるIT部門の現状と将来」を分析する。第1回(本稿)では、「DXビジネスを本格化する企業でIT部門は主役になれているのか? 否か?」をまず確認する。結論から言えば、IT部門は主役になれているとは言い難い。これには2つの解釈があり、「主役になりたいが、やらせてもらえない」、あるいはその逆で、「IT部門が自らDX案件から身を引いている」の2つが考えられる。第2回では、「IT部門がDXの新組織で主役になっているケース」での要因を深堀し、第3回では、その逆となる「IT部門がDXの新組織で主役になれていないケース」での要因(課題)、そして第4回では、「IT部門がDXの新組織で主役となるために必要なこと」を解き明かしていく。
まず最近のDXの傾向はどのようなものだろうか。2022年5月現在の企業のDXに対する関心を分析するに当たり、毎年、日本情報システムユーザー協会(JUAS)から発行される「企業IT動向調査」を見ていこう。直近のレポートでは、下の図1にある「DX推進状況とDX推進組織の設置状況」の調査結果が発表された。
この調査では、1125社のうち「DXを推進している企業」は、「非常にそう思う(2.3%)+そう思う(20.5%)」の合計23.8%であることが分かった(約25%とすると4社に1社の割合)。
また、図1の調査結果から以下のように分類できる。
これを下記の図2で示す。
図1の調査結果にあるパーセンテージと図2で示した組織形態のパターン番号をクロス集計すると、おおよそ次のように分類できる。
この「実際にアクションを起こした企業の分類」では、DXのビジネスとして、まず「DXサービスの新会社を創設」するケースが確認できる。例えば、デジタルマーケティング支援など「1.特化型」だ。また、「2.複数企業から共同出資で設立されたDX専門会社」もある。さらには、あくまで社内の新規組織の設立のみであるが、「3.経営直轄型(出島型)」「4.情報システム子会社にDXの組織を作った(出島型)」である。
JUASの調査結果では、「社内のIT部門内にDX推進チームを結成した:19.8%」(出島型)で、「4.情報システム子会社にDXの組織を作った(出島型)」に近く、最も回答が多かった。これは、IT部門や情報システム子会社に「デジタル」「データ収集」「クラウド」などの活用で、ビジネスサイドだけではDXのビジネスを開始するのが「難しい」と判断されたため、当初よりIT部門が関与しているのではないかと推察できる。