企業はプライバシー問題がブランドイメージに直結すると心得よ
今回は「企業はプライバシー問題がブランドイメージに直結すると心得よ」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
デジタル化の進展に伴って個人情報をはじめとしたプライバシー保護へのリスク対策が、多くの企業で新たな課題として浮かび上がっている。果たしてどう対処していけばよいのか。今回は、プライバシー問題について深掘りしたい。
スマートフォンに入っている個人情報などのプライバシーに関わる情報がいつの間にか盗まれて広告市場でオークションにかけられている――こんな設定で始まるAppleのテレビCMを最近、目にした読者も少なくないのではないか。利用者の閲覧履歴などのデータを追跡するターゲット広告を批判した内容だ。2021年にこの分野で対策を講じた同社が、対応が遅れているネットサービス事業者とのプライバシー保護に対する姿勢の違いを見せつけた格好だ。一方のネットサービス事業者もプライバシー保護については重大な問題意識を持ち、対策を急ぐ姿勢を見せている。
プライバシー保護については、かねて時代の変化とともにセンシティブな問題として取り組まれてきたが、何でも「見える化」してしまう特性を持つデジタル技術があらゆるところで使われるようになり、社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中で改めて重視されるようになってきた。
筆者もプライバシー問題についてはデジタルとの関連性が深いことから注目して取材を重ねてきたが、特に複数の企業経営層から耳にしたのは、「この問題は企業のブランドイメージに直結する」との声だ。その意味は「しっかり対応していて当然だが、問題を起こすとイメージが大きく失墜する」というハイリスクを指すようだ。
では、企業はどう対処していけばよいのか。
政府がそうしたプライバシー保護の要請の高まりを受けて、2022年2月に公表した「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブック ver1.2」が参考になりそうだ。60ページからなるその内容は、なかなか読みごたえがある。
以下、その中で「プライバシーの考え方」の記述から抜粋して紹介する。
「プライバシーは従来、『私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利』や『放っておいてもらう権利』として考えられていたものが、情報通信技術が発展し、情報プライバシーという概念が生まれてからは、個人の権利を尊重することの必要性の理解が浸透してきたことも相まって『自己情報のコントロール』などに発展していった。IoTやAIなどの技術進展によって、例えば、データ解析の結果、機械的に不当な差別的扱いを受ける、あるいは多数の有権者の政治的選択に対して介入される可能性が生じる、といったプライバシーに関わる新しい問題も顕在化している」
上記では、すなわち、デジタルによってプライバシーの考え方や範囲が広がってきていることを指摘している。さらに、こう続く。
「他方で、国内における商店街や商業施設、公共交通機関への防犯カメラの設置などのケースを見ると、一定の配慮の下で設置されることに対する肯定的な評価もある。その一方で、特に顔認証データの取得に関して批判的な意見や懸念もある。また、防犯カメラによる画像の当初の防犯目的の範囲を超える利用や、識別機能を有する監視カメラの登場などにより、撮影された画像データに関する懸念は高まりつつあり、欧州や米国で厳格な規制が始まりつつある」
とりわけ、防犯カメラや監視カメラによる画像データの取り扱いにおいて、プライバシー問題が浮かび上がっている現状を記した上で、次のように述べている。