第4回:IT部門がDXの新組織で主役となるために必要なこと

今回は「第4回:IT部門がDXの新組織で主役となるために必要なこと」についてご紹介します。

関連ワード (DXビジネス推進におけるIT部門の役割、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 今や多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組み、新しいビジネスを創造する動きも広まりつつある。本連載では、ビジネスにおけるテクノロジー活用の担い手として期待されるIT部門の現状と将来の展望について考察する。

 第1回では、DX組織の人材の内訳やIT部門とDXの係りについて解説した。第2回では、「IT部門がDXの新組織で主役となっている」ケースの要因を深堀し、第3回では、逆に「IT部門がDXの新組織で主役となれていない」ケースでの要因(課題)を分析した。

 第3回の後半で触れたが、ビジネスサイドはスピード感を重視し、優位性を早く手にしたいと考えるため、DXの会議では彼らにIT部門から「先行者メリット」の一言を提示することが重要である。最終となる第4回(本稿)では、確実にDX案件をカットオーバーさせ、「IT部門がDXの新組織で主役となるために必要なこと」を分析する。

 「IT部門がDXの新組織で主役となるために必要なこと」をまとめると、図12のようになる。一つずつ解説しよう。

 これは、DXビジネスの取り組みが本格化した2020年以降のこの2年間において、コンサルティングファームがDXビジネスに取り組む企業から獲得したDX案件が、「DXの定義があいまいでコンサルタント泣かせ」であった点である。経済産業省の定義が少なく、例えば経済産業省のITの案件や、官公庁(例えば、デジタル庁)がDX案件で実装した話を聞かない。

 つまり、従来のコンサルタントであれば、規定やガイドラインなどの定義をそしゃくしてビジネスへ結び付けていたが、DXに関しては、ビジネス化のために必要となる文書や規定が少ないことから始まってしまっている。そのため今後(2022年5月以降)の案件に対しては、毎回「DXの定義」を注意することよりも、DXの定義を気にしないで、その先にあるビジネスサイドの要求を良く聞き、カットオーバーの期日を守ることが必要となる。

 DX案件でIT部門に声がかかる時期は、ビジネスサイドが既存のITのデータの移行、または認証/認可の継承などを要求した際だ。この時期に既存のデータが必要となり、IT部門に声がかかる。

 実際に日本情報システムユーザー協会(JUAS)の調査(図13参照)では、「DXを推進できていると思いますか?」との質問に対し、「組織を横断的にデータ活用ができる環境を構築し、ユーザーが利用している」という回答(割合)を調べている。「非常にそう思う」と回答した企業は50%に上り、「組織を横断的にデータ活用」こそが、DXの推進で鍵になると感じる。逆に、「組織を横断できない、データが密室化」(本連載第2回の図5を参照)をしている企業では、「DXを推進できていない」と判断している。

 これは、第2回で示した「出島」の組織でも同じことが言える。DXの出島は、元々は密室状態であるが、DXでは出島をオープンにし、「データの可視化」をしていくことがDXへの推進となる。

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