地方行政デジタル化の大きな一歩は業務フローの可視化・標準化から
今回は「地方行政デジタル化の大きな一歩は業務フローの可視化・標準化から」についてご紹介します。
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多くの自治体が地方行政サービスの改革に取り組んでいる。少子高齢化や人口減少が進めば進むほど、自治体の予算は縮小し、いずれ今の業務を半分の職員でこなせるようにしなければならなくなる。いわゆる「2040年問題」だ。そのためにも、業務フローを標準化し、効率的な行政サービスを実現させる。そんな改革の支援に取り組もうとしているのが、自治体DX支援事業を開始したばかりのガバメイツだ。
ガバメイツは、コニカミノルタの子会社が保有する自治体の業務データ190万件などを活用、分析による業務改善を提案するコニカミノルタパブリテックと、IT人材育成やふるさと納税ポータルサイトなどを運営するチェンジの共同出資で、2022年3月に設立された。両社は約2年前から協業をはじめ、自治体の業務課題の解決や標準化を支援する人工知能(AI)の共同開発などに取り組んできた。
この協業関係をさらに深め、両社のノウハウを取り込むために立ち上げたのが、ガバメイツになる。
コニカミノルタパブリテックとガバメイツの社長を兼務する別府幹雄氏は、「コニカミノルタの山名昌衛社長(現会長)から非財務価値を使ったものを考えろとの指示があった」と、自治体ビジネスのきっかけを説明する。考えたのは、品質管理や生産管理などといった製造業の非財務価値を、自治体の業務フローの可視化、標準化に生かすこと。そんな時、2019年5月に札幌市から全職員がどんな仕事をして、どの程度の業務量をこなしているのかなどの調査を依頼された。そこで、約1900人の係長などから聞き取り調査をし、業務データを整理、分析した。コア業務とノンコア業務に分ける地道な作業だ。
実は、別府氏はコニカミノルタに入社前、札幌市に交換人事で出向していたことがあった。その折に、市長や副市長らとの関係を持ち、市長に「何が一番困っているのか」と尋ねたところ、残業時間が多いことだったという。調べたところ、公務員しかできないこと(コア業務)と、公務員でなくてもできる仕事(ノンコア業務)があるのに、きれいに区分されていないことに一因があると気が付いた。
調査から、そんなノンコア業務が65%もあることを見つけ、それを切り出して業務プロセスを自動化したり、外部委託(BPO)したりすれば、公務員をコア業務に集中させられる。この成果を同じ人口規模の自治体に適用すれば、業務の効率化をより早く実現させられる。まねをすればいいということ。調査結果を聞いた別の自治体からデータを共有したいとなり、別府氏はビジネスとして大きくなると確信を持ち始める。コニカミノルタの品質管理や生産管理などのノウハウ、とりわけすぐにも削減すべき作業を見つけ出す製造業の“ムダ取り”は、コア業務とノンコア業務の区分けに有効に働くことが分かったからでもある。