生物の授業にマインクラフトの創造性をもたらす仮想科学プラットフォームInspirit

今回は「生物の授業にマインクラフトの創造性をもたらす仮想科学プラットフォームInspirit」についてご紹介します。

関連ワード (Inspirit、Minecraft、VR、資金調達等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


Inspirit(インスピリット)の創設者Aditya Vishwanath(アディティヤ・ビシュワナート)氏は、Minecraft(マインクラフト)が持つ創造性を、世界の子どもたちの日々の学業に取り入れたいと考えた。

「生徒たちはTikTok(ティックトック)で育ち、高度にインタラクティブで、とてもおもしろいRoblox(ロブロックス)のゲームで遊んでいます」と彼は話す。「そんな彼らが教室に入ると、人による20分間の授業を聞くことになります」。こうした陳腐化を打開しようと、彼とその共同創設者Amrutha Vasan(アムルタ・バサン)氏はソリューションを組み立てた。

彼らの仮想科学プラットフォームでは、学生と教師が、DNAの複製から放物運動実験まで、STEM(科学、技術、工学、数学教育)のシミュレーションを構築し体験できる。プレイヤーに自分だけの世界を建設したいと意欲を搔き立てるMinecraftにならって、Inspiritも、自分専用の科学実験や学習の世界をローコードを使って作り出すよう背中を押す。この3Dプラットフォームのコア技術は、ゲームの編集やインタラクティブなコンテンツの制作に使われるゲームエンジンUnity(ユニティー)上に構築されている。

同スタートアップは、どうしたらユーザーが特定の素材に自然に惹きつけられるようになるかを探ろうと、制作を完全にコントロールするところから始めた。現在は、教師が月や真核細胞の探求といった既存のコースを土台にして授業を組み立てることができる。またそこには解説、簡単なテスト、ナレーションも追加できる。

同社は、当初からマイクロレッスンのアプローチを採用しているが、ビシュワナート氏は教育版Minecraft構築に大きな可能性を見ている。Inspiritの原動力となっているのは、人は人生のさまざまなステージにおいて、自分で管理できて心惹かれる学習方法で、学校で習ったことを補習したいと望む、という基本的な信念だ。

 

このツールは、実際にはまだ仮想現実(VR)技術を採り入れておらず、まずはハードウェアに依存しないシステムでプロダクトマーケットフィットを探り、最大のユーザーベースを築くことに注力している。現在はOculus Quest(オキュラス・クエスト)の統合を実験しているが、一般ユーザーが試せるオプションはまだない。

Inspiritは2020年9月に予約受付を開始し、現在はプライベートベータテストにK-12(幼稚園から高校卒業まで)のユーザー5万人が登録している。

ゲーム形式でVRを活用したアプローチは、学習をもっと魅力的に楽しいものにしようと、ずいぶん前からEdTech分野では用いられてきた。そのためまだ公式ローンチ前のInspiritには、数多くのライバルがある。潤沢な資金を有するコペンハーゲンのスタートアップLabster(ラブスター)は、2011年に創設され、理科の授業に代わる研究室シミュレーションを提供している。最近になってこのスタートアップはプラットフォームの利用が急増し、その研究室ソフトウェアをアジアに拡大した。ビシュワナート氏は、子どもたちをユーザーではなくクリエイターになるよう促す点でInspiritはLabsterとは違うと考えている。

EdTechとVRが融合したもう1つの最近の例に、従業員のスキルアップのために1200万ドル(約12億5000万円)を調達したTransfr(トランスファー)がある。TransfrはInspiritが展開している市場はまったく異なり、労働者をターゲットとしているのだが、やはりこの会社も、モジュールのライブラリー構築に予算を振り向け、カリキュラムの拡大を急いでいる。

Inspiritの最大の試練は、Mincraftのような自発性や魔法を本当に再現できるかだ。生徒たちは本当にそのプラットフォームで創造的な気持ちを搔き立てられるのか、さらに重要なこととして、生徒たちは何度も繰り返し戻ってくるのかだ。ここで考慮すべきは、学校教育の補習というInspiritの動態だ。現在はカリキュラムベースの教育に大きく重点を置いている。もし生徒がInspiritを学校の復習に使おうとするなら、可能性は完全に無限とはいえなくなる。それどころか義務教育の規則に足かせをはめられてしまう。

そこが、ゲームとインタラクティブなシミュレーションとを分ける一線だ。

「たとえ初歩の理科においてさえ、Inspiritを推進するのは教師ではないと信じる強い思いと理由が、私にはあります」とビシュワナート氏はいう。ある12歳の生徒がInspiritの既存のモジュールを使って「量子ファンネル」を作った例を、彼は挙げていた。

Inspirit共同創設者アムルタ・バサン氏とアディティヤ・ビシュワナート氏(画像クレジット: Inspirit)

さらに同スタートアップは、その効果や能率性を証明しなければ、倫理上、エンドユーザーに販売するわけにはいかない。難しい問題をわかりやすくするという点で、仮想現実に大きな可能性があるのは明白だ。しかし、その技術をときどきつまみ食いする程度では、効果は得られない。

長期的には、EdTechは単に消費するものから、創造するものへシフトしていくとビシュワナート氏は考えている。そのビジョンで、彼はすでに多くの投資家を説得してきた。米国時間1月28日、その高い目標に向けたシード投資ラウンドによる資金の調達を発表した。360万ドル(約3億8000万円)というこのラウンドを主導したのはSierra Ventures。その他にもUnshackled Ventures、AME Cloud Ventures、January Ventures、Edovate Capital、Redhouse Education、Roble Venturesが参加している。

この資金は、ビジネスモデルと収益化プランの構築、そして人材確保に使われる予定だ。EdTechとゲームを混ぜ合わせることで、「急成長したものの、どうやってお金を稼ぐかを知らず葬られる教育系企業」になるのを防げると、ビシュワナート氏は考えている。

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画像クレジット:gorodenkoff / Getty Images


【原文】

Aditya Vishwanath, the founder of Inspirit, wants to bring the creativity associated with Minecraft to the day-to-day schoolwork of students around the world.

“These students are coming from TikTok and playing Roblox games [that are] highly interactive and highly engaging,” he said. “Then, they’re coming to the classroom and watching a 20-minute lecture from a person.” As a solution to this staleness, he and his co-founder, Amrutha Vasan, built a solution.

The virtual science platform lets students and teachers create and experience STEM simulations, from DNA replication to projectile motion experiments. Similar to how Minecraft empowers users to create their own worlds, Inspirit wants to empower users to low-code their way into personalized science experiments and learning worlds. The core technology is a 3D platform built atop Unity, a game engine used for editing games and creating interactive content.

The startup is starting with complete control over creation to understand how users naturally gravitate toward certain materials. Teachers can currently build lessons on top of pre-made tracks, such as an exploration of the moon or a eukaryotic cell, and add in annotations, quiz questions and voice-overs.

The company is starting off with this microlesson approach, but Vishwanath sees the real potential in building a Minecraft for educational purposes. The underlying belief powering Inspirit is that students across different stages in their lives want a self-directed, engaging way to learn to supplement in-school learning.

While the tool is not yet technically using virtual reality technology, the first priority is going hardware-agnostic to find product-market fit and get the biggest base of users. It is experimenting with integrations to Oculus Quest, but hasn’t yet made the option accessible on widespread basis.

After launching a waitlist in September, Inspirit had 50,000 users within the K-12 world sign up for access to the private beta.

A gamified, VR-based approach to learning has long been used in edtech to increase engagement and excitement around learning. The startup, which has not yet launched publicly, has a fair share of competitors. Labster, a well-funded Copenhagen startup, was founded in 2011 to provide lab simulations to replace science class. The startup recently expanded its lab software to Asia, after usage on the platform surged. Vishwanath thinks that Inspirit differentiates from Labster because it urges kids to become creators, instead of users.

Another recent example of edtech merging with virtual reality is Transfr, which raised $12 million to upskill workforces. Transfr is selling to an entirely different market than Inspirit by targeting trade workers, but it similarly has invested in creating a library of modules to help scale its curriculum faster.

The biggest test for Inspirit will be if it can truly recreate the spontaneity and magic of Minecraft. Will students feel inspired to create on the platform? More importantly, will they come back over and over again? The dynamic here to think about is that Inspirit is a supplement to school, which currently relies heavily on curriculum-based learning to teach. If a student wants to use Inspirit for comprehension, the possibilities aren’t exactly endless, but instead are bookended by a mandatory set of rules.

It’s the dividing line between what makes a game and what makes an interactive simulation.

“I have a strong feeling and reason to believe even the early science of engagement; the drivers of Inspirit are not going to be teachers,” Vishwanath said. One 12-year-old student used Inspirit to build a Quantum funnel using pre-made modules, he explained.

Amrutha Vasan and Aditya Vishwanath, Inspirit co-founders. Image Credits: Inspirit

Beyond that, the startup will need to prove outcomes and efficiency before it can ethically sell to end users. It’s clear that virtual reality has a huge potential to help people comprehend complex topics, but bite-sized bits of the technology used once in a while might not.

Long term, Vishwanath thinks that edtech will shift to focus on creation, instead of simply consumption. He’s already convinced a number of investors on that vision. The startup announced today that it has raised seed financing to pursue its lofty goal. The $3.6 million round was led by Sierra Ventures. Other investors include Unshackled Ventures, AME Cloud Ventures, January Ventures, Edovate Capital, Redhouse Education and Roble Ventures.

The money will be used to figure out a business model and monetization plans, as well as hire a team. The blending of edtech and gaming, Vishwanath thinks, will be able to save them from becoming “another graveyard education company out there that has hypergrowth and doesn’t know how to make money.”

(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

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