グーグル・クラウドが支援するスタートアップ–資金や技術、事業面を評価

今回は「グーグル・クラウドが支援するスタートアップ–資金や技術、事業面を評価」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 グーグル・クラウド・ジャパンは7月13日、スタートアップ企業支援に関するメディア向け説明会を開催した。最新の取り組み状況と同社の支援を受けるSynspectiveとUbieがその内容を紹介した。

 グーグル・クラウドは、2014年にスタートアップ企業の支援を開始し、現在は「Google for Startupsクラウド プログラム」を展開する。担当するSMB事業本部長の長谷川一平氏によると、累計で610社を支援し、支援規模の総額は約1740万ドルに上る。

 現行の支援プログラムは2月にスタートし、既に2021年実績を上回る支援状況という。スタートアップの中でも、特に創業年数が短い初期段階企業への支援を手厚くし、長谷川氏は資金、技術、事業の3つの面で支援していると説明。資金面では、プログラム適用2年目のシリーズAラウンド企業にGoogle Cloud利用料の20%相当について最大10万ドル分の「クレジット」を提供する。技術面では、プログラム適用の希望に応じた支援内容を拡充し、事業面ではユーザー会の「Jagu’e’r」内にスタートアップ分科会を設置した。

 グーグル・クラウドが支援するSynspectiveとUbieは、長谷川氏の挙げた3つの面について、それぞれでメリットを得ているとした。

 Synspectiveは、2018年に創業し、小型の合成開口レーダー型衛星「StriX」で観測する地上表面データとそのデータを活用するソリューションの事業を展開する。既にシリーズBにおり、これまで226億円の資金を調達。グーグル・クラウドの支援から“卒業”し、衛星データのビジネスパートナーとしての関係構築を進めている。

 同社執行役員 データプロダクション部 ゼネラルマネージャーの今泉友之氏は、取り扱う衛星画像のデータ量が極めて膨大であり、そのデータに機械学習技術を適用させることやGoogleマップなどとの連携のしやすさ、衛星を制御する地上局システムを世界各地に分散配置する必要性などからグーグル・クラウドを採用したと説明する。

 今泉氏によると、技術面で自社技術とグーグル・クラウドを組み合わせたサービスの開発と展開を効率良く簡単にできる点がメリットだったが、特に事業面での支援が大きいという。

 宇宙衛星関連事業を手掛ける上では、衛星データがテロなどに悪用されることを防ぐ「衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律」(通称「衛星リモセン法」)に順守することが求められるという。同業他社はオンプレミス型のシステムで対応していたが、Synspectiveは前例のないパブリッククラウドのシステムで対応しようとしたため、グーグル・クラウドがこれに協力。同法を所管する内閣府への説明にも同行するなど技術と事業の両面で支援し、パブリッククラウドのシステムで初めて衛星リモセン法への順守を実現したとしている。

 もう一方のUbieは、医療向け人工知能(AI)技術を用いたサービスを手掛け、2017年に創業。現在まで総額44億8000万円の資金を調達しているという。Head of Platform Engineeringの坂田純氏によると、2018年にサービス基盤を「Google Cloud Platform」に移行したが、その時は支援プログラムの存在を知らず、後から活用を始めたという。

 Google Cloud Platformへの移行理由は、サービスに関するビッグデータを扱える能力やAI/機械学習技術の機能などを利用して自社サービスを進化、拡張できる点だったというが、支援プログラムの併用で移行直後のサービスコストを大幅に抑制し、その分のリソースをサービスの強化に充当できた点が大きいと説明した。

 また、機密性の高い情報を取り扱うことから厚生労働省と経済産業省、総務省が発行する2種類のガイドライン(通称「3省2ガイドライン」)への対応が必須であり、これについてもグーグル・クラウドが技術面を含む支援を提供してくれたとする。

 坂田氏はシステム基盤を担当しているといい、特に技術面ではアーキテクチャーの相談やレビュー、問題への対応など多方面でグーグル・クラウドのカスタマーエンジニアのサポートを活用しているとのこと。現在ではシンガポールでの事業拠点の開設、米国向けサービスの開始など事業のグローバル展開を本格化させていると語った。

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