DX時代を切り開く–エッジAIの可能性とは(前編)

今回は「DX時代を切り開く–エッジAIの可能性とは(前編)」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 人工知能(AI)分野に何かしら関わっている方々は、近年「エッジAI」という言葉を聞く機会が増えてきているかもしれない。例えば、さまざまな先進技術に対する関心や普及度を示した図であるGartnerのハイプサイクルの2021年版では、最も関心の高いAIテクノロジーとしてエッジAIが位置付けられていた。

 この見込み(下図参照)が正しいとすれば、2021年から今頃にかけて幻滅期を迎えており、これから社会の理解が進み普及に向けて動いていくだろうと思われる。筆者もエッジAI PaaSを提供する事業を行っており、2022年に入ってから実ビジネスで利用される例が増えてきている。いよいよ実証段階を超えてこれから社会実装が進んでいくのだろうという実感を持っている。

 本記事では、このように今後重要度が増すと考えられるエッジAIというテクノロジーについて2回に分けて解説する。前編ではエッジAIそのものと需要が高まっている背景について説明し、後編では実際のビジネスにおける利用事例などを紹介する。

 まず、そもそもエッジAIとは何かを説明したい。とはいっても、エッジAIという用語について明確な定義が存在するわけではないので、一般にこういう趣旨で用いられることが多いであろうという筆者の私見である点をご容赦いただきたい。

 エッジAIとは画像解析・音声解析・自然言語解析などにおけるAI処理を、ネットワークの「エッジ(データセンター側から見て端)」つまりユーザーや端末の近くで処理するシステム構成やそのための技術を指す。これと対比されるのが、AI処理をデータセンターに集約して行う方式で、「クラウドAI」などと呼ばれる場合がある。

 エッジAIの「エッジ」とはエッジコンピューティングから派生した言葉だと思われるが、エッジコンピューティングのエッジが具体的に何を指すかに関しては、さまざまな立場からの用語が乱立している状況である。例えば、次の3つである。

 これらのいずれにおいても、特定の用途に限らずさまざまなアプリケーションを実行できるように進化させていくという動向がある。詳しくは、アカマイ・テクノロジーズの以下の連載をぜひご覧いただきたい。

 さて、エッジAIに関しても具体的な方式はさまざまあり得るが、恐らく本稿執筆時点ではエッジデバイス上でAIを実行する方式を指してエッジAIと呼ぶ場面が多いと思われる。本記事でも以降断りなくエッジAIと言った場合、エッジデバイス上で実行するケースを指すものとする。

 近年エッジAIへの関心が高まっている背景には大きく3つの理由があると言える。 データセンターや通信インフラの負荷低減 超低遅延処理の需要の高まり プライバシー保護の関心の高まりと規制強化

 元々、エッジコンピューティングという方式が登場した主な理由は(1)と(2)であった。つまり計算機システム全体としての効率向上や性能向上のためという工学的な理由である。一方で、エッジAIに関しては個人情報を直接的に処理する場面が多いため(3)の点も欠かせない。これらについて順番に説明していく。

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