インテルのAI責任者が語る、「AIを大衆化」する取り組み(後編)
今回は「インテルのAI責任者が語る、「AIを大衆化」する取り組み(後編)」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
前編に続き、Intelで人工知能(AI)およびアナリティクス担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるWei Li氏へのインタビューをお届けする。
Li氏が苦戦していることの1つが、Cerebras SystemsやGraphcore、SambaNovaなどのスタートアップの最新のハードウェアアクセラレーターが注目を集める中でソフトウェアの重要性を強調し続けても、議論が埋もれてしまうことだ。
「業界内でも、断絶とも言うべき状況がある」とLi氏は言う。「データや、アルゴリズムや、ハードウェアについてはよく議論になるが、ソフトウェアの話はほとんど理解されない。しかし実際には、ソフトウェアはAIを実現する上で重要な役割を果たしている」
ソフトウェアが重要であるにもかかわらず、AIの高速化の議論になると、話は常に最大の独立したプロセッサーメーカーとしてのIntelの役割と、同社とCerebrasなどの新しいライバルや、大手AIチップメーカーであるNVIDIAとの戦いに戻ってしまう。
Intelが2019年に買収したチップメーカーであるHabanaがこれらのスタートアップと直接的な競合関係にあるが、Habanaの製品は世代を重ねるごとにパフォーマンスが改善されており、競争力を維持している。Intelはすべてのx86ユーザーの古いコードをサポートするという重荷を負っているが、競合するスタートアップにはそれがないという議論もある。しかしLi氏は、ある意味ではスタートアップもレガシーなものをサポートする負担を負っていると述べた。それは、ニューラルネットワークの構築で主流になっている、「TensorFlow」や「PyTorch」などのAIフレームワークのレガシーだ。
Li氏は、「問われるのは、すでにそこにあるものに、どうやって独自のものを追加するかだ」と問題を説明してみせた。「それはすべてのスタートアップが抱えている課題であり、私たちが抱える課題でもある。
「私たちが、Pythonに取り組んでいるチームや、TensorFlowに取り組んでいるチームを持っているのはそのためだ」と同氏は言う。「私たちの戦略では、さまざまな形でソフトウェアエコシステムを重視している」
Intelは、規模が大きいAIチップの市場をNVIDIAと分け合っている。NVIDIAがニューラルネットワークを開発する最初の段階であるトレーニングの分野を支配し、Intelはトレーニング済みのニューラルネットワークで予想を行う推論市場で大きなシェアを占めているという構図だ。Intelはまた、oneAPIの代わりとなる独自のソフトウェアスタックを推進しているQualcommとも競合している。
Intelのロードマップには多数のプロセッサーが含まれており、この中には「Ponte Vecchio」というコードネームが与えられたデータセンター向けGPUや、サーバー用CPUである「Xeon」に対する行列演算機能の継続的な強化、新しいFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などが並んでいる。同社がカバーしている市場のベン図を描いてみれば、NVIDIAとも、AMDとも、Qualcommとも、スタートアップとも競合していることが分かる。