バックアップが原点だから言えるランサムウェア対策–アクロニスのCEO
今回は「バックアップが原点だから言えるランサムウェア対策–アクロニスのCEO」についてご紹介します。
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ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)のサイバー攻撃により、企業の業務が止まる被害が相次いでいる。その対策として、バックアップとセキュリティの取り組みが求められる中、この両面を融合したツールを提供し、しかも大企業だけでなく中堅・中小企業向けにも独自のソリューションを展開しているのが、スイスに本社を置くAcronisだ。グローバルでの実績とともに日本でも注目度が高まりつつある同社の最高経営責任者(CEO)であるPatrick Pulvermueller氏に、ユニークな事業の内容と強みを聞いた。
「サイバープロテクション」――この言葉が、Acronisのソリューションを象徴している。データ保護などの「バックアップ」とサイバー攻撃に対応する「セキュリティ」を融合したソリューションであることを意味する。
同社のサイバープロテクションソリューションは、現在150カ国を超える約75万社に利用されており、とりわけ2万社を超えるサービスプロバイダーとのパートナーシップを通じて、多くの中堅・中小企業に浸透しているのが特徴だ。
Acronisは、2003年にシンガポールで設立され、2008年にスイスで法人登録された。当初は、バックアップソリューションのベンダーとして活動していたが、2017年にセキュリティ分野にも進出し、それ以降はサイバープロテクションソリューション(ブランド名は「Acronis Cyber Protect」)をクラウドサービスとして提供している。
今回の取材は、筆者が同社日本法人のアクロニス・ジャパンの代表取締役を務める川崎哲郎氏と20年来のつき合いもあり、Pulvermueller氏の来日に伴いインタビューの機会を得る形となった。Pulvermueller氏に、Acronisの特徴を聞いたところ、上述したサイバープロテクションやサービスプロバイダーとのパートナーシップによる中堅・中小企業への展開とともに、「特許の出願をこれまで222件、2022年だけでも72件提出している。これは同業他社と比べても3倍以上だ。イノベーションを強力に推し進めているのがお分かりいただけるだろう」との答えが返ってきた。テクノロジーカンパニーとしての強い自負が感じられた。
同社の特徴についてPulvermueller氏は、次のように語った。
まずサイバープロテクションについては、「必要なサービスを1つのツールボックスにまとめて使いやすくしているのが最大の特徴だ」(Pulvermueller氏)とのこと。具体的には、以下の図1に示すように、12層からなる「必要なサービス」を1つの管理コンソールで運用する形だ。これを同氏は「Best of Suite」と呼んだ。「ベストのものを1つにまとめて提供する」という意味だ。
一方、IT分野ではかねて「ベスト・オブ・ブリード(Best of Breed)」という言葉がよく使われてきたが、こちらは「市場にあるベストなものを組み合わせて提供する」という意味で、似ているようだがベスト・オブ・ブリードを活用するためには、異なるものを組み合わせて効果を出すスキルを持つ人材が不可欠となる。大手企業なら対応できるだろうが、Acronisが主要な顧客とする中堅・中小企業には、そんな人材が乏しい。「Best of Suite」は、そうした顧客ニーズから生まれたソリューションの考え方なのだ。
また、サービスプロバイダーとのパートナーシップによる中堅・中小企業への展開については、上記のように中堅・中小企業では、セキュリティ人材が乏しいことから、そこをサポートするサービスプロバイダーの存在が重要になる。
Pulvermueller氏は、「中堅・中小規模のお客さまの多くは、信頼できるパートナーにサポートしてほしいと考えていらっしゃる。当社はそのパートナーとなり得るサービスプロバイダーからソリューションをお届けすることによって、お客さまとサービスプロバイダーとの信頼関係もより厚くなっていただければ、結果的に当社のソリューションもご愛用いただけるようになる」との考え方を示した。
ちなみに、クラウドサービスについては、Acronisおよびサービスプロバイダーのデータセンターから提供される。統制された利用環境においてサイバープロテクションソリューションが提供される仕組みとなっている。Acronisは、データセンターを世界中に50カ所ほど設置しているという。